表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある男女の恋模様  作者: はから
第三章 とある男女の恋納め
39/85

とある男の盆休み帰省


 「あっつ…」


 俺はお盆休みということで、実家に帰ってきている。


 8月の猛暑にバイクはキツイ…。

 いくら風があるとはいえ、直射日光を浴びるのは死んでしまう。

 昼じゃなく、夕方の涼しい時間に帰ってこればよかったなぁ、と後悔してももう遅い。

 愛海と遠出するの不便だし、やっぱり車買おうかな。


 

 「ただいま」


 「あら、お帰り」


 出迎えてくれたのは母さん。

 ん…、俺が最初か?

 玄関の靴を見ると少ない。


 「葵と千尋は?」


 「葵は夕方で、千尋はバイトよ」


 「ふーん。学生は大変なことで」


 「そんなこと言ってると、また千尋にお小遣いせびられるわよー」


 俺は3人兄妹だ。

 長男が俺で、長女の葵に、次女の千尋。

 葵は一昨年に結婚し、今年は旦那である良亮と、うちの実家に来るらしい。

 千尋はまだ学生だ。そのせいで毎回お小遣いをせびられるわけだが…。


 「にゃー」

 「わんっ!」


 「お、シロハときなこ。ただいまー」


 バイクのヘルメットを置き、靴を脱いでいると猫のシロハと犬のきなこが近づいてきた。

 最後にあったのは半年前なのに覚えててくれたか!


 「風呂に入る前に遊ぶか」


 よしよしよし、ここがいいのかー?

 うひひひひ、相変わらずシロハはもこもこだなー。

 きなこ、お手!偉いぞー!











 「こーよー!」


 シロハときなこと遊んでいると、台所から母さんが声をかけてきた。

 なんぞ。

 帰ってきた息子に何させる気だ…。


 「あ、いたの。千尋が迎えに来てッて」


 「はぁ…?チャリで行ったんじゃないの?」


 「朝はお父さんが送ってったから、迎えに行かないと歩き」


 「…どこだっけ?」


 「駅近くのコンビニ。バイクで来てって」


 「ほいほい…」


 うちのお嬢様を迎えに行きますかね。

 絶対に帰りになんか買わされるだろうなぁ…。





 「お兄ちゃん!」


 「お疲れ」


 コンビニに着くと、千尋が外で待っていた。

 夕方で涼しいとはいえ、中で待ってればいいものを。

 肌焼けるぞ?


 「ありがとー」


 「ほい、メット」


 「お兄ちゃん、私アイス食べたいな。ダッツ!」


 「デスヨネー」


 こうなると分かっていて、バイクから降りずに千尋にヘルメットを渡したのに…。

 俺は堪忍して、バイクのエンジンを切って、コンビんの中に。

 あー、涼しい。天国だわ…。

 

 「お父さんとお母さんとお姉ちゃんと良亮さんと私で5個だね」


 「ちょっと待て、俺の分は?」


 「いるの?」


 「いるわい」


 「仕方ないなー」


 「俺の金だけどな」


 とんでもない妹だ。

 まぁ、可愛いからいいんだけどさ。

 お兄ちゃんとして、可愛い妹にはどうしても甘くなっちゃうからなー。

 

 その後も、俺の持っているカゴに色々入れてきた千尋。

 ちょっと待て!なんでコンビニで5000円超えてるんだよ!

 なんで高いアイスの箱が二つも入ってんだよ…。

 買い過ぎだろ!

 





 「さて、帰ろー!」


 「おおぅ…俺の金が…」


 「お兄ちゃん高給取りなんだからいいじゃん!」


 「これも兄の宿命か…っ!」


 千尋を後ろに乗せ、バイクを走らせる。

 千尋は高校生の時から乗っているから、後ろに乗るのも慣れたものだ。

 片手でコンビニの袋を持ち、片手で後ろのタンデムを掴む。

 この妹できるっ!


 「お兄ちゃん」


 「なんだー?」


 信号で止まったところで、千尋が後ろから声をかけてくる。


 「彼女できたんだってー?」


 「なぜそれをっ!?」


 「お母さんが言ってたよ」


 母よ…。

 何をしてくれているっ!?

 これ絶対に今日の夕飯で突かれるやつだよね!?

 

 「綺麗なんだって?」


 「別嬪さんだぞ」


 「へー、お兄ちゃんにも春がきたかー」


 「動くぞ」


 今日の夕飯で何を言われるんだ…。

 葵も来るっていってたしなぁ…。

 とっとと逃げよう。











 「「ただいまー」」


 「おかえりー」


 千尋と実家に帰ってきた。

 居間から葵が顔を出している。

 揃ってしまった…。

 竹科家の3人が…。


 「お姉ちゃんお帰りー!」


 「ただいま。それアイス?」


 「そうそう。お兄ちゃんが買ってくれたんだ」


 「にー、私の分は?」


 「箱で買ってきたから人数分ある」

 

 相変わらず姉妹仲は良いようだ。

 お兄ちゃんは二人の財布だけどね…。


 「良亮は?」


 「お母さんに頼まれてスーパー」


 「おおぅ…」


 葵の夫である良亮も竹科家に染まってきたなぁ。

 さて、今のうちに風呂でも入っとくか。











 「「「「「「ご馳走様でした」」」」」」


 居間で全員揃って夕食を食べ終えた。

 久しぶりに全員揃ったなぁ。

 年明けは揃わなかったし。

 

 「ねぇねぇ、にーが彼女できたってホント?」


 「ホントよ。美人だったわねー愛海ちゃん」


 「紅葉くんもついに結婚ですか」


 「お母さん、写真ないの!?」


 「会ったのも少しだけだったからねぇ」


 始まりやがった!

 夕飯時は葵のお腹の赤ちゃんの話題で何もなかったのにっ!

 くそっ…、今のうちに自室に逃げるか…。


 「………」


 「逃がすか!」


 「良亮!?離せっ!」


 「まだまだ時間はあるんですからねぇ…ヒッヒッヒ」


 逃げようとしたら横にいた良亮に足を掴まれた。

 こんにゃろう…。

 

 「にー、写真ないの?」


 「ナイナイ」

 

 あるけど…。誰が見せるか。

 愛海が竹科家の女どもに玩具にされてしまう未来しか見えんぞ…。


 「良亮、にーのスマホ取って」


 「ほい」


 残念だったな!

 指紋認証だから開かないんだなぁ。

 ちょっと!俺の指で開けるな!


 「にー、恥ずかしい写真が出る前に出して」


 「くそがぁ…」


 「紅葉くん、諦めてください」


 恥ずかしい写真なんてないけど、見られたらマズイものもあるわけで…。

 愛海の写真を出して献上する。

 

 うん、予想通り。

 竹科家の女3人は盛り上がる盛り上がる…。

 これは長くなるな…。

 俺も色々聞かれることを覚悟しておくか…。

 シロハおいでー。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ