031 我思う故に我有り
僕は一ノ瀬さんと話したときにある相談をした。
これから先の階層…第4層以降の相談だ。
一ノ瀬さん曰く、「ソロで潜ることはおすすめしない」との事だった。
理由は一段階モンスターが強くなるからだ。
特に第4層のゴブリンがとても強くなるそうだ。
種類も増えて連帯攻撃が頻発するのだとか。
特に、アーチャー・メイジ・ヒーラーの存在が厄介で、おそらくソロは苦戦必至らしい。
できることならば、第4層へ行く前にパーティーを組んでほしいとお願いされた。
正直、僕もパーティーは組みたいと思っている。
この前の『イレギュラー』の存在がそれを強く意識させた。
だけど、僕のスキルのせいでそれがとても難しいと考えてしまう。
あまりにも異質すぎて、隠し通せそうにないからだ。
一ノ瀬さんが心配してくれるのはとてもうれしかった。
だからこそ、今は無理をしないようにしようと心に誓ったのだった。
一ノ瀬さんと別れ、ダンジョンへと足を踏み入れた。
受付ではもう慣れたもので、止められることは無くなった。
それでも心配そうにしてくれることにうれしく思えた。
そして第3層まではとても順調に進むことができた。
・ゴブリン5匹
・スライム6匹
・ハンティングウルフ8匹
これが討伐内容だ。
さすがにレベルが上がらなくなってきた。
それと、今日から決めたルールが一つある。それはステータスを振るのは基本夜にするというものだ。理由はダンジョン内で上げると体のバランスが極端に崩れてしまうからだ。前回それでやらかしたので、同じ轍は踏まないようにとの措置だ。
ドロップアイテムは…
・魔石(極小)が9個。
・こん棒が2本。
・スライムゼリー(青)が1つ。
・ハンティングウルフの毛皮が2枚
・ハンティングウルフの牙が1本
・ハンティングウルフの肉が1塊
これはいい収穫だったかな?
順調に階層を降りてきた僕は、第4層の探索を開始した。
少しすると小さな集落を発見。
数はでっかいゴブリン改めホブゴブリンが1匹。ゴブリンが5匹だった。
これなら問題ないと思い、周囲の石を集め投げつけた。
面白いようにゴブリンの体へと石が吸い込まれていく。
ゴキン!!
グシャ!!
ゴボン!!
ドガン!!
ち~ん!!
いろいろな音色でヒットする石に、「実は意思が宿ってるのでは?」と思うけど、気にしたら負けな気がしてきた。
「グルオワァァァァ~~~!!」
次々倒れる仲間のゴブリンを見て怒りを覚えたホブゴブリンは、ひと際でかい咆哮を上げ襲い掛かってきた。
振り上げられた棍棒は、正確に僕を狙ってくる。
全力で回避した僕は、転がりながら態勢を立て直した。
やっぱりだ、個体によって強さがまちまちな気がする。つまりそういうことか…。おそらく自称神の言う【生物】にモンスターも含まれてる可能性があるってことかもしれない。
前戦ったホブゴブリンもかなり強く感じた。でも、今目の前にいるこいつはそれよりもさらに強く感じる。すでに気のせいってレベルではない気がする。
回避に成功した僕を見据えて、じりじりとホブゴブリンは迫ってきた。
僕も盾を構えなおしてホブゴブリンの隙を伺う。
どのくらい時間がたったのだろうか。
1分か…
10分か…
体感的にはかなり長く感じる。
先にしびれを切らしたのはホブゴブリンだった。
「ゴガァァァァ~~~~~~!!」
今一度大きな咆哮を上げると、振り上げていた棍棒を全力で振り下ろしてきた。
僕は手にした盾でいなし、そのまま脇腹を切り付けた。
しかしホブゴブリンはひるむことなく、そのまま棍棒を振り回す。
間一髪盾で防いだものの、大きく後ろに飛ばされてしまった。
何とか壁に激突は免れたけど、ダメージが残ってしまった。
左腕は…折れてはいないもののしびれが残っている。これはまずい…。
焦る僕を尻目に、ホブゴブリンは僕に向かって迫ってきた。
しかし、その勢いは長くは続かなかった。
ホブゴブリンは僕に近づく前に力尽き、前のめりで倒れこんだ。
しかし、その目はまだ死んでおらず、仲間の敵を取ろうと必死だったことがうかがえた。
僕はそんな目を見て一瞬ひるんでしまったが、心を鬼にしてその首をはねた…
畜生…
これではどちらがモンスターなのかわからなくなってしまう…
まさか…モンスターにも感情があろうとは思ってもいなかった。
その感情は初めからだったのか。
それとも【生物】の【進化】によるものなのか。
本当に自称神が何をしたいのかがわからなくなってきた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
はい、新たな謎ができてきました。
作者的に…これ、大丈夫なん?って思っております。
収集付かなかったらどうしよう(;^ω^)
が、頑張って最後まで書き上げますから!!
応援よろしくお願いしますm(_ _"m)
誤字・脱字等ございましたらご報告いただけると幸いです。
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では、次回をお楽しみください。




