030 最悪の懸念 抱く覚悟
昨日の仮説を考えると嫌なことばかり考えてしまい、よく寝れなかった。
朝食の時、今日の予定を家族と確認しあった。
妹は今日はオフ日らしく、家でゆっくりするとのことだ。明日からはまた食材系ダンジョンでお肉を狩るぞ!!って意気込んでた。
父さんはいつも通り現場作業だってことで、すぐに家を出るそうだ。
母さんはそれこそいつも通りで、家事全般を引き受けてくれている。ほんとありがたい。
やはり良くない考えが巡ってくる。
うん、気にしてても仕方がない。
僕は母さんに頼んで、昨日の疑問の検証に付き合ってもらった。
検証内容は次の3つ
①殺虫剤で殺した場合経験値が入るか
②スキルを使わないで殺した場合経験値が入るか
③スキルを使って殺した場合経験値が入るか。
今日はちょうど燃えるゴミの日で、ゴミステーションにGの黒いやつが湧きやすい条件がそろっていた。
G駆除を名目に、母さんと検証することにした。
妹も気になるってことだったんで、3人でゴミ捨てがてらゴミステーションへ向かった。
まず最初に、②の検証から。
ハエたたきで滅多打ちして数匹倒すとレベルが上がった。今の母さんのレベルは4だったから、5に上がったはず。つぶした数も8匹…。おそらくあってる。
次に③の検証。
結界のスキルで次々につぶしていく。ってか、いったい何匹いるんだよ。しばらくするとレベルが上がったらしい。
最後に①の検証だけど…Gがいなくなった。
検証はここまで。
これ以降は次の燃えるゴミの日にやることにして、ゴミステーションを後にした。
家に戻り検証結果を考察してみた。
正直、一番合ってほしくない結果でもあった。
それは、【生物】から経験値が得られる。
【生物】が【魔物化】によって経験値が得られるという状況も、ある意味問題だけど…
【生物】の殺傷が経験値を得る条件だったとしてら…
あの自称神が言っていた
「地球上のすべての【生物】に進化の時がやってきた」
これが本当ならば、進化しているのが人だけではない可能性も捨てきれない。
ダメだ。思考がまともな方向に働かない。
妹も母さんも顔が少し青くなっている。おそらく僕と同じ考えに至ったのだろう。
とりあえず、この件に関してはいったん棚上げにして、口外を避けようということになった。
妹もGを殺して経験値稼げるならって最初は簡単に考えていたみたいだ。検証結果とともにSNSに流そうとも考えていたみたいだ。
しかし、結果はおそらく最悪の事態を想定しなくてはならないと告げてきた。
僕はこの件について一ノ瀬さんに相談することにした。
母さんたちにもそのことを告げて家を出る。
正直かなり気が重い。おそらく自衛隊としても何か掴んでいるとは思う。だからこその答え合わせ。いまだこの件について国からの発表がないということは、きっとそういうことなんだと思う。
バスに乗って、訓練施設に着くとちょうど一ノ瀬さんがダンジョンから帰還してきた。
ナイスタイミング。
僕は一ノ瀬さんに駆け寄って、今朝の検証について相談をした。
やはりといえばいいのか、自衛隊でもそのことについて問題になっていたみたいだった。
詳しくは研究中だということだけども、大まかには僕が検証した内容と推測に間違いはないようだった。
そして、一ノ瀬さんの一番の懸念は【生物】の殺傷による経験値の獲得に絞られているそうだ。対象が昆虫だけなのか、生物全般なのか。それに【人間】は含まれるのか…
一ノ瀬さんの顔がとても沈んで見えた。おそらく今の研究段階では【人間】も含まれる可能性が高いということだろうか…
その検証をするためには【人間】の犠牲のもとでしかできないのだから。
一ノ瀬さんからこの件については伏せていてほしいと念押しをされた。いらぬ憶測で人殺しを増やしたくない。それだけだった。
僕もそれについては賛成だった。誰が好き好んで人殺しになりたいものか。
一ノ瀬さんと会話を終えると、僕はダンジョンへ向かった。
やはりレベルを上げて、いざという時に大切な人たちを守れるようになりたいと思ったから…
そして今日も僕は、ダンジョンへ足を踏み入れた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
検証結果は…最悪の事態の想定
自称神はいったい何を考えているのか。
これについてはすでにギミックは動き始めております。
気が付く人はたぶん気が付いているとは思いますが…
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では、次回をお楽しみください。
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