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プロローグ

プロローグ






 薄暗い森の中に二人の子供の姿があった。

 一人は、六〜七歳位の男の子。もう一人は、少し年上の少女のようだ。

 薬草が切れたから、二人で近くの山に薬草を摘みに来たのだ。

「ねぇアレク。どれ位摘んだの?」

 少女は、無邪気な笑みを浮かべながら言った。

 アレクと呼ばれた男の子は、まだ半分も入っていないかごを見せた。

「まだコレだけしか摘んでないよぉ…。ここらへんは数が少ないみたいだね」

「それだけなの?それじゃ少ないわ。あっちの方がいっぱいはえているから、あっちに行こうよ!」

 少女は、アレクの手をつかむと早足で歩き出した。

「ち、ちょっと待ってよ。こぼれちゃうってば」

 アレクはあわてて立ちあがった。

「ほら、早くしないと日が暮れちゃうよ」

 そういうと、少女は走り出した。

「ユーリィ、ちょっと待ってぇ」

 アレクは、情けない叫び声を上げ、あわてて走り出したが何かにつまづいて派手に転んでしまった。

「いたぁい」

 転んだと同時にかごの中身をおもいっきりぶちまたけた。

「あぁ、急いで拾わないと」

 急いで拾い集めて、再び走り出そうとしたそのとき、ユーリィの叫び声が聞こえてきた。

「い、いやぁーーー」

「ど、どうしたんだろう?」

 アレクは、心配になって声のしたほうに向かって走って行った。

 その時、前のほうから眩しい光が射してきた。

 アレクは、手で目を覆いながらも前進して行った。

 徐々に目が慣れてきたのか光の中に二人の姿が朧ながら確認できる。

「何が起こっているの?大丈夫なのユーリィ。ねぇ、返事してよ」

 アレクは、光のほうに向かって叫んだ。

 しかし返事はなく、アレクには何が起こったのかさっぱり解らない。

 その時、一人の姿が見る見る小さくなって行く…。

「?」

 アレクは、キツネにつままれたように呆然と立ち尽くしていた。

 やがて、その姿が完全に見えなくなり、光も消えた。

 そこには、魔女の姿がうっすらと残っていたが、それもすぐに消えてしまった。

 アレクは怖くなって帰ろうとしたが、ユーリィを探さないとならなかった。

 アレクは、近くに薬草が沢山入ったかごを見つけ、それを拾い上げた。

 その横には、この山にはいないはずの全身が赤い羽根の小鳥がアレクを見上げていた。

「も、もしかしてユーリィなの?」

 鳥に向かってアレクが聞いた。

 すると、鳥はコクリと頷いた。

 アレクはしばらくの間、その場に立ち尽くしていた。



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