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とある男女の恋模様  作者: はから
第一章 とある男女の恋模様
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とある女の飲み会 ~追加注文は以上です~


 「竹科で予約してると思うのですが」


 「2名でご予約の竹科様ですね。こちらのお席になります」


 竹ちゃんが予約してくれた焼鳥屋に到着。

 案の定竹ちゃんはいなかった。

 定時前に「遅れます」と土下座したスタンプで連絡来てたからなー。

 どれくらい遅れるかな?

 竹ちゃんには悪いけど先に飲んでよ。

 飲まなきゃやってられない…。


 ぷはー、美味しい。最初の一杯はやっぱりビールね。

 土曜日どうしよう…出掛ける予定はなかったけど彼女ちゃんくるなら気まずいし…。

 

 昨日兄が帰宅して爆弾を投下していった。

 土曜に久しぶりに小海連れてくるから、と。

 ちょっと待て。小海(おみ)ちゃんくるの!?

 

 小海ちゃんは兄の彼女だ。

 二度顔を合わせたことあるけど可愛い女の子だった。

 なんで後退が始まった兄なんかと付き合うかねー。

 兄の頭皮も父と同じ運命を辿るだろう…。


 仲が良いわけでも悪いわけでもない。

 兄の嫁候補と小姑候補の関係。

 小海ちゃん来ている間は部屋から出なければいいけど、それはそれで小海ちゃんに申し訳ない。

 久しぶりに出掛けるか…。


 うん。私の大切な休日返せ。

 店員さん、生追加で。


 どーしよ。

 名駅か栄でぶらぶらウィンドウショッピングかな。

 でも休日に人多いし…。

 うげー、どうしよう。



 「ようやくか。竹ちゃん遅刻だぞ、と」


 竹ちゃんから「会社出ました」 と連絡が入る。

 ここまで一駅だし、あとでウーロン茶頼んどこ。

 ついでに串とかも頼んどこ。

 





 「お待たせしました」


 20分程で竹ちゃんがやってきた。

 こっちは三杯目なんだけど。

 遅刻するとは許さん。


 今日も竹ちゃんと他愛もない話。

 このどうでもいい感じのやり取りが好き。

 

 竹ちゃんと飲むようになって二か月くらいだと思う。

 最初のようなぎこちなさが消えて冗談を言い合えるようになった。

 初対面の強面竹ちゃんはどこに消えたし。

 へにゃりに笑う竹ちゃん可愛いぞ。



 明日はゴルフですわ、と近くのおじさんたちの会話が聞こえてきた。

 土曜日…やば、何も考えてない。

 どうしよ。

 …竹ちゃんに助けを求めてみるのもいいかも。


 

 「…竹ちゃんって今週の土曜日何してる?」


 岐阜まで桜見に行く?

 竹ちゃん干物仲間じゃなかった?

 何リア充しちゃってるのよ。

 しかも岐阜って!遠出じゃん。


 恵那かー。

 結構遠くまで行くんだね。

 え、バイクでいくの?

 ていうか竹ちゃんバイク持ってたの?

 何それリア充マンじゃん。

 竹ちゃんには干物がなんだかを教えないといけない。

 竹ちゃんって意外に干物じゃないんじゃ…?


 「…竹ちゃん、私も連れてって」


 気づけば竹ちゃんに同行させてほしいとお願いしていた。

 竹ちゃん固まるなよ。

 そんなに私と出掛けるのが嫌か。

 嫌なの?泣いちゃうけど。


 バイク乗ったことないんだけど。

 原付は乗ったことあるけど中型とか大きいバイクに乗ったことはなかった。

 

 アメリカン?ネイキッド?何それ。

 ああー、バイクの種類ね。

 へー、これが竹ちゃんのバイクね。

 か、カッコイイじゃん。


 いいの?せっかくの土曜日だけど?

 じゃあ竹ちゃんには私の初めてをあげるわ。

 ちょっと赤くなってる。

 卑猥なことじゃないんだけどね。


 









 「明日よろしく」


 「目のクマ作っていきますね」


 いつもの駅まで別れる。

 ちょっと!クマ作ってくるって何?

 ドライブするのに寝不足はダメだし。

 ちゃんと寝てもらおう。


 あれ、これってデートじゃない…?

 ででで、デートってなんだっけ…。

 た、竹ちゃんとデート…。

 

 ヤバ…ちょっと酔いが回ってきたかも…。

 竹ちゃんとデート。

 休日に竹ちゃんと会うとかヤバい。

 

 この前言った本気(ガチ)メイクしてあげようかな。

 …ドン引きされるのも嫌だからナチュラルで。

 

 えーと、スカートはダメでパンツね。

 ヒールもダメだからスニーカーがいいと。

 寒いかもしれないからジャケットね。

 

 コーデは明日起きてから考るか…。

 竹ちゃんとデート…。

 ヤバっ…。


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