とある男女の初デート①
忘れ物なし。
暮林さん用のメットもOK。
昨日は帰宅してすぐ寝たからクマもなし。
待ち合わせのコンビニまで20分くらいか。
10時だからそろそろ行くとしますか。
興奮し過ぎて事故だけは起こさないようにしないと…。
「いたいた」
暮林さんと待ち合わせに指定した赤と緑の看板がある数字のコンビニだ。
灰皿の近くにいるのは暮林さんっぽい。
ヤバい…いつもと違う暮林さんだ。
「おはようございます。待ちました?」
「おはよ。ちょっと前だからそんなに待ってないかな」
「一服して簡単に説明してから行きますか。ちょっと買い物してきます」
…ぐふっ。朝からヤバい。
何アレ?後ろで髪をまとめた暮林さん可愛すぎるんだけど。
落ち着け…。これじゃ初デートのチェリーボーイじゃないか…。
静まれ俺の紅葉…。
「お待たせしまし…た」
「どうしたん!!?」
戻ってきて暮林さんを見るともう我慢できなかった。
思わず暮林さんの前でotz状態になってしまった。
緊張して首から上しか見てなかったけど…。
「だって…スキニー」
「え」
「スキニー…好きにぃ…」
「変態」
だって!さぁ!スキニーだよ!ジーンズだよ!
この竹林 紅葉!スキニー程好きなパンツはない!
タイツやレギンスストッキングも最高だ。
男の夢だよね。
「全てを許そう」
「賢者竹科」
「今日の僕は無敵ですよ」
「聞いてないんだけど」
ふぅ…気を取り直してタバコ吸おう。
「ここに乗ってもらうんですけど、足はこのステップボルトに乗せてください。手は後ろのタンデムっていうここを掴んでくださいね」
「こことここ?」
「ですです。曲がる時は曲がる方向に体を傾けてくれると嬉しいです。もし何かあったら僕のヘルメット叩いてください」
「了解」
暮林さんに乗り方を説明し、出発準備を整える。
さて、暮林さんのためにも事故らないように安全運転でいこう。
傷物にしたら親御さんに殺される…。
「それじゃ行きますよ」
「安全運転でよろしく」
「了解」
バンバンバン!
痛い!
な、何!?
出発して一つ目の交差点を曲がったところで暮林さんから緊急停止のヘルメット叩きをされた。
一旦バイクを止める。
「どうしました…?」
「怖いかも…」
絶叫系大丈夫って言ってたけどダメだったかぁ…。
そうなるとアレにするか…。
「バーがあればよかったんですけど僕の付いてないですからね…。もう一つ手があります」
「なに?」
「…僕に抱き着いてもらうしかないですね」
「……それで怖くないなら」
「ダメだったら足でも叩いてください。手を離さなくていいので」
腰に手を回してもらうしかない。
べ、別に不純な動機があるわけじゃないし!
首元に香水つけてきてよかった…。
私が午前中にメイクまでして外出することにお母さんから「デート?」と言われた。
そうよ!デートよ!と思いつつ買い物と伝えて家を出てきた。
竹ちゃんとの待ち合わせ場所のコンビニに着いてタバコを吸おうかなーと思っていると竹ちゃんっぽい人がきた。
今日はメガネじゃないんだ。
クマはないようなのでちゃんと寝たみたい。
私服の竹ちゃんも新鮮でイイ。
コンビニで買い物を終えた竹ちゃんはなぜか地面に手をついてorzになった。
どうしたのか理由を聞くとさすが変態と言いたくなる内容だった。
どうやらスキニーが好きらしい。
どこまで変態なんだろう。
パンツを指定したのは竹ちゃんなのに予想してなかったのかな。
竹ちゃんから乗り方について説明を受け、バイクに跨った竹ちゃんの後に後ろに乗る。
不思議な感覚。
ジェットコースターとかの絶叫系は大丈夫だから大丈夫だと思う。
私の初めて竹ちゃんにあげるね、
ちょ、ちょっと待って!
怖い!怖い怖い!
一つ目の交差点を曲がった時に恐怖を感じた。
なんかこう…言い表せない感じ。
何かあったときはヘルメットを叩いて、と言われていたのでバシバシと竹ちゃんのヘルメットを叩いた。
ビクッとした竹ちゃんだったがすぐに止まってくれた。
「…僕に抱き着いてもらうしかないですね
抱き着く?
カップルがやってるやつ?
アレをやれと。
これで怖かったらお手上げ。
竹ちゃんを信じるわ。
「間違っても寝ないでくださいね。死にますので」
「よ、よろしく」
竹ちゃんに抱き着く形でバイクが動き出す。
え…すぐに右折!?
まだ心の準備が…!
………あれ、怖くない。
竹ちゃんに抱き着くことで安定してるから?
それからは怖くなくなった。
竹ちゃんが安全運転してくれてるから。
抱き着くと竹ちゃんいい匂いするんだけど…。
バイクはドラッグスタークラシックの400です。
昔乗っていましたが、良いバイクでした。
物語ではハーフヘルメットを装着しておりますが、危険ですのでフルフェイスを使用してください!
何かあった際に命を守ってくれます。




