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【完結】スキルクリエイター 〜レベルを犠牲にスキルを創る。でも、レベルが低くて使えないってどう言う事ぉ〜〜⁉〜  作者: 華音 楓
第5章 富士攻略編

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146 向う者と進む者

『つまらん!!つまらんぞ!!手ごたえが無さすぎるぞ!!』

『うるさい筋肉だるま!!』

「二人ともナイスコンビネーションだね。」

『主~。二人は仲良しさんだね。』

『『違う!!』』


 ワイワイと近所を散歩するかの如く進んでいくケント一行。

 今攻略中なのは、日本最難関ダンジョン【富士の樹海ダンジョン】である。

 しかし、彼らからすればさほど苦になるレベルでは無く、すでに第30層まで進んでいた。


 現在の最高到達階層は第79層。

 第80層ボス部屋の攻略をするために一度撤退し、これから攻略しようとしていた矢先であった。

 その先頭を行っていたのが、『氷炎の双牙』であった。

 ランク第1位だけありその実力は折り紙付きである。

 そのバックアップに当たっていたのが、ランク第5位の『難攻不落の城壁』と第2位の『影無し』であった。


「それにしても、ここって本当に最難関ダンジョンなのか?それほどきつくは思えないんだけどな。」

『なに、吾がいれば問題無かろうて。大船に乗ったつもりでいるがよいぞ!!くわぁ~ッはッは!!』


 先頭を無双状態で突進していたタクマが、あらかたモンスターを退治し終えたようでケントの元へと戻ってきていた。

 その後ろから多田野も戻っており、偵察は完全に煉獄で行っている様であった。

 多田野としても煉獄の使い勝手の良さに大満足であった。


『そうだ、ケントさん。あとで魔石いくつか分けてください。』

「ん?構わないけど……何か新しい魔導具造る気?」


 そんな何気ない会話をしている二人だが、既に階層は第40層手前のボス部屋前であった。

 多田野はケントから大型の魔石をいくつか受け取ると、自分が持っていた金属やらの素材をインベントリから取り出し、何かを造り始めた。

 こうなると梃子でも動かないのはいつもの事であった。

 若干呆れ顔のケントは、手早くテントを設置し休憩モードへと移行したのだった。




『出来た!!』


 しばらくケントが休憩を取っていると、作業していた多田野が大声を上げて何かを掲げていた。

 それは煉獄よりも二回りは大きい物体であった。

 その物体をニマニマしながら眺める多田野は、はたから見て正直あまり気持ちのいい顔では無かった。


「タケシ君。何を造ったんだい?」

『あ、ケントさん。実はですねぇ~』


 多田野はにやけた顔をそのままに、新たに制作した魔導具を稼働させた。

 ブオンという何か不思議な音と共に、空中に浮かぶソレは一種異様な雰囲気を醸し出していた。

 銀色に光る金属質を思わせる躯体はほぼ球体で、魔力を使って空中に浮いているようだった。

 おそらく地上で空中に浮かんでいれば、「UFO!?」と言われること間違い無しのフォルムである。


「これは?」

『煉獄の姉弟機で【雷獄】って名付けました。』


 うっとりとして目で見つめる多田野を見たケントは、若干引いていたのは気のせいではないだろう。

 ケントの頭には一瞬“煉獄は姉なのか?”とよぎったが、話を進める為にこらえていた。


「で、どんな効果なの?」

『レールガン!!』


 どや顔で胸を張る多田野。

 ケントは少しだけ心が躍ったが、なんとか顔には出さないように努めていた。


「でも、レールガン使う程戦闘範囲広くは無いでしょ?」

『レールガンの他にコイルガンとか、磁界拘束網とかも装備済みです!!』


 ケントは「それはどこのロボットだ!!」と心の中で突っ込みを入れていた。

 しかし、やはり心が躍ってしまっており、耐えに耐えていた。


『なんと!!これはすごいな。』


 タクマがラーとのトレーニングを終えて戻ってくると、多田野が造り出した雷獄を見て目を輝かせていた。

 タクマもまた男の子だったという事だろうか……


 一通り新魔導具で遊んだタクマは満足したのか、いい汗かいた的に汗をぬぐっていた。

 それに付き合った多田野は、いいデータが取れたとほくほく顔であった。


「じゃあそろそろ行こうか。」


 ケントの掛け声に一気に顔つきの変わる面々。

 と言ってもやはりどこか近所に出かける感は変わりはなかったようであった。






 カイリ達は、元居た小部屋から慎重に外を伺っている。

 今のところ視界範囲内にはモンスターの姿はなく、少しの安堵を得る事が出来た。

 慎重に行動を起こしたカイリ達は、警戒を怠らずダンジョンの探索を行っていく。


「ストップ!!」


 しばらく進むと、歩が全員に停止の指示を出した。

 それを受けて由貴乃は戦闘態勢への移行を指示。

 皆一様に警戒感をあらわにしていた。


「待って……、うん、モンスターは2匹。あたしも出会ったことの無いモンスターだね。」


 飄々とした雰囲気はそのままだった。

 しかし醸し出す空気感が一気に変化していく。

 ……獰猛な笑みとともに。


「つまり、これまで探索したことの無い階層って事ね。」

「そう思ってもらっていいよ。しかもこの空気感からして笑えない。」


 歩の緊張感と高揚感がパーティー全体に伝播していく。

 ゆっくりと前進していくと、前方に2匹のモンスターが確認できた。


 巨大な体躯と牛の様な顔つき。

 頭部には2本の角が見える。


「あれってミノタウロスってやつじゃないか?」


 その姿を見た龍之介は体をこわばらせていた。

 ミノタウロスの体躯は3mを超えており、その手には両刃の戦斧が握られていた。

 それを軽々と扱うさまは、龍之介としても抑えられるか不安が残るところだ。


「2匹相手は厳しいわね。つり出そうとしてもおそらく2匹とも寄ってくるだろうし……」


 由貴乃は攻略方法を考えるも思いつかなかった。

 ただでさえその巨大な体躯である。

 耐久値が高いのは明白であった。


「取り敢えず一匹やっちゃおっか?」


 そんな由貴乃の苦悩を知ってか知らずか、歩は軽い調子でそのまま歩き始めた。

 驚きを隠せず慌てて歩を止めようと由貴乃が手を伸ばすが、歩の姿が徐々にぼやけて良き、とうとうその姿を確認することが出来なくなった。


「(あ、ごめん。言ってなかったね。あたしは『無影(かげなし)』のリーダーなんだ。サクッと一匹殺してくるから、残り一匹お願いね?)」


 何処からともなく聞こえた声に驚きを隠せず、危うく声を上げそうになったカイリ。

 それでも声を殺しているだけ、探索者として成長していたのかもしれない。

 カイリ達は事前に決めていたフォーメーションを取り、ミノタウロスとの距離を詰めていく。

 まだ相手の索敵範囲に入っていない為か、カイリ達は発見されていない。

 それを好機とさらに距離を詰める。


 残り100m……


 突如吹き上がる血の噴水。

 ミノタウロスの1匹の首が宙を舞った。

 くるくると回転しながら落ちてゆく頭部がスローモーションのように感じたカイリ達。


 ブモォ~~~~!!


 自分の仲間が突如倒されたのを理解したもう一匹のミノタウロスが、咆哮を上げる。

 手にした戦斧をあたりかまわず振り回して、見えない敵に攻撃を仕掛けるかのようだった。

 そしてようやくミノタウロスは、自身のテリトリーに近付いてきていたカイリ達に気が付いた。

 怒りのまま駆け出すミノタウロス。

 ドスンドスンと地面を揺らすほどの振動が、カイリ達にも伝わってくる。


「来るぞ!!」


 龍之介は気合と共にその巨大なタワーシールドを前方に構え、ミノタウロスとの衝突に備える。

 シールド下部に備え付けられた3本の杭を地面に突き刺し、シールドに体重を預ける。

 次の瞬間。


 どガシャン!!


 激しい衝突音と共に、衝撃が龍之介を襲った。

 ミノタウロスは体当たりするのではなく、その戦斧を円を描くように振り回し、タワーシールドに打ち付けてきたのだ。


 龍之介はなんとかその衝撃に耐えきって見せた。

 しかし、そのあとの数発の攻撃の衝撃に耐えきれず支えていた身体ごと後方へ少しずつ後ずさりさせられてしまった。

 それでも抑え切ったのだから、龍之介のフィジカルの高さがうかがえる。


 ミノタウロスも抑え込まれるとは思っていなかったようで、さらに怒りを爆発させる。

 今一度咆哮を上げると、さらに激しい一撃を放とうと戦斧を振り上げる。


「させない!!金属人形(メタルドール)!!」


 慌てて由紀乃がスキルを発動させた。

 高さ2m越えの人型の金属人形(メタルドール)が振り上げたミノタウロスの腕を抑え込む。

 ミノタウロスと金属人形(メタルドール)の膂力は拮抗しており、ミシミシと金属人形(メタルドール)が軋みを上げていた。


「爆炎3式!!」

「切り刻め!!」


 カイリが放った激しい爆炎がミノタウロスを包み込んだ。

 燃え盛る炎は渦を巻き立ち昇る。

 さらにカレンが創り出した激しい風の刃が無数に殺到し、切り刻んでいく。

 そして炎の渦が風の刃を飲み込み、新たな姿へ変えていく。


「「炎天の剣!!」」


 炎の渦巻きからエネルギーを得た風の刃が炎を纏い、ミノタウロスに襲い掛かかかる。

 払えど払えど何度も襲い掛かる刃に、徐々に出血量を増やしていくミノタウロス。

 徐々にその声に力が無くなっていった。

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