閑話:とある後輩の悩み事
閑話です。
こんにちは!初めてまして、私はリス子こと、梅田 美奈です!
羽島建設に努めて2年目の23歳です!
両親にも、建設業界なんて!と心配されましたが、羽島建設で働けて毎日幸せです。
そんな幸せな毎日ですが、私には現在進行形の悩みがあります。
それは…。
私のチューター社員である、先輩社員の竹科 紅葉さんです!
入社して、三か月の新入社員研修が終わり、私の配属先は中部支社でした。
同期のみんなと、別れる前にチューター社員さんの情報を確認していたのです。
竹科 紅葉さんかぁ…。
優しい先輩だといいな!
同じ女の子だから大丈夫だよね!
そう思っていた私は、配属初日にやらかしました…。
「初めまして。梅田さんのチューター竹科です」
「…は、はひ!よよよ、よろしくお願いします!新入社員の梅らです!」
配属初日に、1階のエントランスで、竹科さんを待っていました。
どんな女性なんだろ?
カッコイイ先輩かな?それとも可愛い系の先輩かな?
どんな先輩なんだろう、と想像しながら待ってました。
全然違いました…。
女性じゃなくて男性でした。
男なのに紅葉…?
どこからどう見ても、竹科さんは強面の男性です。
上げた髪に、髭、それにメガネ。
強面な方が多い建設業界ですが、それはお父さんたちくらいの年代の方が多いです。
実際、研修中に業務説明などを行っていただいた、年の近い先輩社員さんはそんなことなかったです。
なのに…。
もの凄い怖いです!
怖くて挨拶を噛んでしまいました…。
配属されて数か月が経ちました!
右も左も分からなかった私も、右か左はわかるようになってきました。
一見怖そうな竹科さんでしたが、指導していただいていると、とっても優しいことが分かりました。
初日に緊張していると、午後にお菓子を貰いました!
美味しかったです!
パソコンの画面を見ている竹科さんに、声を掛けるのはとっても勇気がいりました。
でも、私が困っていると手を差し伸べてくれるのです!
パソコン見ながら、私の様子を見ているなんてさすがです!
餌付けされた私でしたが、そこから竹科さんに、自分から話しかけるようになりました。
竹科さんから「新入社員なんだから失敗して当たり前。失敗を次に活かすかどうかは梅田さん次第だ」と。
「だから失敗を恐れずに何でも聞いて。同じことを二度聞いてきたらどうなるかしらないけどね」
…どうなるんですか!!?
そうです。
私たち新入社員は何もわかりません。
研修で学んできたと言っても、それは表面上だけです。
業務の詳細なんてわかりません。
私は竹科さんに質問をするようにしました!
怖い怖い竹科さんですが、私が質問すると手を止めてくれます。
手を止めて、向き合って教えてくれます。
一方的に教えるのではなく、何故こうなるのか、考えながら教えてくれます!
同じことを二回聞くと大変なことになりましたが…。
「竹科さんって男性なのに紅葉さんなんですか?」
ある日、私の正面に座っている足立さんに聞いてみました。
足立さんは私の三つ上の女性社員さんです。
「もみじ…?兄さんのこと?」
「兄さん…?竹科さんのことです!」
足立さんと和田さんが、お腹を抱えて笑い始めました。
なんで笑ってるか分かりませんでしたが、足立さんから「兄さん帰ってきたら、もみじさんって言ってみて」とお願いされました。
「お疲れ様です!紅葉さん!」
「は…?」
打合せから戻ってきた竹科さんに、足立さんの言われた通りに声を掛けてみました。
そしたら…。
「誰が紅葉や。俺は紅葉だ」
「え………」
足立さんと和田さんが笑いを堪えてました。
竹科さんは紅葉さんではなく、紅葉さんだったのです!
「これは教育的指導が必要やな…」
「え、えっと…、お手柔らかにお願いします…」
座ってる椅子をぐるぐる回されました…。
なんで足立さんは教えてくれないんですかー!
前置きが長くなりましたが、私の悩み事聞いてください!
私が担当しているのは橋本組さんです。
橋本組の事務員さんで、暮林さんという、とんでもなく綺麗なお姉さんがいるんですよ!
幼く見られる私からすると、綺麗なお姉さまです!憧れの女性です!
書類を持ってきてくれる暮林さんですが、女子会でもご一緒させていただいています。
女子会でも話題に上がる、竹科さんと暮林さんのことについてです。
竹科さんは独身彼女なし。
暮林さんも独身彼氏なし。
二人とも彼女(彼氏)が欲しいが口癖です。
(仕事中の竹科さんはそんなこと言いませんが…)
女子会のメンバーは「早く付き合っちゃいなよ」と囃し立てます。
暮林さんは「竹ちゃんと私はそんな関係じゃない」と否定していますが、リス子は知っているんです!
以前、竹科さんと暮林さんの飲み会に、お邪魔させていただいたことがありました。
お二人の邪魔をしちゃうので遠慮していたのですが、お二人に誘われてしまったので、参加させていただきました。
お店の席につくなり竹科さんは、暮林さんの飲み物を何も聞かずに注文してました!
暮林さんも、竹科さんの近くに灰皿を置いてます!
何も言わなくても通じる二人なのです!
もう夫婦です!
もしかして、お二人は付き合ってないけど、結婚はしているのでしょうか…?
ご馳走になった料理は美味しかったですが、お二人の醸し出す雰囲気にやられちゃいました。
これで付き合ってないんですか…?
付き合うって何なのでしょうか…。
もしかして大人の関係なのでしょうか!!?
その日から、極力お二人の邪魔をしないように心掛けているのです!
大人な私はやればできるんですよ!
女子会で、竹科さんの話をするときの暮林さんは、寂しそうで悲しそうです。
付き合って、と言えば付き合えると思うのですが…。
でもお二人には、お二人の考えがあると思います。
女子会でモヤモヤしますが、大人なリス子は静かに見守るだけです!
今後も次章までの間に数話挟みます。
作者の息抜きだと思ってください('ω')




