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【完結】スキルクリエイター 〜レベルを犠牲にスキルを創る。でも、レベルが低くて使えないってどう言う事ぉ〜〜⁉〜  作者: 華音 楓
第3章 変革

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099 それから……

「ゴワァ~~~~!!」

「くそ!!」


ガゴン!!


 激しい爆音とともに、洞窟型ダンジョンの地面が抉れ土埃が舞う。

 周囲の視界は遮られ、何者かの影だけが揺らめいている。


ブオン!!


 その巨体から繰り出された、攻撃は土埃を振り払いながらその影に襲い掛かる。


「これだからデカトカゲは嫌いだ!!」


 男は後方に飛び退くと、勢いのあまり止まることができず、長い距離を滑ることになってしまった。

 目の前にいるのはデカトカゲ……

 ドラゴン種だ。

 その大きさはおそらく10mを超えており、しっぽも併せたら15m前後の攻撃範囲を持ち合わせていた。


「だ~~~~ぁ!!もう!!どう攻めろって言うんだよ!!こん畜生!!」


 そのドラゴンは青白い巨体を十全に生かし、攻め立ててくる。

 一発一発とても重く、生身で耐えられるような攻撃ではなかった。

 男は距離を取りつつ、そのすべてを躱していく

 

「グロワァ~~~~~~!!」


 一鳴きとともに大口を開けたドラゴンは、大きく息を吸い込んだ。


「やば!!【隔絶】!!」


 男がスキルを発動させると、男の前の空間がグニャリと音を立てるが如く歪み、防壁が構成されていく。


「ガッ!!」


 ドラゴンが吐き出したものは巨大な魔力の塊だった。

 その塊は周りの水分を纏い強大な水弾と化して襲い掛かってくる。


 その水弾は男が発動した防壁と激しくぶつかり合った。

 水弾は一気にはじけ飛び、辺り一面水浸しとなった。


「危なかった~~~!!なんつうばかげた威力だよ。これだからデカトカゲは嫌いなんだ!!」


 飛び散った水弾は周囲を細かくえぐり、散弾銃でも乱射したかのように辺り一面を変えていた。


「グルルルル~~~~~!!!!」


 渾身の一撃を防がれて、怒りに震えているかのように威嚇を続けるドラゴン。

 しかしこの男は言葉では焦ったと言っているが、態度は一切焦った様子もなく、ずっと隙を窺っているようだった。


「じゃあ改めてこっちから行くぞ!!」


 男はそう言うと、地面を勢い良く蹴り出し、加速していく。

 しかし、ドラゴンとの身長差を考えると、攻撃が届くとは思えない。

 そこで男はさらにスキルを発動していく。


「【結界】!!【結界】!!【結界】!!【結界】!!」


 複数の薄い板がドラゴンの周りに形成されていく。

 男はその【結界】を足場に、縦横無尽に駆け回り始めた。

 それはワイヤーアクションでもしているかのような、不可思議な動きだった。

 しかも、その速度はどんどん加速して、常人の目には追いつくことが難しくなっていた。

 ドラゴンもまた、その姿を失いかけている。


「そろそろ……。【気配遮断】【魔力遮断】【消音】!!」


 するとどうだろうか。

 男の姿形が、その戦闘区域からなくなったのだ。

 男の姿を探し、うろたえるドラゴン。

 前後左右上下見渡しても、その姿を捕らえることはできなかった。

 ドラゴンはふと寒気を感じた。

 本能だったのか、どうなのかは分からない。

 咄嗟に喉元の逆鱗を両腕でカバーした。


ザシュン!!


「ゴ……ガ……」


 ドラゴンの腕は力なくおろされていく。

 その喉元の逆鱗には、一本の剣が突き立てられていた。


 その剣を握っていたのは、先ほど姿を消した男だった。

 男がその剣を引き抜くと、勢いよくドラゴンの血液が噴き出した。


「あ!!もったいない!!」


 男は慌てて、その血もろともインベントリにドラゴンをしまい込んだ。


「これでこの区域のダンジョンは終わりだな……。あとはダンジョンコアを破壊して終了っと。」


ゴゴゴゴゴゴゴッ!!


 大きな音と共に下層へと降りるための階段が、地面に出現した。

 男は、出現した階段を警戒すること無く下りていった

 そして残されたのは、激しい戦いの痕跡だけだった。




「お、あったあった。いつ見ても不思議な空間だよな。」


 男がそういうのもうなずける。

 30畳ほどの円形の洞窟の真ん中に台座が置かれていた。

 その台座の上に、ふわふわと浮いている一つの球体。

 その球体はガラスとも違う素材でできており、濃い紫色で淡い光を発していた。

 その光は揺らめきながら壁に吸い込まれていく。

 恐れくこの光が【魔素】であり【魔力】なのだ。

 そして台座からは、その球体に向けて同じく光が照射されていた。

 これは可能性だが、ダンジョンで消費された【魔素】や【魔力】はダンジョンに吸収され、そして巡り巡ってまたこの球体へと帰っているのだろう。

 そして球体から放たれた【魔素】や【魔力】がモンスターやアイテムを生み出す。

 その循環を制御しているのが、この目の前の球体【ダンジョンコア】なのかもしれない。


「いったい何個壊してきたんだろうな……。さすがに数えるの面倒になってきたな。」


 そう言うと男は何の躊躇もなくその【ダンジョンコア】に剣を突き立てた。

 【ダンジョンコア】は一瞬強く発光したのち、その光は弱まり、漆黒の球体が浮いていた。

 そしてその球体はふわりと台座に落ち、パリんという音と共に砕け散った。


グラグラグラ


 小さな地震があったかと思うと、ダンジョンからモンスターの気配がしなくなっていた。

 ダンジョンはただの洞窟に変わったのであった。


「これでここの用事は完了っと。にしてもダンジョンコアを壊したときの経験値はえげつないな。」


 男は体の変化を確認しつつ、ダンジョンを引き返していった。


 台座に落ち割れたダンジョンコアは、徐々に崩れはて、そして粉となった。

 どこからともなく吹き込んだ風に舞い、ダンジョンは活動を停止したのだった。




「うわ!!まぶし~~~!!もう日中だったんだ。目がものすごく痛い。」


 男は手でひさしを作り、太陽を睨み付けていた。

 その顔にはいくつもの傷があり、瞼には2本の縦傷がついていた。

 それは歴戦の戦士といってもおかしくない風貌となっていた。


「おかえりなさい。これで最後のダンジョンですね。」

「あ、ただいま戻りました。」


 男を出迎えた男性は、自衛隊服に身を包んだ青年だった。

 男は自衛隊員が求めた握手を交わし、にこやかに告げた。


「これで予定のダンジョン攻略は完了です。」

「わかりました。中村さん……。ありがとうございました。」


 そう、このダンジョンを攻略したのはケントだった。

 カイリ達とわかれ、一人ダンジョンへ潜り続けたケントは、レベルを超えた力を手に入れ始めていた。

 本来であればCランクのケントは、Bランクのダンジョンへの立ち入りは許されていない。

 しかし、一ノ瀬の計らいで、この地域限定ではあるが立ち入りを許可されていた。

 そしてその許可を元にケントは潜り続けた。

 来る日も来る日も……

 ただ一つの目標の為に。


「では、中村さん。あなたにBランクライセンスを発行します。レベルは50を超えたんでしょう?」

「はい、すでに取得スキルを合わせても50を超えました。」


 その言葉を聞いた一ノ瀬は、ケントに向かってビシッと敬礼をした。

周りにいた自衛官たちも同じく敬礼をした。


「中村殿!!この度の中立地域開放への御助力、誠にありがとうございました!!」

「ありがとうございました!!」


 今攻略したダンジョンを持って、ケントの暮らしていた街のダンジョンは、自衛隊が管理している物を除いて、すべて解放されたのだ。

 今街に残っている探索者は、自衛隊管理下のダンジョンを探索し、資源食料等を回収している。

 街の7割近くが中立地域となり、モンスターの発生しない安全地帯となったのだ。


「では中村さん。ついにいかれるのですね。」

「はい、カイリ達が待ってますから。」




 そして数日後、ケントは生まれ育った街を出てカイリ達のいる首都圏解放戦線へ参加したのだった。

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