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【完結】スキルクリエイター 〜レベルを犠牲にスキルを創る。でも、レベルが低くて使えないってどう言う事ぉ〜〜⁉〜  作者: 華音 楓
第4章 首都圏解放戦線

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103 スキルの活用法

「ありがとう新藤さん。これならまだまだ戦えそうだ。」

「それはよかった。じゃあ、もう一度訓練場で最終確認をしてみよう。」

「はい。」


 駐屯地訓練場は、いつも通り探索者と自衛官が訓練を行っていた。

 自衛官達をよく見ると、ケントが前線基地に来る際に同行していたメンバーだった。

 スキル【魔銃作成】とスキル【魔弾作成】もだいぶ慣れてきたようで、実戦形式で訓練を積んでいた。

 その中で一人、二つのスキルに高い適正を示した自衛官がいた。

 男性は20歳くらいで、あまり体格が良い様には見えなかった。

 しかし、その動きというよりも、作り出した魔銃が問題だった。

 他の自衛官は魔銃一丁を作成しているのに対し、彼は複数の魔銃を作成していたのだ。

 しかもその作成した魔銃は、異形としか言いようがなかったのだ。

 簡単に言うと砲身しかないのだ。

 トリガーも無ければストックもない。ましてグリップすらないのだ。

 あるのはただの筒。

 それが空中に8本浮かんでいる。

 そう、浮かんでいるのだ。

 彼はその砲身に意識を向けると、突如その砲身から弾丸が飛び出していった。

 弾丸自体は威力を下げているようで、それほど大きな爆発などは起こらなかった。

 しかし、その後がさらにおかしなことになったのだ。

 その8本の砲身から、次々と弾丸が飛び出していく。

 終いにはその砲身が移動しているのだ。

 普通では考えられない事態に、ケントも新藤も驚きのあまり身動きが取れなくなっていた。

 男性は一通り確認を終えると、スキルを解除し、空中に浮かぶ8本の砲身も姿を消した。

 男性は少しの時間でかなりの消耗を引き起こしてしまったのか、その場にへたり込んでしまった。

 おそらく練度の問題で、うまく制御できていなかったんだろう。

 しかし、これから先、彼があれを十全に扱えるようになれば、ワンマンアーミーだって夢ではないのかもしれない。




 そんな彼らを横目に、ケントは新調した装備の装着を始めた。

 新藤は装着のしやすさも加味しており、不自由なく装着することができた。

 装着感も違和感が無く、重さも特に問題になるほどではなかった。

 むしろ以前着けていた装備より軽い様にさえ思える。


「軽いですね、これ。」

「そうだね、補強部や接合パーツなどは全部魔鋼材の一つ【魔靭鋼まじんこう】というのを使っているんだ。軽いうえに強さと粘りのバランスが良い鋼材だよ。これは特に珍しい鋼材じゃなくて、ここに居る探索者なら頑張れば手の届く範囲の鋼材だ。それと、レッサードラゴンの皮と外鱗がやはり決め手だね。」


 ケントはその場で跳躍したり、前後左右への移動を行ってみた。

 パーツ間の擦れなどもなく、力のロスもほぼないに等しい。


「どうだい。なかなかうまくできただろ?最後のとっておきだ。これも予定外の効果なんだけど、皮鎧に意識を集中してみてごらん。」


 ケントは言われた通り、意識を集中してみる。

 するとどうだ、体が軽く感じ始めたのだ。

 体重が半部になったとかそうではないが、明らかにふわりとした感覚があるのだ。


「驚いたようでよかったよ。それはその装備の特殊機能で【飛翼】というらしい。【鑑定】で調べたらそうだったんで間違いないだろうね。」


ケントは慌てて、自分の装備を【鑑定】してみた。


——————


白群劣竜の皮鎧(体力+60 力+38)※セット効果……【残存】【飛翼】

白群劣竜の腰鎧(体力+60 力+38)※セット効果……【残存】【飛翼】

白群劣竜の小手(体力+60 力+38)※セット効果……【残存】【飛翼】

白群劣竜の兜(体力+60 力+38)※セット効果……【残存】【飛翼】

白群劣竜の具足(体力+60 力+38)※セット効果……【残存】【飛翼】

白群劣竜の靴(体力+60 力+38)※セット効果……【残存】【飛翼】


——————


 確かにセット効果で【飛翼】と書かれている。

 更に【鑑定】をかけるとその効果が理解できた。


——————


飛翼:ドラゴン種の飛行方法を模倣。全身に魔力を纏うことで重量を軽減できる。


——————


 ケントは、その効果に唖然としていた。

 まさかと思い、さらに魔力を上乗せしてく。

 体から徐々に装備に流れ込んでいくのが、感じ取れていた。

 次第に体が浮いていくかのような感覚がしてきた段階で、集中を中断した。

 ケントはその場に膝をつき、息切れを起こしているかのように浅い呼吸を繰り返していた。


「ケント君!!大丈夫かい?!何があったんだ?!」


 新藤も慌ててケントに駆け寄った。

 ケントは立ち上がろうとしたが、足に力が入らなかった。

 ステータスを確認すると、その理由が良く分かった。

 SPが尽きかけていたのだ。

 おそらく、【飛翼】を発動させるのに必要以上に注ぎすぎた為に起こった、事故のようなモノだろうとケントは考えていた。

 事実その通りで、初期の軽く感じたときには、特に問題が無かったのだ。

 つまりは、まだ使いこなせていない証拠でもあった。


 ケントは少し休憩を取る為、訓練所の端に移動して座り込んでいた。

 新藤もこれ以上はテストが難しいと判断して、いったん中断することにした。

新藤は、ケントが休んでいる間に飲み物を買ってくると言って、その場を離れた。

 すると、先ほどまでスキル【魔銃作成】とスキル【魔弾作成】の訓練をしていた自衛官が、ケントに近づいてきた。


「中村さんですよね?改めてお礼を言わせてください。ありがとうございます!!」

「いったい何のことです?」


 青年はケントに向かって、突然頭を下げた。

 ケントとしてはお礼を言われるいわれはなく、少し困惑していたのだ。


「中村さんが教えて下さったスキルのお陰で、自信を取り戻すことができました!!ですので、中村さんは俺の恩人です!!」

「恩人だなんて、俺は特にすごいことをしたわけじゃないですよ。さっき見てましたが、あれはあなたが努力した結果です。俺はそのきっかけを与えたにすぎませんからね。」


 青年はまだ興奮冷めやらぬという顔で、ケントの事を見つめていた。

 ケントとしても、やはり礼を言われるとこそばゆくなってしまった。


「そうだ、教えてほしいんだけどいいかな?」

「なんでしょう?」

「いやね、一緒にスキルを習得した自衛官はいっぱいいたでしょ?それなのに君みたいな使い方をしている人は見たことが無いんだ。」

「それでしたら、たぶん俺のスキル【魔道具師】が関係していると思います。スキル【魔銃作成】とスキル【魔弾作成】と組み合わせて使ってるんですよ。仲間内ではスキル【金剛】なんてので体を堅くして、スキル【魔銃作成】でアサルトライフルみたいなやつ作って特攻している奴もいます。」


 ケントは何となく納得してしまった。

 今まで自分が培ってきた経験と、ケントが与えた新しい力。

 双方を活かし、自分の中で昇華していく。

 まさに進化といっても過言ではない状況だと。


 そしてケントはさらに納得した。

 おそらく【スキルクリエイター】は、そのためのスキルなんじゃないかと。

 【生物の進化】の加速装置。

 【生物の進化】が停滞したときに、このスキルで強制的にさらに上に進めることができる力。

 まさに【神の権能】であると。


「そうだ中村さん。出来れば一度手合わせ願えませんか?弾丸は非殺傷の物を使うので。」

「そうだね。装備のテストも兼ねてお願いできるかい?」

「お願いします。」

「そうだ、名前聞いてなかったね。俺はケント。中村剣斗だ。」

「俺は、陸上自衛隊 東北方面隊 所属の多田野 三等陸曹であります!!」


 二人は握手を交わし、ケントのSPの回復を待ってから訓練所中央へと移動した。

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