とある男と先輩②
「お邪魔します」
「いらっしゃい」
「「こーよーくんいらっしゃい!」」
「手土産です」
「あら、悪いわね」
今日は眞さんの内田家にお邪魔していた。
先輩である眞さんと玲奈さんに出産や子育てについて聞きたいことがある。
出産や子育てなんて何も知らないしなぁ…。
母さんでもいいけど、出産から随分経ってるからなぁ…。
ここは現役?の眞さんと玲奈さんに相談だ。
「「おいしー!ありがとう!こーよーくん!」」
「姫様のお口に合ってよかったです」
「「くるしゅうない!」」
リビングに通され、椅子に座ると仁奈ちゃんと柚葉ちゃんが俺の足に乗ってきた。
今日は愛海がいないから俺が二人の椅子ですね。
愛海がいたら仁奈ちゃんか柚葉ちゃんどちらかだったけど。
子供が産まれるとこうやって膝の上に乗せるんだろうなぁ…。
「今日は紅葉一人なのね」
「愛海が女性陣で買い物に行きましたので」
「荷物持ちじゃないんだな」
「女性だけで買い物したいということでしたので…」
愛海と一緒に来たかったけど、愛海は母さんたちと買物に出かけて行った。
今日は葵も千尋もいるから、竹科家の女性陣が勢ぞろいだ。
くるなっ!邪魔だっ!って言われたら俺も流石に行けないわ…。
「玲奈に見せてもらったけど、愛海ちゃんのドレス姿綺麗だったな」
「そうなんですよ…」
「あ…」
眞さん。
それを聞いてくれますか。
「写真では表せないくらいの女神でしたね。ええ、綺麗なんて言葉に収まる愛海じゃありませんでしたよ。神にも祝福された愛海のドレス姿を見せれなかったのは残念です。ああ…、眞さんと玲奈さんにも見せてあげたかったです。天使…いや、女神―――」
「仁奈、柚葉」
「「あい」」
「ぷぎゅ!?」
愛海の女神度合いについて語っていると、膝に座った仁奈ちゃんと柚葉さんに頬っぺたを潰された。
にゃにほすりゅ…。
「眞ちゃん…」
「なんだ…。その…すまん…」
「「うりうりうり~」」
仁奈ちゃん、柚葉ちゃん…。
俺の頬っぺたをそんなにムニムニしないで!
「私からは一つだけよ。愛海もちゃんと愛してあげなさい。仁奈、柚葉、行くわよ」
「「はーい」」
玲奈さんが立ち上がると、仁奈ちゃんと柚葉ちゃんも俺の膝から退いた。
使ったスプーンを台所に持っていき、ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てていた。
玲奈さんが母親だけあってしっかりしてるなぁ…。
「お出かけですか?」
「おじいちゃん家~」
「おばあちゃん家~」
「今日は眞ちゃんの実家に行くのよ。あとで眞ちゃん送ってくれる?」
「それくらいでよければ」
今日はお出かけだったのか。
そんな時に尋ねちゃって申し訳ない。
眞さんの実家だから場所は分かるから大丈夫か。
「それじゃよろしくね」
「「いってきま~す」」
「どっちなんだ?」
「まだわからないですねぇ」
眞さんの家には眞さんと俺の二人だけになった。
眞さんは冷蔵庫からウィスキーを持ってきて飲み始めた。
運転手は俺だからって…。
「来年産まれるとなるとちょうど同級生だなぁ…」
「?」
同級生?
どういうこと?
子供が産まれるのは来年だけど…。
「うちも3人目ができてな」
「それはっ…。おめでとうございます」
「男の子と女の子なら結婚させてもいいな」
「気が早いですよ」
玲奈さんも3人目を授かっているようだ。
仁奈ちゃんと柚葉ちゃんもお姉ちゃんか。
めでたいなぁ…。
愛海と俺の子供はどっちだろうなぁ…。
気になるなぁ…。
「子供はいいぞ…。なんたって可愛い。癒される」
「仁奈ちゃんと柚葉ちゃんを見てればわかりますねぇ」
「だろ?疲れて帰ってきたところに「おかえりー!」なんて言われてみろよ」
「…たまらんですね」
やばっ…。想像しただけで家に帰るのが早くなりそうだ。
今でも愛海がいるとわかってるから、帰宅するのが早くなってるのに。
「最初だから何もわからんぞ。分からなくて当たり前だ。だけどな、分からないからって理解しないのはなしだ。ちゃんと愛海ちゃんを支えてやれよ」
「ええ、そこはしっかりと」
三岳先生からもしっかりと言われているし、母さんからもしっかりしろと言われている。
愛海と俺の子供なんだ。
しっかり準備をして、新しい命を迎えたい。
「子供も大事だけどな…」
「はい?」
「嫁さんのこともちゃんと愛してやれよ」
「あ…」
眞さんに言われて気づかされた。
そうだ。愛海のことも忘れちゃいけない。
結婚、妊娠と浮かれていたが、俺の愛するのは一人だけじゃない。
愛海も産まれてくる子供も両方に愛するんだ。
愛せなくて何が旦那だ。何が父親だ。
さすが眞さ…ん…?
「ちゃ、ちゃんと嫁さんは大事にするんだぞ…」
「眞さんっ!?」
眞さんは思い出したように震え始めた。
ちょっと!グラスからお酒零れてますよ!
ああ…勿体ない…。
これは玲奈さんに相当やられたんだな…。
俺もそうならないようにしよ…。




