表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】スキルクリエイター 〜レベルを犠牲にスキルを創る。でも、レベルが低くて使えないってどう言う事ぉ〜〜⁉〜  作者: 華音 楓
第5章 富士攻略編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

156/161

154 ひとまずのゴール

ゴゴゴゴ


 軽い揺れを感じるほど屋敷は揺れていた。

 カイリは何事かと思い部屋を出ようとドアノブに手をかけるも、びくともしなかった。

 念の為と窓のサッシを動かそうとしてみるも、ハメ殺し窓のようで動く気配はなかった。

 情報もなく、ただただ微振動が繰り返される。


コンコンコン


 不意に来客を付けるノックの音がドアから聞こえてきた。


「はい。どちら様ですか?」


 念の為と誰何を行うカイリ。

 そこには懐かしいとさえ思える声が聞こえてきた。


「カイリ、大丈夫?!」


 聞こえてきた声の主はカレンであった。


「カレンちゃん!?」

「良かった!!カイリ、危ないからドアから離れて!!」


 カレンの声に従い、カイリは入り口ドアから離れる。

 それと同時にドアが切り裂かれた。

 カレンの魔法によるものだ。


「カイリ、無事でよかった!!」


 部屋に飛び込むなりカイリに抱き着くカレン。

 そのあとから遅れて入って来たアスカもまたカイリに抱き着く。


「早くここを出るよ。準備して。」


 外を警戒しつつ、カイリ達に気を向けている歩に一つ頭を下げカイリは準備を始める。

 本来の装備品は全て奪われてしまっていたので、予備の物を装着。

 性能は一段劣るものの、それでも今はないよりましと考えて行動を開始した。


「歩さん!!」

「きなさったね。三人とも戦闘用意!!」


 普段の気楽そうな態度とは打って変わって真剣そのものの歩の姿に少し違和感を覚えつつも戦闘態勢に移行する3人。


「姉さん!!後方の援護を頼む、前方は俺が抑える!!歩さんも頼みます!!」

「龍之介、任せたわ!!」


 由貴乃と龍之介も戦闘態勢に移行し、襲い来るモンスターたちの襲撃に備える。

 しかし姿を現したものに6人全員が愕然としてしまった。

 確かに気配はモンスターそのものだった。

 そこにいたのは……自衛官であった。


「自衛隊!?どうして?!って【ウォークライ】!!【シールドマグニフィケーション】!!」


 驚きつつも咄嗟に自分へヘイトを向けさせる龍之介。

 この辺りは歴戦の探索者とでもいえばいいのだろうか。

 早い判断により、すべての攻撃が龍之介へと集まっていく。

 前に掲げられたタワーシールドは【シールドマグニフィケーション】のスキル効果によってその大きさを広げていった。

 透明に拡大したシールドにぶつかる無数の弾丸。

 弾丸は龍之介に対しては大して脅威とならなかったが、数が数だけにその衝撃は蓄積されていく。


「どうして自衛隊が俺たちを攻撃してくるんだ?!」


 龍之介の疑問はもっともな物であった。

 自分たちを守るはずの自衛隊が、自分たちの敵として立ち塞がる。

 しかもその手には銃火器をもって。


「どうもこうもそう言う事なんじゃない?そもそもあたしたちが監禁された時点でそうだって事でしょ?」


 若干の憤りを交えながら歩は答える。

 この状況をどう乗り切るべきか思案するも全く答えが浮かばずにいた。


「【スロータイム】!!」


 カレンが魔法を発動させる。

 するとどうだろうか、突如として自衛官の動きが緩慢になったのだ。

 むしろ、放たれた弾丸もまたゆっくりと動き出した。


「それほど持ちません、一気に突破しましょう!!」


 カレンが声をかけると、皆一斉に走り出した。

 由貴乃は殿に金属人形(メタルドール)を出現させて、走り出す。

 タワーシールドを前方に構えシールドチャージをかける龍之介。

 ゆっくりと押しのけられて吹き飛ばされるという状況に何とも言えない気持ちになりながらも包囲網を崩していく。

 突破し終えてもなお勢いそのままで走り抜ける。

 6人の姿を視界に収める事が叶わなくなった自衛隊は、魔法が解けた瞬間に追跡を開始したのだった。




「こっちだ!!」


 カイリ達が包囲網を突破してしばらく走ると、前方から声をかけられる。

 見つかったかと思い、緊張感が否が応でも高まっていく。


「カイリちゃん!!こっちだ!!」

「谷浦さん!?」


 カイリ達を呼んだのは同じく捕まっていた谷浦であった。

 谷浦はカイリ達を一室に引き入れると周辺警戒をしつつそのドアをそっと閉じたのだった。


「こっちへ。」

「無事だったんですね。」


 谷浦が先導するように部屋を進んでいく。

 その後ろからアスカが谷浦に声をかける。

 それは仲間の無事に安堵したからだ。


「その話はあとで。今はここを切り抜ける方が先だからね。」


 そして部屋の隅に来ると、今度は壁の一部がゆっくりと動き始める。

 音もなく壁が動くとそこにはさらに奥に続く道が現れた。


「着いてきて。」


 そう言うと奥へ進んでいく谷浦。

 その姿を見失わないようにと足早に奥へと足を踏み入れていった。






 何度目かの打ち合いの末、一度仕切り直しとばかりに距離を開けるケントと岸和田。

 互いに息を整えるように肩で息をしていた。


「さすがは中村さん。亜神になっただけはある。こちらも本気を出さざるを得ないようですな。」

「何を言ってるんだ?さっさと終わらせるぞ?」


 そしてまた打ち合いが始まる。


 ガキンガキンと金属音があちらこちらで聞こえてくる。

 あまりの速さと重さに、一撃ごとに衝撃波が発生していた。

 それがダンジョンの壁にぶつかり地面を揺らす。

 その揺れがカイリ達のいる場所へと伝わっていたのだ。


「やはり素晴らしい肉体だ。依り代としてこれほどの物は準備できません。さすがとしか言いようがない。」

「黙れ!!」


 ケントの怒りが更に増していく。

 怒り・焦りがケントを支配していく。


 さらに続く剣戟。

 既に何度切り結んだことか。

 ついに互いの剣が悲鳴を上げる。


パギャン!!


 今まで聞いた事の無い音と共に、両者の剣がついに砕け散ったのだ。


「これはすごい。初めての体験だ。まさかこの剣が砕けるとは……」


 それでもまだ余裕を見せる岸和田。

 対照的にケントには焦りが色濃く見える。

 少しでも早くカイリの元へ。

 ただそれだけがケントの願い。

 それが足枷となり、焦りとなり、怒りとなりケントを支配していった。

 既に目は血走り、鬼の形相となっているケント。

 その様子を見て岸和田はニヤリと笑って見せる。

 互いの精神状況の違いが如実に表れた一瞬であった。


「ではこれで最後としましょう。中村さん、その体もらい受ける!!」


 それまで本気では無かったと言わんばかりに駆け出す岸和田。

 あまりの速さに一瞬その姿がぶれてしまうほどであった。


 何処からともなく現れた剣を片手に握り切りかかる岸和田。


キン……


 くるくると舞う切っ先。


トサン……


 岸和田の握りしめていた剣は柄を残して斬り飛ばされていた。

 何が起こったのか分からなかった岸和田は一瞬硬直してしまった。

 思考が停止し、ケントが迫っていることにすら気が付いていなかった。

 そして気が付いた時にはすでにケントの刀の刃が己の首筋に触れていたのだった。


「な、なぜ……?」


 そう言いかけるもかなわず、その命が摘み取られたのだった。


「【レベルドレイン】」


 命尽きかける岸和田に、無情にも発動されたスキル。

 薄れゆく意識の中で岸和田は笑みを浮かべた。


「これで、やっと解放される……」


 それが岸和田の最後の言葉だった。




『コングラッチレ~~~~~~ション!!素晴らしい!!やはりあなたがこの物語を完結させたのですね!!私の目に狂いはなかった!!』


 突如聞こえる苛立ちを感じさせる声。

 ケントはその声の主が誰か分かっていた。


「【プロメテウス】……」

『おや?あぁ、そうですか。彼を吸収したのですね?ならば私の事も分かるはずですね。』


 ゆっくりと【元始天王】(ダンジョンコア)の周りが歪み始める。

 人一人通れるであろう大きさまでゆがみが広がると、中から一人の人物が姿を現した。

 ケントたちが初めて見た自称神の姿そのものであった。


「改めまして。僕は~~~~~~~~~~!!神デス!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=791510211&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ