052 余計なお世話
谷浦たちが去ってから、また改めてスキルについて考えていた。
いくら考えても結論が出なかった。
やはりスキルについても、一ノ瀬さんにアドバイスをもらった方がいいかもしれない。
そうこうしていると、約束の時間が近づいてきた。
僕は指示された通りに受付の自衛官にブリーフィングルームについての確認を行った。
部屋番号はE-102とのことだった。
ちなみに部屋数は結構多かったりする。
Aから始まりEまでの縦割りと0から4まで横割りで1階に25部屋。それが5階まであるからある意味すごい。
僕が指示されたのはE-102なので1階にある奥の部屋になる。
部屋につくとすでに一ノ瀬さんがくつろいでいた。
「すいません。遅れてしまったようで。」
「問題ありませんよ。私も先ほど来たばかりですから。時間もないのでさっそく話をしましょう。相談というのはなんでしょか?」
「はい、2点ほどありまして。一つは僕自身のスキル・レベルについてです。もう一つはこの前お世話になったカイリさんたちについてです。」
一ノ瀬さんに僕の現状のスキル構成とレベル・ステータス計画の説明をした。
一ノ瀬さんは少し思案すると、おおむねその通りでいいのではと返してきた。
ただし、問題もあるそうで、探索者ランクの上昇はレベル制限が設けられており、レベルは上昇するもので減少することは想定外だそうだ。
なので、探索者ランクを上げた後、それ以下のレベルになった際に問題が発生する可能性があるそうだ。
なんでも、ダンジョンへの探索依頼等があと一か月くらいで始まるらしく、上位ランク者に優先的に割り当てられるとのこと。
今はまだ低ランクなので問題はないけど、もし上位ランクになってからレベル1にまで下がったら…
最悪ミスマッチな依頼がやってくる可能性もあるそうだ。
言われてみればその通りで、依頼失敗ならまだしも命を落とす危険性すらある。
一応は拒否権もあるそうだが、立て続けに拒否をすると最悪ランクダウンになるらしい。
つまり、僕の場合上げるならそれ以下のレベルにならないように気を付けないといけないらしい。
ものすごく面倒なことになってきた。
結論としては、今はランクアップはせずに今取れるスキルを取って、スキルレベルを上げることを優先することにした。
次にカイリ達の事だ。
彼女たちは僕とパーティーを組みたいといってくれてはいるが、このスキルのせいでそれは難しくなってしまう。
それに、僕のランクが上がらないと彼女たちは上位ダンジョンへ行けず、レベル上げなどが行えないのだ。
僕に付き合って探索をすることはデメリットでしかないのだ。
これについても一ノ瀬さんは賛成だった。
そして、彼女たちにあうベスト構成を相談したら、おおむね僕が考えた通りの内容になった。
やはり、現在は魔法重視の構成になっているため、物理系の構成が必須になってくるそうだ。
第5層は属性スライムが多く、その属性の魔法耐性がものすごく高いのだそうだ。
自衛隊は銃火器をメインにしているため、比較的容易に属性スライムを駆逐できているそうだ。
一ノ瀬さんの知り合いで、彼女たちに合いそうな探索者などがいれば教えてほしいと伝えると、了承を得られたがあまりいい顔はしていなかった。
おそらく彼女たちの了承を得られないだろうと。
確かに、いきなり紹介してさあ組みましょうは無理があるかもしれない。
とりあえず、女性限定で声をかけてくれるとのことだったので、少し待ってみることにした。
これについては僕のお節介でしかない。
彼女たちには死んでほしくない。それが僕の純粋な思いだ。
一ノ瀬さんはこれからダンジョンの哨戒に当たるそうなので、ブリーフィングルームで別れた。
僕は少し居残りをして、さっそくスキルを習得することにした。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
確実に余計なお世話ですよね。
彼女たちは全く望んでいないと思います。
それでも、お節介を焼こうとするケント…
絶対あとでもんだいになるとおもうんだけどなぁ…
では、次回をお楽しみください。
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