とある男の飲み会 ~週末の予定を添えて~
今週も終わり!
今週も萩田さんのお願いにリス子の世話に疲れた…。
リス子の世話はいいとしても萩田さんのお願いは仕事じゃないよなぁ…。
いや、社内の業務円滑に進めるための業務か…?
俺まだ平社員なんだけど…。
…暮林さんと飲んでリフレッシュさせてもらおう。
ついでに目の保養も。
「お待たせしました」
「遅い」
「待ちました?」
「30分も待ったんだけど」
「…今日は全部出します」
「ウソウソ。ウーロン茶でよかったよね?頼んでおいたからすぐくると思う」
焼き鳥屋に入るとすでに暮林さんはビールを飲んでいた。
相変わらず綺麗だ。
俺が席に座るとすでに飲んでいた周囲の男性客が目を背ける。
美人が一人で飲んでいると思って期待していたのかな?
「お疲れ様です」
「おつかれー」
席についてすぐに運ばれてきたビールとウーロン茶。
急ぎ足できたため、喉が渇いていた。
美味い。この一杯のために今週頑張ってきたように思える。
「竹ちゃんホントに美味しそうに飲むよね。…ウーロン茶なのに」
「この仕事終わりの最初の一杯が最高でしてね…。あとは目の前に美人がいるからですね」
「煽てても何もでないんだけど。あ、この枝豆あげる」
「ありがたき幸せ…って空じゃないですか!」
「美人の食べた枝豆だけど」
「…………」
「変態」
「誉め言葉ですね」
冗談を言い合える相手は心が楽になる。
今週も色々とストレスが…。
一人で抱え込んで昔みたいに爆発するよりマシか…。
「何気に2週連続って初めてじゃない?」
「あー、でしたか。美人成分が不足してまして」
「通行人の美人でも見てれば?」
「今日は辛辣ですね」
「女には色々あるの」
暮林さんの悩みか。
気になるけどそこまで踏み込むのは失礼かな。
「…聞かないの?」
「聞いてよろしいので?」
「竹ちゃんと私の仲じゃん。そこまで深刻なことじゃないし」
あれ?聞いていいのか。
暮林さんの悩みを俺は聞いても解決になるのか…?
「…竹ちゃんって今週の土曜日何してる?」
「土曜は岐阜まで今シーズン最後の桜でも見に行こうかなーと。もう散っちゃってないかもしれないですけどね」
「え…竹ちゃん干物じゃなかった?」
「半干物ですよ。今週は天気がいいので散歩でも行こうかなと思いまして」
「全然干物じゃなくない?」
休日は街中に買い物に行ったり、疲れることはしないけど散歩とかはしてるしなぁ…。
これ干物男じゃないの?暮林さんの干物イメージは違うのか。
「どこいくの?」
「んー…特に決めてないんですけど恵那辺りまで行こうかと思ってますね」
「…………」
「どうしました?」
「…竹ちゃん、私も連れてって」
「…はい?」
どうやら土曜日にお兄さんが彼女を家に連れてくるらしい。
初対面じゃないが暮林さんがいると緊張するかも、ということで出掛けることにしていたらしい。
だけど出掛ける場所どうしようと困っていたら目の前にちょうどいい男がいたのでお願いしてみたようだ。
……え?まさかの暮林さんとの初デート!?
ででででデート!?
デートと言っていいのかわからないけど…。
まさか休日に暮林さんと会うことができるとは…。
「何で行くの?電車?」
「いえ、バイクですよ」
「…バイク持ってるの?」
「中型ですけどね」
「リア充?」
「非リアですね」
バイク持ってたらリア充ってどういうことですかね…。
バイク=リアル充実した人間なのか…。
「…バイク乗ったことないんだけど」
「安全運転で行きますよ」
「うーん……私の初めて竹ちゃんにあげる」
「言い方言い方」
暮林さんはバイクに乗ったことないようで躊躇っていたが、そこは暮林さんとの初デートしたい煩悩が押し通した。
せっかくのチャンスだ。
休日に誰かと遊ぶなんていつぶりか…。
「迷惑じゃない?」
「今日は嬉しくて寝れないと思います」
「遠足前の小学生か。…じゃあお願いしてもいい?」
「喜んで」
当日迎えに行く場所と時間を決め、バイク初心者の暮林さんに服装などの注意点を伝える。
場所は恵那にした。
調べてみると2時間もあれば到着できるようだ。
一人だったら高速で行こうかと思っていたが初心者の暮林さんの乗せるので下道でのんびりと行くことにした。
「明日よろしく」
「目のクマ作っていきますね」
「寝不足だったらバイバイね」
「今日は帰ったらすぐに寝ます」
「小学生か」
いつも通り駅で別れる。
まさかデートになるとは…。
嬉しすぎてヤバい。
明日が楽しみだ。
今日はスキップで帰ろうかな…。




