050 結果ヒモになりました。
昨日一日パーティーで探索してみたけど、レベルに関してはいまいちだったと思う。
確かに安全マージンは稼げたし、ゆとりをもって探索ができた。
でも、レベルアップを考えたら効率的ではなかったと思う。
今僕のできる選択は
①レベルを10まで上げてランクアップを目指す。
②レベル上げを一旦諦めて、スキルの取得・レベル上げ。それと、ステータスのボーナスポイント振り分け。
おそらくこの二つになると思う。
さらにどちらも二つに分かれる。
1)安全マージンを取りつつ、第4層で探索を続ける。
2)安全マージンを無視して、第5層に降りる。
①は本筋というか、探索者をするなら当たり前のルート。
②は僕のスキルを全力で使っていくルート。ただし、金欠になる可能性が大だったりする。
1)2)はリスクを許容できるかどうかってところだろうか…。
時間も時間だから、朝食を摂りにリビングへと降りてきた。
すでに妹は食事を始めていた。
妹は昨日予定していた通り、市役所でランクアップの手続きを行うそうだ。「ついにFランクだ~」と昨日からずっと呟いている。
正直ちょっとだけいらっとしてしまった。
父さんと母さんは、いつも通り過ごすようだった。
思い切って僕は、今考えていることを打ち明けてみた。
妹と母さんはリスクは許容できないと言い、無理はしないようにと念を押されてしまった。
妹は②を選んでほしいらしい。ずっと先輩面できるからとニヤニヤしていた。
父さんは…少し考えを巡らせているようだった。
父さんとしては②の1)を選んでほしいようだ。
ただ、1)を選ぶということは、金策ができないということに他ならなかった。
僕が決断を渋っていると、父さんは貯金通帳を取り出してきた。
中を見ろと投げ渡されてしまった。
僕はそっと中身を見て驚愕してしまった…
父さんの給料が倍以上に上がっていた…
驚きを隠せないでいると、母さんがそういえば言ってなかったとすっかり蚊帳の外に置かれていたようだった。
父さんはスキルレベルが上がり、大工として一流の仲間入りを果たしてしまったらしいのだ。
しかしだ…しかし、本当にいいんだろうか…
だって、僕35歳なんだよ?さすがにまずいでしょ?還暦過ぎた父親のすねっかじりは…
通帳を持って固まっている僕に、悪乗りしてきた妹が耳元でささやいてきた。
「大丈夫だよお兄ちゃん。私も稼ぐから、ヒモ生活を満喫すればいいよ。」
本当に情けない…
本当に悔しい…
結果②の1)を選択することにした。
正直、レベル上げは今の階層だと頭打ちになってしまう。取得経験値がかなり少ないからだ。
レベル8まで上げてみたけど、これ以上上げるとなるとモンスター討伐のペースを上げるしかなくなる。
そうすると、どうしてもパーティーでの行動の方が安全マージンを稼ぐことができるだろう。
しかし、経験値も等分されてしまうのでレベル上げに時間を要してしまうのもまたジレンマとなっていた。
それならばいっその事、レベルアップの際に取得できるボーナスポイントを振り分けたほうが効率がいいと思うのは当然だと思う。
これは僕しかできない裏技といっても過言ではない行為だ。
と、いろいろ格好つけた言い訳を並べてみたけど…
これからヒモ生活の開始となりました…
早く下層に潜りたいです…
僕は朝食を終えると、さっそく行動に移すことにした。
まずはカイリ達について一ノ瀬さんに相談しようと思う。
丁度、僕が訓練施設へと足を踏み入れた時、訓練場から一ノ瀬さんの部隊が返ってくるところだった。
どうやら運が良いらしい。すぐに一ノ瀬さんに会うことができた。
「おはようございます。今お時間よろしいですか?相談したいことがあります。」
「おはようございます。中村さん。そうですね…、今から1時間後くらいでも大丈夫でしょうか?ブリーフィングルームを借りておきますので。一時間後に受付の自衛官に聞いていただければわかるようにしておきます。」
「お忙しいところありがとうございます。」
短い会話だったけど、なんとかこの後のスケジュールを押さえることができた。
僕は時間までの間、自分のスキルについて考えることにした。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
ついに主人公はヒモになりました。
良いのかこれは?と思ってしまいました…
なので、もういっそのこと振り切って考えることにしました。
諦めました( ;∀;)
誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。
感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。
では、次回をお楽しみください。
※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。




