表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】スキルクリエイター 〜レベルを犠牲にスキルを創る。でも、レベルが低くて使えないってどう言う事ぉ〜〜⁉〜  作者: 華音 楓
第4章 首都圏解放戦線

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

119/161

117 戦闘開始!!

「クッソ硬いなぁ~。」


 多田野は、無傷のジェネラルを見て悪態をついていた。

 先程の攻撃で、少しくらいはダメージが入っていると思っていたからだ。

 しかし、現実はそれほど甘くはなかった。

 鎧などに汚れは見えるものの、さして支障があるようには思えなかったのだ。


 そして、自分たちが進んだ先に出来た剣の傷跡……

 地面は鋭利な刃物で切り裂かれたように、一筋の線が出来上がっていた。

 あたかもそこから先は立入禁止だと宣言しているように。


 ケントもまた、どうするべきか困っていた。

 正直な話、速攻で【レベルドレイン】を使いたいという発想になってしまっていた。

 確実に苦戦するのが目に見えているからだ。

 しかし、この先多田野と共に行動すると考えると、多田野の実戦経験を増やしていくことの方が大事なように感じていた。

 そして、少し考えこんだケントは決断をした。

 多田野の成長を優先するということを。

 最悪、大事に至りそうだった場合は、すぐに【レベルドレイン】を発動させようと決めていたのだ。


 そんなことは知る由もない多田野は、一人テンパっていた。

 自身が持つ最高の攻撃力を誇るのは【ライフル】で、徹甲弾の魔弾を使えば貫通させることは可能だと思ってはいた。

 しかし、きちんと急所に当てないと、モンスター相手ではあまり意味をなさないのも理解していた。

 であれば【ガトリング】で飽和攻撃というのも一つの手段だった。

 しかし今度は決定打にかけてしまう。

 多田野の頭の中ではシミュレートしてはやり直すをひたすら繰り返していた。

 どれもいい案とはいかず、その顔には焦りの表情が色濃く映っていた。


 どれほどだろうか、2人とジェネラルが向かい合ってから。


「グギョワアァァッァァァァ!!」


 突然ジェネラルが吼えたのだ。

 あまりに突然の出来事に驚いた二人は、一瞬思考が停止してしまった。

 さすがのケントも、自分の行動に焦りが浮かぶ。


 すると、ジェネラルはニタニタと笑いながら、徐々に後退を始めたのだ。

 ケント達も攻撃を再開しようとしたところで、何かが飛んできたのだ。


 緊急回避とも言える身のこなしで多田野もケントの寸前で躱すことができた。

 何かが飛んできた先では、ジェネラルが横に剣を振り払っていた。

 おそらく、スキルを発動させたのだろうということだけは理解ができた。

 剣技系の飛び道具的な何か……

 それがまた二人の思考の邪魔をする。

 つまり近づこうとすれば、先程のスキルが飛んでくると思ってしまったからだ。


 ジェネラルの後退に合わせて、また魔方陣が光を放った。

 その光は徐々に別れ、5つの魔方陣を形成した。


「しまった!!召喚が始まる!!」


 多田野は慌てて、【ライフル】でジェネラルを狙撃する。

 しかしジェネラルは振り返ることはせず、そのままその場で一回転ターンをして見せたのだ。


 そして先程同様にキンという澄んだ音と共に、地面に何かが転がった。

 そこに落ちていたの物は、二つに切り裂かれた多田野が作った魔弾だった。


 その光景に多田野は驚愕してしまった。

 剣の達人だとでも言うのかと、憤りをあらわにしていたのだ。


 ケントとしてもさすがにこれには驚きを隠せなかった。

 むしろ、戦闘開始してからずっと驚かされ続けている。

 今目の前に出現した5つに分かれた魔方陣は、何やらドクンドクンと心臓でも動くかのように光の脈動を始めた。


 その一つ一つに黒い靄が集まり出し、ジェネラルが現れたときの様に渦を巻き始める。


 二人はその光景に舌打ちをしていた。

 これで眷族が召喚されてしまったと。

 ここからは直接ジェネラルを狙うことが難しくなったからだ。

 魔方陣は5つ。

 最低でも5匹のモンスターが常に召喚されることになる。

 多田野の顔がみるみる青ざめていく。

 これから現れるモンスターがジェネラルクラスだった場合、全く歯が立たないと感じてしまったからだ。


 徐々に5つの魔方陣から靄が晴れて来た。

 現れたモンスターは、ここに俺はいるぞ!!とアピールするが如く激しく雄たけびを上げた。


「ケントさん……かなりまずいかもですね。」


 多田野の表情は、完全に引きつっていた。

 おそらくこの空間の空気に呑まれてしまったのだろうと、ケントは考えていた。

 しかしケントの顔にはそれほど焦りは見えていなかった。


「大丈夫。相手はハイゴブリンじゃない。下位の武器種だ。ナイト2匹とディフェンダー。あとはヒーラーとマジシャン。特に問題はないよ。強いて言うなら実験が必要だって事くらいだよ。」


 多田野は、ケントの言わんとしていることが理解できずにいた。

 こちらは二人、向こうは6匹。

 数でも圧倒的に不利で、ジェネラルに至っては雑魚がいる限り倒すことが不可能な状況だ。

 そんな中で実験っていったいどういった神経しているんだと、非難するかのようにケントを睨んでいた。


「簡単な実験だよ。まずは召喚のリキャストタイムか再召喚までの時間の計測。それとジェネラルのスキル【身代わり】の有効範囲と、どれくらいのダメージで発動させるのか。そして発動したらどれほど回復するのかってところ。なので、タケシ君にはまずはヒーラーとマジシャンを落としてもらいたいかな。俺はその間にディフェンダーとナイトを相手するから。」


 そう話すとケントはすぐに戦闘態勢に移行していた。

 多田野はまだ納得がいっていない表情を浮かべるものの、ケントが戦闘態勢に移行したことで、自然と自身も戦闘態勢に移行していた。


 ケントは一気に加速しながらディフェンダーに向かって一直線に駆け出した。

 それにつられるようにディフェンダーは大きな盾を構えて、受けて立つと言わんばかりに声を張り上げていた。

 ナイト2匹も、止まった瞬間を狙うかのように剣を構え、いつでも飛び出せる状態になっていた。


 多田野はケントに言われた通り、遠距離から狙撃することにした。

 狙うはヒーラーとマジシャン。

 ケントが一気に走り出したことにより、全員の意識がケントへ向かっていた。

 しかもケントは周辺に【結界】を張ることで、縦横無尽に駆け出している。

 そう、動きがどんどん派手になっているのだ。

 ディフェンダーやナイトはこの動きを見たことが無いという感じで、警戒を強めている。

 マジシャンに至ってはケントに的を絞り、魔力弾で迎撃しようと躍起になっていた。

 ケントはジワジワとディフェンダーとナイトを削っていった。

 本来なら激突してそこから戦闘開始となる流れであろう。

 しかしそんなの知ったことではないと言わんばかりに、ケントは駆け回る。

 それはいつも以上に派手に動き回っていた。


 そのおかげか、多田野から警戒がハズレたようで、余裕をもって狙いを定めることができた。


「(ファイア!!)」


 だけかに聞こえるかどうかギリギリの声で気合を入れた多田野は、【ライフル】から魔弾を射出した

 射出された魔弾はきれいに直進していく。

 狙いもたがわずヒーラーの心臓部と思われる部分に吸い込まれていった。

 マジシャンも飛来物に気が付き躱そうとするも、その速度には対応できずその心臓部に被弾した。

 その瞬間、被弾箇所がわずかに爆発を起こしたのだ。

 そう、多田野が選んだ魔弾は【炸裂弾】だった。

 貫通力は皆無ではあるが、少量の火薬……ここでは魔力エネルギー体が爆発を起こすものだ。

 つまり、体に入り込まれると、内側から爆発が起こる仕組みだ。


 これによって心臓部に大ダメージを負った2匹は退場となった。

 黒い靄が霧散すると、そのまま召喚された魔方陣へと集まり出した。


 その様子を縦横無尽にボス部屋を駆け回りながら、ケントは観察していった。

 

 徐々に霧散していた黒い靄が魔方陣に集まってきたが、一向に再召喚が行われる気配は見えなかった。


 ケントも多田野も訝しむも、それは最悪な形で検証されたのだ。


 ジェネラルがまた一声叫び声を上げた。

 それが引き金になったのか、ヒーラーとマジシャンが再召喚されたのだった。

 それまでに要した時間はわずか3分。

 これが自動なのか、もしくはジェネラルの任意なのか。

 それはこの戦闘の状況を左右する、出来事だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=791510211&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ