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とある男女の恋模様  作者: はから
第一章 とある男女の恋模様
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とある女の半干物生活


 「愛海ー!洗濯するからそれ脱いで」


 休日の特権であるぐっすり寝をしていると母から叩き起こされた。

 どうやら洗濯をするので今着ているパジャマを脱げということらしい。

 

 「……着替えて下持ってく」


 「5分ね」


 寝起きの寝ぼけた状態。

 着替えて二度寝しようかな。

 でも母に逆らってはいけない。パジャマを下に持っていく(母からの命令)。

 きっと忙しい土曜日の午前中に母を怒らせようものならお昼はないと覚悟したほうがいい。

 これは28年間生きてきた私が言うことだ。間違いない。


 

 「お母さん洗濯機にいれといたよ」


 「スイッチも入れといてー」


 掃除をしている母から新たな指令(めいれい)だ。

 どうやら起きたのは私が一番最後のようだ。

 

 暮林家(じっか)には両親と兄と私が住んでいる。

 兄がいないということは彼女とデートにでもいったんだろう。

 父は犬のこたろうの散歩かな。


 

 「愛海。顔でも洗ったら?」


 「あー…」

 

 リビングでのんびりしていると掃除を終えた母がお小言を言ってくる。

 母からは毎日のスキンケアはしっかりやらないと年食ってからくるわよ!と念押しされている。

 まだまだ若いしお母さんみたいに50じゃないし、なんていった日には鬼を見た。

 

 まごうことなき鬼だった。

 その日の昼食はお高いところに連れていかれた。

 家から出たくないのに連れていかれた。パワハラだ。

 でも反論しようものならもっと酷いことになる。

 泣く泣く高い出費をしてからは母に逆らわないようにしている。



 「冷た…」


 まだ4月初旬の水は冷たい。

 

 「……」


 鏡に映っているいるのは私だ。

 20代前半より肌のハリはなくなったかもしれないがまだまだイケると思う。


 若い頃にミス〇〇だったという母の美貌を受け継いでいると思う。

 今年で51になる母だが見た目は40代にしか見えない。

 美熟女という分類なのだろう。

 なんで綺麗なお母さんがツルツルのお父さんと結婚したのか不思議だ。


 「どうしたの?」


 「ううん。寝ぼけてた」


 「あっそ」


 1階にいると何か手伝いをさせられそうだからとっとと自分の部屋に退散だ。










 家での私は干物女だ。

 たまに出かけるから半干物女かな?

 

 若い頃は休日でも元気に出かけていたものだ。

 今では疲れるからたまにしか外出しない。

 月…4回くらいかな。嘘、月2,3回。

 

 家でゴロゴロしていれば化粧をしなくていい。

 髪の毛だって整えなくてゴムで止めただけのチョンマゲでいい。

 ご飯だってお母さんが作ってくれる(たまに嫁入り修行とかで手伝わされるけど…)。

 

 こんな贅沢な環境はない。

 昔は一人暮らしをしていたが諸事情で実家に戻ってきた。

 

 それからじゃないかな。

 両親と兄に甘えてぐーたら。

 気づいたらアラサーだ。


 もし兄が結婚して実家に住むようになったら?

 そうなると私は小姑だ。

 私より二つしたの兄の彼女さん。

 やっぱり私がいると可哀相だよね。

 そうなると実家を出てまた一人暮らしかな。

 できるかなぁ…。



 「そうだ。竹ちゃんにお礼しなきゃ」

 

 昨日の飲み会のお礼を竹ちゃんにしてないことを思い出した。

 最初は全部払うといった竹ちゃんだったが割り勘(私のが少ない)になった。

 キャバクラ時代みたいに営業メールも送らなくていい。

 お礼に今日はスタンプも使っちゃうよ。


 ぴこん


 『こちらこそありがとうございました。ちゃんと帰宅できましたか?』


 うさ丸のスタンプとともにすぐに返事が返ってきた。

 スタンプ可愛い。


 『ちゃんと帰宅しましたよ!彼氏は欲しくても途中で寝て襲われる趣味はないです』


 『暮林さんが帰り道に落ちていたら喜んで持ち帰りさせていただきますね』


 竹ちゃんからまさかのお持ち帰り宣言!

 紳士で変態な竹ちゃんはそんなことしないと思うけど。

 

 「これでも身持ちは固いんだぞ」


 竹ちゃんは美人美人と私に美人の安売りをしてくる。

 美人だったら男が簡単に捕まると思ってるのは間違いだよ。

 そもそも私だって選ぶ権利はある!

 

 『男は狼ですよ』


 『女も狼の時代だよ?』


 今は肉食系女子だっているんだよ。

 竹ちゃんは肉食系の見た目だけど中身は草食系に見える。

 でも変態だから多分肉食系なんだと思う。

 

 「彼氏どこかに落ちてないかなー…」


 

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