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とある男女の恋模様  作者: はから
第一章 とある男女の恋模様
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とある男の悩み相談室

 

 本日も快晴なり。

 高速道路も渋滞しておらず、まさにドライブ日和。

 車内のスピーカーからは人気アイドルの新曲が聞こえてくる。

 隣にいるのは若い娘だ。

 まさにデート日和……なのだが。


 「…………」


 「肩に力が入りすぎ」


 「……スミマセン」


 「もっと楽に」


 運転が苦手だという梅田の運転練習中だ。

 交通量の多い市街地での運転は自分が行い、高速道路での運転練習をさせている。

 

 走行車線を法定速度でのんびりと。

 曲がることがないまっすぐ進むだけの高速道路。

 助手席からもわかるほど緊張しているのが伝わってくる。

 ガチガチになってハンドルを握る梅田。


 高速に乗るまでは外出できる喜びから饒舌だった。

 最初のパーキングエリアで運転を交代してからはほぼ無言だ。

 いつもの元気な梅田の姿からほど遠い。


 「次のパーキングで交代しよう」


 「ま、まだ大丈夫です…」


 「そんな状態じゃ調査に行く前に疲れるわ。交代、先輩命令」


 「……ハイ」










 「~~~♪」


 助手席に座る梅田が鼻歌でリラックスしている。

 さっきまではガチガチに緊張していたのに…。


 「いつもの梅田に戻ったみたいだな」


 「運転手じゃありませんので!」


 饒舌になった梅田が色々話してくれる。

 梅田の会社では聞けないような愚痴とラジオから流れてくる音楽をBGMに車を運転する。

 事務所で見る梅田よりも幾分か気が緩んでいるように思う。

 配属当初に外出しても緊張していたが、今の姿を見ていると社会人に慣れてきたのかなと思う。



 「竹科さんって皆にお兄ちゃんみたいですよね」


 「褒めても何もないぞ」


 「さっき買ってもらいましたジュースがあるので大丈夫です!」


 仕事で色々溜まったものを吐き出す愚痴会ならぬ女子会。

 誰かの愚痴から始まり、年頃の女性らしく恋バナになることもあるらしい。

 その女子会で俺が兄みたいだと話題になったらしい。


 自分がみんなのお兄ちゃんだと?

 よーし、妹の結婚式で親父以上に号泣していたお兄ちゃんの力見せつけてやろう。

 とりあえず嫁にはやらんぞ!

 ……そうじゃない。


 「同期とは飲み会にいってないの?」


 「今でも月1で行きますよ」


 「愚痴が凄そうだな」


 「……ソンナコトナイデスヨ」


 「今の間はなんだ」


 「わ、私は愚痴ってません!」


 中部支社に配属された同期5人とは部署は違うが今でも飲み会を行っているらしい。

 我々の施設管理部はそこまで激務というわけではない。

 現場の施工を管理する施工管理部は残業が多い。

 

 施工管理部に配属された新村と中野の愚痴が一番多いとのこと。

 同期の飲み会は新村と中野の愚痴会となっているそうだ。

 言われたとおりにやったら違うと言われてやり直させられた、教えてもらったことが間違っていたなど小さな悩みは尽きないと梅田。


 梅田と高橋は女子会で話す場所もあるということで悩みらしい悩みはないらしい。

 安田は真面目な性格からか安田も聞く側みたいだ。

 

 「新村くんと中野くんは大変みたいで…」


 「梅田は大変じゃないと?よーし、業務量増やすか」


 「そうじゃないですよ!チューターの方からもあまり教えてもらってないみたいでして…」

 

 「あそこは忙しいからね。誰が受け持ちだっけ?」


 「新村くんが山下さんで中野くんが細谷さんですね」


 うわぁ…。山下さんと細谷さんがチューターか…。

 自分の一つ上である山下さんと細谷さんは職人気質なところがある。

 所謂「自分の背中を見て覚えろ」というやつだ。

 右も左もわからない新入社員には厳しいんじゃないかなぁ…。

 

 社会人をやっていると合わない人もいる。

 仕事なんだから割り切れ、と言いたいところだが新入社員には厳しいだろう。

 これは萩田さん(オジキ)に相談かな。

 俺は違う部署の人間なんだけどなぁ…。










 出来高検査は問題有だった。

 萩田さんの言う通り図面と現地で誤っていた。

 帰って報告書作って…。ああ、新入社員の報告もしなくては…。


 事務所に戻っても一息つける時間もなさそうだ。


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