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エピローグ




エピローグ




「ほらアレク。起きなさいよ」

 アレクは揺さぶり起こした。

「…あっ?夢?」

 アレクはさっと起きあがる。

 目の前にはユーリィが立っていた。

 アレクには、昨日の記憶がほとんど残っていなかった。

 あの後、食事に行ったときに勢いあまって酒を飲みすぎてそのまま眠ってしまったらしい。

「夢なんかじゃないわよ。昨日のこと覚えてる?」

 ユーリィは、優しく問い掛けた。

「昨日のこと?」

 アレクは思考を探ってみた。

「ああ、思い出した。ユーリィ。ここは何処なんだ?」

 アレクは見慣れない部屋だなと思いながら部屋を見まわした。

「クリスの別荘よ。日頃使って無いから貸してくれるって言ったのよ。もうすぐ来る頃かしら」

 ユーリィは、窓から外を見た。

「もうすぐ?今日は何かあるのか?」

 アレクは、起きあがりベッドから飛び降りた。

「ううん。昨日アレクが酔いつぶれてたから二日酔いになって無いか見に来るんだって言ってたわよ」

「へーん。それはここに来るための口実だな。オレは今まで一度も二日酔いになったことはない!!」

「アレク。そんなの自慢にならないわよ?」

 ユーリィは思わず突っ込みを入れた。

「アレクさ〜ん。おは……」

 元気良くレナの声が聞こえてきたと思ったら途中でその声がとぎれてしまった。

 アレクも、二階の窓から外の声が聞こえた方をみた。

 そこではレナと、レナの口を塞ぐクリスの姿があった。

 口を塞いでいるのは、二日酔いの時大きな声(音)を聞くと頭に響くからなのだろう。

 二人は、アレクの姿を見ると苦笑した。

 ちょっと気まずかったのだろう。

「ははは。別に二日酔いになっちゃいないから安心しな」

 アレクはこれ以上気を使わせないように安心させた。

「アレクさん。遊びにきたですぅ」

「そうなの。アレクあがるわよ」

 クリスはつまらなそうにいった。

「ああ、構わないぜ」

 アレクは、何も無かったかのように、部屋の中に腰を下ろした。

「ユーリィ。これからどうするつもりなんだ?」

 アレクはユーリィに向かって聞いた。

「そぉね。しばらくはこのドルジナに滞在しようと思うの。だってここまで来るのに二週間近く歩かないと行けないわけでしょう?だからしばらくアレクもここで保養よ」

「保養か、いいかもな」

 その時部屋のドアが開いて、二人が入ってきた。

「アレク。マリィは帰っちゃったわよ」

「アレクさん。ケーキ持ってきたんですぅ。レナの手作りなんですぅ」

 レナはケーキの箱を前に出して見せた。

「ほぅ。パーティでもするのか?」

「はい。今日はアレクさんの誕生日なんですぅ!!」

 レナはやけに嬉しそうだった。

「オレの誕生日?今日だっけ?ここ数年誕生日のことすっかり忘れてた。…っていつオレの誕生日なんて知ったんだよ?」

 アレクがレナに問い詰めると、ユーリィが笑いながら答えた。

「私が教えてあげたのよ。だって、レナちゃんがどうしても知りたいって言うんだもん」

 アレクはため息をついた。

「…本当ヒマ人ばっかだな。オレなんてどうでもいいのに」

「なに言ってんの?アレクだからこそなのよ。今日は盛大に盛り上がりましょう」

「そうですぅ。アレクさんいっぱい食べるですぅ♪」

 レナは、ケーキをテーブルに置いて、支度にかかっている。

「平和な風景そのものだな。ってレナの作る料理って大丈夫なんだろうか?」

 アレクの心配は杞憂に終わった。

 何故ならレナはとても料理が得意だったからだ。

 この光景を見てたまにはこのアットホームな雰囲気の中での生活もいいかもしれないとアレクは思ったのだった。



相当昔のなので、サポート対象外です(嘘


誤字脱字等、実は結構あります。

あまり気にしないでください。


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