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【完結】スキルクリエイター 〜レベルを犠牲にスキルを創る。でも、レベルが低くて使えないってどう言う事ぉ〜〜⁉〜  作者: 華音 楓
第4章 首都圏解放戦線

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118 予想外のモンスター

「やっぱりそうくるよ……な!!」


 ケントは空中から飛び降りる形で、ディフェンダーに向けて剣を振り下ろした。

 ディフェンダーも来ることを予測していたようで、上方に盾を構えて受け止めて見せた。

 ケントがその一撃で終わる訳もなく、すぐさまナイトに向けて【結界】を数枚張り直す。

 ケントの隙を窺って飛び掛かってきたナイトは、見事にその【結界】に阻まれ顔面を強打してもんどりうっていた。

 その【結界】の張るタイミングも絶妙だったためか、完全に無防備だった。

 すぐさまケントは移動を開始し、今度は後衛組に狙いを絞った。

 それにつられるように前衛組が後方に引っ張られる。

 ゴブリン達の陣形が徐々に小さくなってきていた。


 多田野はその陣形状態を見て、ケントが何をするつもりか理解した。

 おそらく一気に倒しきった場合を知りたいのだろうと。

 多田野もそれに答えようと武装を変える。

 現在待機中の全ての砲身を一度キャンセルし、新たな砲身を作り出す。

 6連装ミサイルランチャ―を6門。

 多田野が扱える限界量だ。

 多田野の作り出したミサイルランチャーはタダのミサイルランチャーではない。

 スキル【魔銃作成】によって作り出され、ミサイルはスキル【魔弾作成】によって作り出される。

 つまり多田野次第で、いくらでも撃ち出せるということだ。


 多田野が準備を整えるころ、ケントはさらに後方をかく乱していた。

 5匹のゴブリン達は、ケントの動きを追うにつれて、どんどん近づいていく。

 その距離すでに10mを切っている。

 横目で多田野がやろうとしていることを察したケントは、5匹の足元に瞬時に【結界】を展開する。

 動こうとした5匹は足元に急に出現した障害物に足を取られ、つんのめって地面とキスをすることになった。

 ケントは一気にその場を離脱した。


 次の瞬間。


 パシュ~ン、パシュ~ンっという気の抜けた発射音が連続で響き渡った。

 少しの静寂の後、さっきまでケントが居た場所は火の海と化した。

 それでも容赦なく撃ち込まれるミサイル群に、ゴブリン達も成す術が無かったようだ。


 多田野が撃ち込みを止めると、そこには何も残っていなかった。

 そう、何もだ。


 綺麗に魔方陣が消え去っていたのだ。

 ただ、消えたのはマジシャンとヒーラーが出現した2つのみだが。

 これは嬉しい誤算だった。

 何かのはずみで魔方陣は消えてしまった。

 紛れもない事実に、ケントは内心歓喜した。

 おそらくこれがこのボス部屋の攻略方法。


 多田野はここぞとばかりにミサイルを撃ち込んだ。

 そうはさせまいと、ジェネラルが大声で叫んだ。

 その叫びにつられて、ワンテンポ早く召喚されたゴブリン達。

 しかし、それでもミサイル群をどうこうすることも出来ずに、魔方陣と共に消滅してしまった。


「ギュギョギョギョギャ!!!!」


 怒りを増して叫ぶジェネラル。

 これで何とかなると多田野は思い、気を抜いていた。


ざくり……


 多田野の足が切り付けられていたのだ。

 いつ誰にどうやって!!

 多田野はパニックに陥った。

 ジェネラルは剣を振っていない。

 スキルも発動した形跡も見られない。

 ならなぜ!!


 すぐに手持ちのポーションで傷を回復した多田野は、周辺警戒を行った。

 だがそこには何もいなかった。


 ケントもまた正体不明の攻撃に、少しだけ焦りを感じていた。

 もし今の攻撃が首元に来ていたら、一瞬にしてアウトだ。


 見えない敵、見えない攻撃……


 ケントは周囲を見回し気配を探った。

 そしてある違和感に気が付いた。


 どうして魔方陣は5個だと思ったんだ?

 俺たち探索者の様にこいつらは縛られていないはずでは?


 ケントは全力で魔力の流れを確認した。

 すると徐々に見えてきたのだ……黒い靄が上方に流れているのを。

 そして見上げた先にうっすらと魔方陣が見えていた。


「タケシ君上だ!!魔方陣がもう一個!!」


 多田野はケントの声につられ、上を見上げて「やられた!!」と叫んだ。

 と、同時に展開中のミサイルランチャーを天井に向けて、全弾射出しようと試みた。

 しかしここでも邪魔するものがいた。

 そしてその正体にケントは気が付いた。


「ゴブリンアサシンか!!」


 そう、不可視の攻撃を仕掛けていたのは、天井に設置された魔方陣から出現したゴブリンアサシンだった。

 ジェネラルは派手な演出でケント達の目を自分と5つの魔方陣に向けさせていたのだ。

 その隙に天井の魔方陣からアサシンを呼び出して潜ませていた。

 決定的なスキを見つけるために。


 ケントは一気に加速し、攻撃を仕掛けようと多田野に飛び掛かっているアサシンに体当たりを見舞った。

 普段しない攻撃方法にケント自身が驚いていた。


 吹き飛ばされたアサシンは空中で態勢を整えて、きれいに着地した。

 多田野はその隙に全門射出して魔方陣を吹き飛ばしにかかった。

 アサシンはそうはさせじと、もう一度多田野に襲い掛かろうとした。


 しかしその時、多田野の口元が薄っすらと笑みを浮かべていた。


「そう来ると思ってたよ。」


 多田野がそう言うと、ミサイルの一部がジェネラルとアサシンに向かって飛翔した。

 それに慌てたジェネラルとアサシンは、すべての行動をキャンセルして回避行動を始めた。


 ケントはその隙を見逃さずにアサシンに斬りかかる。

 そして見事にその胴体を剣が捕らえ斬り付ける。

 一瞬体勢が崩されかけたアサシンは、無防備に姿を晒してしまった。

 そこに狙いすましたかのように多田野がライフルで追い打ちをかけた。


 見事に撃ち抜かれた心臓部分を手で触り、そのまま消えていくアサシン。


 残されたジェネラルは……

 それでもまだ余裕の表情を浮かべていた。


「あいつはさすがに倒せる自信はありませんよ……」


 多田野の言葉は、今の多田野の現状を鮮明に物語っていた。

 度重なる魔弾の使用で、すでにSPの残量が2割を切っている状態だったのだ。

 その状況を見て、ケントはこの戦いを終わらせることを決めた。


「わかった。ジェネラルは俺がもらう。」


 ケントはそう言うと、ジェネラルに向けて左手を突き出した。


「【レベルドレイン】」


 ケントの無情な宣告がボス部屋に響き渡る。

 ジェネラルは何が起こるのかわからず、まだニヤニヤとうすら笑みを浮かべている。


 そしてケントが突き出した左手を握りしめると、ジェネラルはそのまま倒れこんでしまった。

 ぴくりとも動かず、ただ静かに横たわっている。

 ほんの一瞬。

 多田野が気付いた時にはすでに決着はついていた。

 何が起こったか理解出来なかった多田野は、ケントに視線を送った。


 ケントは何事も無かったかのように倒れたジェネラルに近付いていく。

 次第にジェネラルの身体は消えてゆき、そこにはドロップアイテムだけが残されていたのだ。


「ケントさん……。そのスキル、チートじゃないですか……」

「ん?まぁ、そうだね。動かれるとめんどくさいけど、ああやって止まっている奴はもろに鴨だからね。」


 二人はゆったりとした足取りで、ジェネラルが居た場所へ移動していた。

 床に散らばるドロップアイテムを集めた二人は、ボス部屋中央でその確認を行っていた。


「ケントさん、意外と豊作じゃないですか?」

「そうだね。おそらく魔方陣もモンスターだったんだと思うよ。そうじゃないと数が合わないから。」


 多田野の手には14個の魔石が集められていた。

 ジェネラルとナイト2匹、ディフェンダーにヒーラーとマジシャン、最後にアサシンの計7匹。

 ヒーラーとマジシャンは2回倒しているが、おそらく1匹分しか出てこなかったのだろうと考えられた。

 そうすると、おのずと答えが出てくる。

 魔方陣自体がゴブリンを生み出すモンスターだったのだと。


「こんなモンスター見たことなかったですよ……。こいつが増えたらと思うといい気持ちはしないですね。」

「まったくだ……」

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