059 自己紹介とトンデモスキル
二人と別れてからも、嫌な考えを拭い去ることはできなかった。
こうなることは予測で来ていた。
正直、常識的に考えて行動できればやらないはずだ。
だが、常識外に行ってしまったら。
精神的に蝕まれていたら…
やめよう。これ以上考えても意味がない。
外道に落ちた人がいないことを今は祈ろう。
それからしばらくして、カイリ達が待合室にやってきた。
「ケントさん、お久しぶりです。待ちましたか?」
「いや、待ってないよ。カレンもアスカも元気そうでなによりだ。」
「はい。アスカはいつでもげんきですよ~。
うん、アスカは相変わらずだな。
「ほら、アスカ。挨拶はきちんとっていつも言ってるでしょ?ケントさんすいません。アスカには言い聞かせますので。」
カレンはいつも通りオカンだった。
3人とも変わらないみたいで安心した。
「じゃあ、ちょっと早いけどブリーフィングルームに向かおうか。これまでの事を聞かせてほしいし。」
僕たちは受付でブリーフィングルームのカギを預かり、指定された部屋へと移動した。
カイリ達は、今は元出版会社のビルにあるダンジョンに潜っているそうだ。
中はスライムオンリーで、意外なことにスキル【製薬】でポーションを作る際にスライムから出るスライムゼリーが材料に使われるのだとか。
おかげで、スライムゼリーが高騰して、大分稼ぐことができたそうな。
装備を見せてもらったら、支給品から既製品に変わっていた。
僕は…変わってないんだよね~。
なんでだろうか…
そして、彼女たちはあと少しでレベルが15になるそうだ。
スキルレベルも大分上がってきて、魔法の扱いも前よりうまくなったと自慢していた。
3人と近況報告をしていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「失礼します。」
入ってきたのは谷浦達だ。
「いらっしゃい。まあ座って。」
僕の言葉に従い、谷浦達はカイリ達の前の席に腰を下ろした。
「じゃあ、まずは集まってくれたことに感謝します。とりあえず、ここに集まってもらった理由はカイリに話した通りなんだけど、自己紹介しようか?」
「では、私から。谷浦 虹花です。アーチャーでポジションは中衛。斥候もこなせます。」
「俺は谷浦 栄次郎。中村先輩の元後輩です。ポジションはタンク。」
谷浦達が緊張しているカイリ達に気を利かせて、先に自己紹介をしてくれた。
カイリ達も少し気が楽になったのか、緊張感が少し薄れたみたいだ。
「鈴木 海莉です。魔法職で、主に火属性と土属性を使って足止めなんかします。」
「赤羽根 花怜です。魔法職で、主に風属性使いです。+-属性です。範囲殲滅などを主に行います。」
「わたしは~、街田 明日架で~す。聖属性で、回復と補助をやってま~す。あ、あとは後方警戒と戦闘指揮もやってますよ~。そうだ、ケントさん。この前スキル【指揮者】を覚えたんですよ~。」
ほんとアスカは飽きさせないなぁ。ここにきて知らないスキルが出てきた。
「アスカ。そのスキルの効果を聞いていいかい?無理にとは言わないから。」
「大丈夫ですよ~。メンバー間の通信と一時的なバフですね~。正直バフはあまり効果がなかったです~。通信はかなり便利でしたよ~。ただ、ダンジョン内みたいにパーティー登録されないといけないみたいですけど。」
これまたすごいスキルがきたもんだ。
ダンジョン内で通信する方法は、自衛隊みたいに通信士を隊において無線機を使うしかなかった。
それをスキルでこなせるってかなり大きいことかもしれない。
たとえば、このスキルを6人取得した場合、まず6人でパーティーを組む。
その後ダンジョンで別のパーティーに補助として随行すれば、パーティー同士での疑似的な連携が可能になる。
この場合、通信役は経験値の恩恵が無いから現実的ではないかな。
「アスカ…、またすごいスキル覚えたね。あまり人に話さない方がいいかもしれない。正直引く手あまたのスキルだよそれ。」
「やっぱりですか~。カレンちゃんにも同じこと言われました~。」
さすがカレンってところだろうか。
「僕は自己紹介する必要はないよね。自己紹介が済んだところで、改めて僕からのお願いだ。この5人でパーティーを組んでみないかい?おそらく今お互いに不足している部分を補えるとはおもう。どうかな?」
「え?ケントさんは参加しないんですか?」
「そうですよ、言い出しっぺの先輩が入らないってどういうことですか!!」
声を上げたのはカイリと谷浦だった。
まあ、そうだよね。そう思うのも当たり前か。
どっから話すべきだろうか…
ここまでお読みいただきありがとうございます。
迷いに迷った挙句のストーリー
ソロORパーティー
最後まで迷いました。
でも、この後のストーリー展開的にこの展開しか選べませんでした。
そのうちIF編でも出そうかなって思ってたりなんかします。
では、次回をお楽しみください。
※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。




