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【完結】スキルクリエイター 〜レベルを犠牲にスキルを創る。でも、レベルが低くて使えないってどう言う事ぉ〜〜⁉〜  作者: 華音 楓
第4章 首都圏解放戦線

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108 潜入!!ゴブリンダンジョン

 朝食を終えたケントと多田野は、その足でギルド支部へと向かった。

 ギルド支部は支部というほどの設備は無く、通信機器とそれに付随する装置。

 ほとんどバラックとそう変わりはなかった。

 ここも簡単な造りなのは、いつでも移動が出来るようにするためだった。


「おはようございます。すみませんダンジョンの情報を知りたいので、地図を見せてもらえますか?」


 ケントが受付へ声をかけると、それなりにガタイのいい男性が振り返った。

 筋骨隆々という言葉が似合いそうなほど、がっちりとした体つきだ。

 しかし、その体には左腕が無かった。

 上腕から先が失われていたのだ。

 よく見ると顔の左半分も傷だらけで、左目には眼帯をはめていた。

 いかに激しい戦闘で失ったのかうかがい知れる姿だ。


「おう、兄ちゃんがた。昨日は派手にやったみたいだな。ここまで噂が来てるぞ。」


 そう言うと、男性はケント達の前のカウンターに陣取り、地図の準備を始めた。

 既に慣れた手つきで作業するのを見てケントは感心してしまった。


「ほれ、こいつがここら一帯の地図だ。今現在進行中はここから西に約5km付近にあるダンジョンだ。そこは軟体系モンスターの宝庫で、打撃系が効きづらいといわれている。それ以外は比較的難易度は低いから、初めて来た奴らの練習場所としてわざと途中にしてある。」

「じゃあ、そこは解放しないということですね?」


 ケントは男性の説明を再度確認した。

 ケントとしてはさっさと攻略したいのだが、自衛隊や探索者ギルドの意向もあるので、むやみやたらと攻略はできない。


「そうだな。そこはそのまま管理ってことになるな。そこから北に約3km離れた場所に、ゴーレム系のダンジョンだな。他はここから南に4km地点にゴブリン系ダンジョンだ。こっちは人気が無さすぎて攻略が進んでいない。何せドロップアイテムが魔石か腰布か使えない武器だからな。誰もこのんで攻略しようとしない。自衛隊が間引きして溢れないようにしているだけだな。」


 ケントはその情報をメモに取り、どこから手を付けるか思案していた。

 多田野はケントのサポートしているため、基本的にはケントの意向に従うつもりでいた。

 ケントは多田野に小声でゴブリンダンジョンを踏破する旨を伝える。

 多田野もそれに反対ではなかったため、小さくうなづいて肯定の意志を示した。


「ありがとうございます。とりあえず南のゴブリンダンジョンを一度目指してみます。ちなみに今現在何層くらいになってるんですか?」

「そこは踏破階層は24層だ。おそらくだが50で終わるかどうかってところじゃないか?」


 ケントは席を立つと、一つ確認したいことがあった。


「そうだ、カイリ達……【爆炎の魔女】はここではどうでしたか?」


 カイリはその魔法の性質から二つ名を与えられるほどに成長していた。

 カイリだけではなく、他のメンバーにも二つ名が付くほどに努力を重ねていた。


「ん?カイリちゃんのファンか?そりゃすごかったぞ。なんたってモンスターの巣を仲間と協力してあっという間に焼き尽くしたんだからよ。そりゃー圧巻だったぞ。あまりの熱量にダンジョンが溶けるって初めて見たぞ。」


 カイリの活躍を聞くとケントはうれしくて仕方がなかった。

 あの日別れた仲間たちが活躍している。

 それがケントにとって何よりも励みであり、モチベーションとなっていた。


「ただなぁ~。最近は苦戦気味らしいな。さすがにA級が集まっても富士の樹海ダンジョンは一筋縄じゃいかないらしい。」

「そうですか……。俺も負けてらんないな。」

「頑張れよ兄ちゃん!!」


 ケントは職員に見送られると、すぐに拠点を後にした。

 移動は多田野の車を借り、それほど時間はかからなかった。

 道中モンスターが現れる場所もあったが、多田野が遠隔で難なく倒していく。

 ケントは正直【レベルドレイン】を使いたい気持ちにかられるが、今はまだ我慢の時だと思い抑え込んでいた。


 拠点を出てから10分もしないうちに、目的地のダンジョンに到着した。

 ここからはダンジョン生活が待っているので、多田野も念入りに準備をしていく。

 今回積み込んできたものには約10日分の物資だった。

 それをケントと多田野は手分けしてインベントリに収納していく。

 さすがに車は仕舞えないので、ダンジョン入り口に居た自衛官にお願いしていくことになった。


 ダンジョンの受付を済ませたケントは、この地域初のダンジョン探索を開始したのだった。




 中に入ると、一つの台座が鎮座していた。

 部屋の広さはどのくらいだろうか、大人が100名余裕で入れそうなドーム状の部屋だった。

 周りは白い壁に覆われて、いかにも金がかかってますよと言わんばかりで圧倒的だった。

 2人が【トランスゲート】に触れると、視界がいきなり暗転した。

 目が慣れて二人が見た光景は、薄暗く狭い部屋だった。

 広さで言うとおそらく畳10畳くらいだ。

 周囲はレンガとも石ともとれるような外壁だ。

 天井もあまり高くなく、3mあるかないかだ。

 あまり広くなく、快適とはいいがたい部屋だった。

 そしてこういった部屋には特徴がある。

 ほとんどの場合はランダムワープを仕掛けてあるのだ。


「タケシ君。これは心してかからなきゃだね。」

「まさかランダムワープ系だとは思いませんでした。」


 探索者ギルドではそのような話はなかった。

 受付でもその話にならなかったので、ケントは何かいやな予感がしてきた。


 二人は慎重に歩を進める。

 通路もあまり広くはなく、幅はおおよそ4m、高さは3mくらいだ。

 空気も少しじめっとした感じがあり、常に不快感を与えてくる。

 足元もあまりいいコンディションとは言えず、気を抜くと足元を取られる感じだった。


 入り口から少し歩くと魔方陣のような模様が描かれた場所にたどり着いた。

 魔方陣は二つあり、一つは青白い光を放っていた。

 もう一つは赤く燃えるような光を放っている。

 どちらが正解か……

 ハズレを引くと、モンスタートラップ……いわゆるモンスターハウスに直行する場合があるのだ。


「どっちにしようか……」


 決めかねたケントは多田野に決断のアシストを頼んだ。

 多田野としても決めかねていた。

 しかし、決めない事には先に進まないのだ。


「タケシ君右にしようと思う。」


 ケントは多田野に自分の考えを話した。

 選んだ方に根拠が乏しく、選ばなかった方にも根拠はなかった。

 有ったのはケントの勘だけである。


 ゆっくりとケントは右側にある赤く燃え上がるような光を放つ魔方陣へと近づいていく。

 近づくたびにその光は強くなり、次第に天井へと続くように光は立ち登っていた。

 二人は大きく深呼吸をして、意を決して魔方陣へと飛び込む。

 すると眩い閃光を放った後、その魔方陣は光を弱めていった。

 そこに残ったのはゆらゆらと光を放つ魔方陣だけだった。




「ここは?」


 強い光に一瞬目を焼かれ、ケントは視界を失っていた。

 徐々に回復する視界に映ったのは広い大地だった。

 見渡す限り草原。

 見上げれば晴天の空。

 流れる風は涼やかで、今にも眠りに落ちてしまいそうになる。


「ここはどこでしょうね?」

「わからない。警戒だけはしておこう。」


 二人は警戒をしつつ、周囲の偵察を開始した。

 ワープでこの層に来たために、おそらくは第1層だとは思われるが、どういった位置に居るのかは不明だった。

 元居た場所には魔方陣は存在せず、帰り道は自分たちで探す必要があるようだった。

 徐々に行動範囲を広げると、あることに気が付いた。

 時間の経過がわからないのだ。

 空が暗くなることもなく、ひたすら太陽は真上を陣取っていた。

 おそらくこれも、ダンジョンのトラップの一つであろうと感じたケントだった。

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