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とある男女の恋模様  作者: はから
第二章 とある男女の恋煩い
32/85

とある男の怒り


 週末は最高だった。

 まさか愛海が家にいるなんて思わなかった。

 しかも女子教師のコスプレって…。

 やばい…。思い出したら…。


 やばいやばい…。

 変なことを考えるな。

 仕事中だ。 

 妄想するのは休憩だけだ。


 

 「失礼します」











 「お疲れ様。まぁ、座ってくれ」


 「………」


 「失礼します」


 月曜日の午後に楠田部長と萩田課長に会議室に呼ばれた。

 呼び出されることはなにもしていないはずだが…?

 まさか異動か?時期的にありえないか…。

 だとするとなんだ?

 身に覚えがないぞ。



 「竹ちゃん。実はだな…。」


 「………」


 「なんだ…。そのな…」

 

 「…まどろっこしい!みっちゃん!本題に入ればええんじゃ!」


 「そう言われてもなぁ…。キヨから頼む」


 「部長ー!」


 なんだ…。

 楠田部長と萩田課長の漫才を見せるためだけに呼ばれたのか…?

 楠田部長と萩田さんは同期であり、若い頃にも中部支社で無茶苦茶やっていたらしい。

 今でもキヨとみっちゃんと下の名前で呼ぶほど仲がいい。

 仕事中は楠田部長と萩田くんと言っているが…。



 「竹ぇ。実は関西の丹羽さんから連絡があってな」


 「はぁ…」


 関西の丹羽さん? 

 どこの部署の人だ?

 業務上でも付き合いはなかったはずだが…。


 「先日の研修中に、宿泊先のホテルで竹に乱暴されたと言っとる女性社員がおるらしいんやわ」


 「はぁ?」


 「落ち着け。事が事だから、みっちゃんと俺で、こうやってヒアリングというわけだわ」


 俺が研修中にホテルで乱暴?

 全く身に覚えがないんだが…。

 濡れ衣もいいところだ。

 冤罪だろ…。


 「和久井という社員に心当たりはあるか?」


 「和久井…?あのやろう…!」


 あーあー。キレちゃいましたよ。

 これは怒りで超戦士化まったなしですわ。

 あのアマァ…!

 何しくさっとんねん!!!


 「…同期ですが、研修中にそのようなことがあった事実はありません」


 「ほらみたことか。竹がそんなことするわけないわ」


 「キヨ、丹羽さんも困惑してたから仕方ないぞ。両方から事情を聞かんとな」


 和久井…!

 何しでかしてくれてんですかねぇ?


 「確認が必要でしたら、私にはアリバイがあります。幸い、梅田と南というやつと一緒でしたので」


 「そこまではいらん」


 「俺が丹羽さんに連絡してみるか。誤解ですって」


 冤罪だ。

 世の中の冤罪に苦しむ男性の気持ちがわかる。

 女性だからとなんでも言えば通ると思ったら大間違いだぞ…!


 「はい、はい。いえいえ、竹科はしっかりとしたアリバイがありまして」


 「なんや、あっちもしつこい」


 「電話中ですよ…」


 「ホテルに戻ってきて襲われた?うーん…。一度竹科に再確認します」


 あれぇ?

 なんで食い下がるんですかねぇ?

 

 「ということらしいが…」


 「…ホテルの監視カメラを見てもらってもいいんですが?」


 「どうどう」


 「萩田さん!僕は馬じゃないんですよ!」


 よーし。戦争だ。

 中部と関西の全面戦争といこうじゃないか。

 

 「あちらさんの言い分だと、帰ってきた竹ちゃんに部屋で襲われたそうだ」


 「失礼な。竹科の紅葉はそんな節操無しじゃないです」


 「昼間から何をいっとるんや」


 「スピーカーにしてあちらさんの言い分を聞いてみるか」


 時間の無駄だ…。

 こんな無駄なことを考えるなんて、和久井頭おかしいのか?

 いや、おかしいな。

 きっと、どこかおかしいわ。


 「お疲れ様です。中部の楠田ですが」


 『あー、楠田部長。今回はホンマ申し訳ないです…』

 

 電話越しに聞こえてくるのは、楠田さんや萩田さんより若く聞こえる声だな…。


 「それでですね。やはり竹科はそんな事実はないということなんですよ。なんなら、ホテルの監視カメラを見ることも視野に入れてます」


 『和久井が朝から相談があるということで、私と部長でヒアリングしたんですが…。中部さんの証言とどうも食い違ってまして…』


 「早急に解決すべきではないでしょうか。意見が食い違うようであれば、時間はかかりますが、ホテルの監視カメラも視野にいれます」


 『ん~…』


 煮え切らないな…。

 めんどくせぇ…。


 「お疲れ様です。当事者の竹科ですがよろしいでしょうか」


 『キミが竹科くんか!いやぁ…、ホンマ申し訳ない』


 「何か和久井から聞いていないでしょうか?こちらとしては身に覚えがない案件でして」


 『和久井からは「帰ってきた竹科に襲われた。酔っていたので覚えてないかも」と言っていまして』


 「「「ん?」」」


 ん?んん?んんん?

 丹羽さんの言葉に中部にいる3人が顔を合わせる。

 これは…。


 「丹羽さん、楠田です。本当に酔った竹科に襲われたと言ったんですか?」


 『ええ、酔っていたので覚えてないかも…と言っていましたね』


 「「「………」」」


 会議室がどうしようもない空気になる。

 これはとんだ茶番だ。


 「丹羽さん。やはり竹科は無実です」


 『え?ああ…、話は平行線のままですね…』


 「違うんですよ。竹科はアルコールを一滴も飲めない体質なんですよ。なので、その方の証言は矛盾しているのです」


 『え…、そうなんですか』


 「はい。触っただけでも痒みがでるほどです。…和久井さんの狂言と思いますよ」


 『…これは大変失礼しました。一度部長を交えて確認させていただきます』


 「よろしくお願いします」


 和久井め…。墓穴堀やがったな。笑いが止まらん。

 和久井は俺がアルコールアレルギーと知らなかった?

 アルコールアレルギーと診察されたのは入社してからだったから知らないか?

 東京でも飲んだ記憶ないしな…。


 「これで竹ちゃんは無罪だな」


 「しかし、お前も変なことに絡まれるの。何かしらあったんちゃうか?」


 楠田さんと萩田さんに、過去のことも含めて報告する。

 東京時代に仲が良く、色々あったと。

 研修でも言い寄られて勘弁してほしかった。

 しっかりと拒否したのだが…。


 「これで何か言ってきたら、次は人事に相談するとしよう」


 「ですな。虚偽報告ですからな。なんならセクハラでしょっぴいたろうか」


 「はぁ…」


 週明けからとんでもないことに巻き込まれたもんだ…。

 せっかく先週末の愛海で忘れてたのに。

 今日は厄日か…。



 その後、業務終了後にストレス発散ということで楠田さんと萩田さんにカラオケに連れてかれた。

 この50代元気過ぎだろ…。

 豊とX日本とか…。


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