042 強くなりゆくモンスター
階段を下りた先に広がる光景は、いつ見てもダンジョンとは思えなかった。
空は晴れ渡り、太陽が昇っている。
そよぐ風は心地よく、草木を薙ぎ新緑の香りを運んでくれる。
思いっきり深呼吸をして、改めて気合を入れなおす。
ここからは気を抜くとケガでは済まない場所だ。
心なしか3人の顔が暗く見える。
おそらくこの前の事だろうか…。
「それじゃあ、行こうか。目標は集落一つの殲滅かな?」
僕はあえて明るく振舞った。何でもないように、それが普通であるかのように。
僕の意を察したのか、一番の被害者のカイリが元気よく返事をしてくれた。
「はい!!今度こそは絶対に負けません!!」
カイリの声に二人は顔を上げ、前を見据えた。どうやら覚悟は決まったらしい。
「行こう!!」
三人に声をかけて草原を歩き始めた。
歩きつつ周辺の警戒をしていると、遠目に集落らしき建物が見えた。
おそらくゴブリンの集落だと思う。
ゆっくりと近づき様子をうかがっていると、ゴブリンの姿が見えた。
カイリ達と顔を見合わせ作戦を立てる。
結果ここでもほぼ同じようなパターンとなった。
僕の投擲からの魔法攻撃。
まずは集落の数の確認だ。
見つからないように、さらに慎重に近づいていく。
ようやく中の確認が取れた。
ホブゴブリン1匹にゴブリンが5匹。そのうち1匹は門番役だ。
僕はその辺の石を拾い、投擲態勢に入る。
3人を見やると頷きかえしてくれた。
戦闘開始だ。
当たればラッキーのつもりで、門番のゴブリンへ全力で投擲を行った。
石はそのままゴブリンの胴体へめり込み、腹を押さえながら倒れこんでしまった。
その音を聞きつけたほかのゴブリンが、何やら騒いでいる。そして、武器を構えながら周囲の警戒を始めた。
確認した通り、残り4匹が外へと顔をだした。
警戒中のゴブリン達へ再度投擲を行う。さすがにこれは命中とはいかず、集落の柵に強くぶつかった。
ゴブリンはこちらに気が付き、奇声を上げながら駆けだしてきた。
それを見た、カイリは準備しておいた土魔法を放つ。いつも通りの土の針だ。
今回は時間があったため、少し範囲を広めに設定していたようで、4匹まとめて移動阻害ができたようだ。
待ってましたとばかりに、カレンが風の刃を解き放った。
コントロール良くゴブリン達に襲い掛かり、その首や胴を切り裂いていく。
さすがに倒し切れなかったのか、2匹がいまだ蠢いていた。
アスカから強化バフをもらった僕は、全力で近づき今にも襲い掛かりそうなゴブリンの首をはねた。
転がる生首は、どこか恨めしそうであった。
これでゴブリンはいないはず。
のそりのそりとホブゴブリンが顔を出した。
そして倒れるゴブリンを確認すると、威圧の咆哮を放った。
僕は何とか耐えれたがアスカが少し顔が青ざめていた。
これはまずい、てんぱらないといいんだけど。
ホブゴブリンがこちらへ駆け出すのを確認した僕は、盾と剣を構え迎撃態勢を整えた。
今だバフは効いている状態。二人の魔法でのフォローもある。
これで何とかならなければ、男が廃るってもんだ。
僕を敵と見据えたホブゴブリンは、その手にした大きな棍棒を軽々と振り回し襲い掛かる。
少しでも威力を下げようと、カイリとカレンが魔法で牽制を行う。
カイリは今度は土の壁を出現させる。
ホブゴブリンは鬱陶しそうに棍棒を振り回し破壊していく。
カレンは得意の風魔法を放ち、援護射撃を行ってくれた。
僕の脇を通り抜けていく風の刃は、ホブゴブリンに無数の切り傷を作っていく。
しかしホブゴブリンは、「魔法など効かぬ!!』とばかりに棍棒を振り回してくる。
ついにホブゴブリンとの制空権が重なり合った。
目標を僕に定めたホブゴブリンは、思いっきり振り上げた棍棒を叩きつけてきた。
気合を入れて構えた盾に「ゴガン!!」っという音とともに衝撃が走った。
ガードに成功したものの、左腕はしびれて使いものにならなくなってしまった。
右手で構えた剣を咄嗟にホブゴブリンに向けたものの、すでに離脱しており、再度硬直状態となってしまった。
しかし、その隙を逃がす二人ではなかった。
カイリが火属性+の爆発系魔法をホブゴブリンの目の前で発動させた。
ホブゴブリンは目の前で突然爆発が発生したものでガードが間に合わず、ふらつきながら片膝をついてしまった。
カレンはここぞとばかりに風属性+の風の刃でホブゴブリンを切り刻む。その数はすでに10を越していた。
ホブゴブリンはやっとのことで立ち上がるも、その全身から体液をまき散らしていた。
僕は瀕死の状態のホブゴブリンに全身でチャージを仕掛け転倒させると、その首に剣を突き立てた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
当初であった頃より、ホブゴブリンは確実に強くなっています。
ケントだって強くなったるはずなんですけどね。
防御が手一杯になってます。
まあ、そもそも論武器防具新調してませんし。メンテだってどっかに出してるわけじゃないですからね(;^ω^)
ちなみに、トップランカーの方々はキチンと装備更新とメンテを行っております。
あともう数話後…お待ちかねの展開でございます。
今から作者はワクワクが止まりません。
誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。
感想・評価・ブクマいただけると作者は頑張れます。
では、次回をお楽しみください。
※ほかにもちょい読みシリーズ他作品掲載中です。頑張って毎日掲載しています。




