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Killing syndrome  作者: 兎鬼
2章 狼煙
8/26

始まりの始まり

9月12日(木) 14時


コンビニで着替えを済ませ、朝来た道を戻り学校へ向かう。

流石にお昼時に学校の方へ向かうと目立つもんだな。

朝街へ向かう時には、誰も私を気にも留めていなかったが、この時間ともなると流石に視線が気になる。声はかけられなかったが、朝すれ違った警察官も今度ばかりは訝しい目でこっちを伺ってきた。不良を始めてから好奇の目で見られてばかりだから、この手の冷たい視線には慣れている方だ。でも、この時間にフラフラしているJKに声をかけない警察官って大丈夫なのだろうか。私のような非行を働く学生に声をかけて補導するのも交番のお巡りの仕事だと思っていたが、実は違う部署の管轄なのだろうか。それとも私の不良加減がまだまだというところかもしれない。

約束を交わした以上私も口外するわけにはいかないが、さっき男を3人も病院送りにした私を補導しないで誰を補導するというのだろうか。ま、補導されたいわけじゃないんだけどね。


交番の前を抜け、学校の方へ向かう歩道橋を渡る。昼時ということもあって、朝に比べると少し人通りが少ない気がする。この時間なら普段絡まれる学生は居なそうだし、学校まで面倒ごとに巻き込まれずに行けそうだ。


せっかくなのでここで解決しなければならない問題を整理しようと思う。

大きな問題は2つ。1つ目は言わずと知れた、学校の前のチームどうしようか問題だ。ただ、こっちは割とどうにかなりそうな気がする。さっきシめたあいつらとは違うチームみたいだから、仲間がやられたから帰るみたいな展開は期待できないだろうが、いくらなんでも校門の前にずっと居座っていたら通報されるだろう。そう考えるとあれから6時間以上経っているし、いなくなっている可能性の方が高いだろう。

だがもしいた場合はなかなか手を焼くかもしれない。あいつらと同じレベルならボコボコにするのは容易い。しかし校門の前で暴れれば私の立場が危ういことになる。考慮しなければいけないレベルとしては低い問題だが、まだいた場合は荒事にせず対処する方法を考える必要があるだろう。

そして2つ目が……


「はぁ……どうやって真理亜と交渉しよう」


真理亜をどう懲らしめてやろうかという問題だ。成り行き上仕方ない選択ではあったが、雀荘龍でのことを話さないと約束をしてしまった以上私が襲われたことを材料に真理亜を問い詰めることはできない。


上履きを隠されたり汚されたり、体操服を隠されたり切られたりといった定番の嫌がらせから今回の襲撃まで、真理亜は何1つ証拠を残していない。ぶっちゃけ今までされてきた小さいやつだったら、わざわざ手間をかけて止めなくても予備を用意しておけばいい話だったし放っておいても良かった。しかし、ここまで襲撃や喧嘩に巻き込まれることが増えては学校を退学や留年になりかねない。そんな事態になってしまったら将来も危ぶまれるし、メンツも立たない。

真理亜がどんな悪事を働こうが、でかい顔しようが私には関係ないが、そろそろやめてもらわなければ困る。


今まではどんなことをされてもシカトしてきたし、勉強や習い事で喧嘩を売られたらボコボコにしてきた。だがそれでダメなのなら直接、何かしらの形で真理亜に話をつける他にはない。


ただ、材料がないからなぁ。

あれだけの人数で私を狙ってきたんだし、私が無事に学校に顔を出せば少しは驚いて動揺してくれるかな。

ただ、真理亜が動揺したからといって揺らぐようなやつではないことは長い付き合いで分かっている。私の考えは甘すぎる希望的観測だ。しかし、これの他には何も用意がないし、ここは得意の出たとこ勝負で行くしかないかな。


ピーポーピーポーピーポー


学校から一番近い、今朝昼ごはんを買ったコンビニの角から路地に入ろうとした時、大通りを猛スピードで救急車が走り抜けていった。


意識していなかったが、さっき商店街を出るときも救急車とすれ違った気がする。となるとここ1時間以内に、私が手配したものと合わせて3台か。今日は救急車とよく出会う日だな。もしかして私みたいなやつが他にもいて、誰かをシめてたりして。

うん、私だけか。


路地に入りまっすぐ進んだところに見慣れた絢爛豪華な校門がある。これ以上考えても何も進展はしないだろう。思考をあきらめおとなしく校門に向かうとしよう。


校門には見慣れた守衛のおっちゃんが詰めている。他の奴が関心を持っているかはわからないが、私はこうして途中から来ることが多いせいで話す機会が多い。

なれた動作で、守衛のおっちゃんがいる詰め所に向かいインターホンで中のおっちゃんに声をかける。そしてカバンから学生証を取り出し提示すると、ため息をつきながらおっちゃんが帽子をかぶりなおす。


おっちゃんはガラス越しに学生証を確認すると、いつものお小言を言ってきた。常連なのでいっつも同じことを言われている。最初は真面目に聞いていたが、最近はもう慣れてしまって適当に聞き流している。今日も何を言われたのか聞いていなかった。


「はぁ……」


お、終わったようだ。

一通り文句を言い終わった後、おっちゃんは今度はさっきよりも更に深いため息をつき、諦めたように肩を落とした。そしてカウンター下のボタンを押し鍵を解除する。


ガチャン


すると門の脇の扉の鍵が開く音がした。

おっちゃんは詰め所から中の方に入っていき、少し待つと回り込んできて扉をあけてくれた。


「ちゃんと勉強するんだよ」


「はいよー」


ま、目的が変わったから今日はするつもりないんだけどね。

おっちゃんが心配してくれているのは何となく感じるので無視はせず返事はすることにしている。心配が解消される日は来ないような気もするけど。私が言ったらかわいそうか。


気を取り直して、校舎を目指す。

テスト終わりで多分まだ教室にいるだろう。

目的は奥の校舎3階、3ーA教室。


さて、行くか。

材料はなにも揃っていないし、解決するかどうかは微妙だが、やれるだけやろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私立花園女子学園は幼稚園から高校までのエスカレーター式の学校である。

幼稚園は私の家がある住宅街にあり、小学校と中学校は隣町に、そして私が通っている高校は駅から歩いて15分のところにある。繁華街に面していない分、安全性や神秘性?には富んでいるのだろうが、アクセスが不便で仕方がない。といっても幼稚園から高校まで自分の足で通う奴なんて殆どいない。私の同級生ではぶっちゃけ私しか徒歩では通っていないから、不便に思っているのは私だけなのか。


花園学園は高校から始まり、今年で創立250年になる超名門だ。無駄とも思えるほどにコテコテの装飾が施され、門を入って正面に現れる下級生の校舎前には金の初代学園長像が堂々と鎮座している。もちろんメッキだが雨風でメッキがとれてしまうこともしっかり想定されており、月に1度はメンテナンスの業者が入っている。

流石に戦時中は金品は軍部にもってかれ装飾は剥がされ、その上で敵国の標的にされて更地になったそうだ。しかし、そこは流石は金持ちといったところで、戦後復興が進んで貿易が可能になると間もなく地面から生えてきたように元通りのピカピカの校舎が復活したそうだ。

悪いところだけじゃなく、いいところも紹介してやると、戦後は無料で学校を解放していたらしい。いや、これも金持ち自慢かな。


私は校門を入ると、赤いコンクリートで舗装された道を校舎に向かって歩いていく。脇にはイチョウの木が美しい間隔で植えられている。

秋になるとこの道も美しいのだが、何よりもうんざりするのは車で来るやつのことしか考えられていないことで、校門から校舎までがとにかく遠い。この前気になって測ってみだが、普通の徒歩のペースだと手前の校舎まで11分もかかる。防犯上の問題で長くしているのかもしれないが、どうせ庭自慢だろう。そこだけは少し腹がたつ。


2つ並んだ校舎のうち、手前の校舎が特別教室と1年生の教室のある校舎。そして奥の校舎が上級生の教室がある校舎になっている。

やっとの思いで手前の校舎の前まで来たところで、左に曲がり体育館を左手に奥の校舎を目指す。体育館ではうち伝統の大会に出ないバスケ部が遊んでいた。


テストのおかげで授業が終わっている時間なので、誰かしらにすれ違うかとも思ったがうまくかわせたらしい。

奥の校舎の下駄箱までたどり着くまで奇跡的にここまで誰にもすれ違わなかった。校舎入り口の時計を確認すると15時になるところ。校門を入った時は14時40分だったからここまで20分かかるということか。


自分の下駄箱に靴を入れ、上履きを取り出し履き替える。

やはりほとんどの生徒は帰ってしまったようだ。下駄箱にはほとんど靴が入っていなかった。

少し時間を間違えてしまったらしい。午後までテストだと思っていたが、今日は午前中で終わりだったようだ。

まずいな、もしかしたら真理亜も手下たちと一緒に帰ってしまったかもしれない。


「えーっと、真理亜はっと」


安倍真理亜。下駄箱も、あいうえお順の出席番号で割り振られているため、あいつの名前が安倍なおかげで、出席番号が覚えやすい。うちのクラスの出席番号1番のところを確認すると、まだ靴が入っている。


あぶね、とりあえず一安心だな。とりあえず目的は果たせそうだ。


早く行かなければ帰ってしまうかもしれないが、下駄箱に居ればとりあえず見逃すことはないだろう。

まずは相手の戦力を知らなければならない。といっても学園内にヤンキーがいるわけではないから鬼気迫る状況ではない。それでも面倒な真理亜の手下がいなかったらいいなという希望的な意味合いの確認である。


真理亜以外の手下の出席番号は分からないが、テストのおかげで残っている人数が限られてくる。この状況であれば確認がしやすいし、確認しておく意味がある。

下駄箱を確認すると、やはり靴箱に2箇所、見覚えのある高級ブランドのローファーが入っていた。間違いない。面倒だが真理亜の手下もまだ校舎に残っているようだ。


確認を終え、下駄箱正面の廊下を左に進み階段を目指す。下駄箱正面は職員室なので、見つかれば一巻の終わりだ。別に怒られるのはいつものことなので何でもないが、今日は真理亜に会うまでは、時間の消費もなるべく少なくしたいし、それに目立つ行動は避けたい。

悟られないように細心の注意を払い職員室の前を通過し、無事に階段にたどり着く。


こうなればもうあとは登るだけ。生徒が帰った後のこの時間に、教室に残っている物好きの教師なんて流石にいないだろう。


階段は下駄箱に近い方とその反対側に2つある。職員室の前をなるべく通らないこの経路で帰るのが一般的だが、私のクラス3-Aは今登ってきている階段とは反対側の廊下の一番端にある。混むのを避けてそっちから降りるやつもいるし、真理亜が絶対に反対側から帰らないとは言い切れない。

すれ違うことに注意を払わなければならないとしたらこの階段だけだ。時間短縮も兼ねて一気に登ってしまおう。


なるべく音を立てないよう注意しながら、階段を2段飛ばしで駆け上がる。


「よいっしょ」


よし、到着。多分1分はかかっていないはず。真理亜がもう教室を出ている可能性は十分にある。だが真理亜は運動が得意な方ではないし、私のように走って階段を降りたりなどするはずがない。この位置ならばすれ違いになっていたとしても追いかければ間に合うはずだ。


真理亜は放課後には、手下と一緒に教室に残って喋っていることが多い。どうしてほとんど毎日話していて話すことが尽きないのだろう。私には絶対できない。


廊下から死角になる階段脇のスペースでで小休憩をとりながら、今後の方針を確認する。一番望ましいのは私が歩いて行って、真理亜がまだ教室で話しているという展開。そうなればその場の勢いでサシで話すだけだが、そんなにうまくいく展開ばかり想定していても仕方がない。

ならば今私が想定すべきは、今すぐにでも帰りそうな状況に出くわす展開だ。一番まずいのは真理亜に話をするために学校に来たと悟られること。こっちの真意を読まれれば、相手はきっとしらを切り続ける。そうなれば材料を持っていない私は、ただ警戒されて終わり。そして今後はさらに尻尾を掴みづらくなる。なんとしてもばったり会ってついでに話すという展開を装わなければ。


小休憩のおかげで、乱れた呼吸は完全に平常に戻った。考えていて帰られてしまってはなんの意味もない。

私は覚悟を決め、教室に向かうために踊り場から出ようとして……


「っ!?」


自分の教室の扉の横に、予想外な人物を発見し、驚いて思わず飛びのいてしまった。大きな音は立っていないはずだがもしかしたら気付かれたかもしれない。


悪い展開を予想しようとは言ったが、この展開は私が考えうるなかでも最悪の展開だ。

なんで教室の前に、鷹城がいるんだ。


鷹城は先月うちの学校にやってきて、うちのクラスの担任になった男だ。前任の先生は病気のため療養することになったと聞いているが、正直不健康そうには見えなかったし、メンタルでもやられたのだろうと噂になっている。

だからあいつが怪しいとか、危険な匂いがするとかそういう理由なら真っ向勝負してやるところだ。しかし、あいつが恐ろしいのはそんなところではない。というかむしろ、鷹城は長身だしイケメンだしで担任変わって良かったとすら言われている。

じゃあなんで恐ろしいかって言ったら、もし今、奴に発見されてしまったら……


即補習だ。


やべー、やべー奴いる。どうしよう。

軽く詰んだかもしれない。もちろん補習は受けるつもりだったし、こんな予定がなければ鷹城を自分から訪ねたよ。でもさ分かるだろ。受けたくないタイミングで来る補習って嫌だよな。

それに、ここで鷹城に連行されて補習なんてことになったら、確実に真理亜には私が教室を訪ねようとしていたことが認知される。

真理亜は甘くない。たまたま教室に来ただけなんてことは、たとえ事実忘れ物を取りに来ただけであったとしても、考えるはずがない。絶対に私が自分を訪ねてきたところで、鷹城に捕まったと思うだろう。そんなことになれば、訪ねてこないよりもっとひどい展開になる。真理亜やその手下を相手にするよりもずっとやりにくい。


そういう意味でも、これは間違いなく最悪の展開だ。

どうする?真理亜と結着をつけるためにやってきたが、ここは一旦引いて素直に職員室で補修受けるべきだろうか。いや、そんなのダサすぎるだろ。

頭の中で私がとるべき選択肢を並べてみるがどれもいい選択肢ではない。


「あれ?」


選択肢を並べてみて一つの違和感に気付く。


何故、鷹城は教室に入らず入り口の横にいるんだ?

一瞬ちらっと見ただけだから確かな確証があるわけではないが、鷹城は教室に向かおうとしている様子はなかった。それに足音もしていない。なら何をしているんだろう。

覗きか?……いや、なくはないけど覗くとしても何故放課後の教室を覗く必要がある。なら覗きは違う。じゃあ盗み聞きか?もし計画的な盗聴なら盗聴器を使うだろうから、教室に入ろうとしたらやばい話を聞いてしまって入るには入れないといったところか。こっちはあり得そうだ。


だとすれば、真理亜が実際に感知しているかどうかはわからないが、私が襲撃された今日の今日に

可能性として濃厚なのはこの2つか、もしくはどちらもか。まぁ、どちらもって一体どんな状況かわからんが。


今度は頭だけ出して廊下の方をそっと伺う。しかしまだ鷹城は動かない。


このままあいつが居なくなるまで待つという選択肢もなくはない。だが真理亜たちが私が来ることわかっている場合、話し合いが終わって完全に口裏を合わせられてから近づいても何の意味もない。

鷹城に気付かれるリスクを冒してでも、今話している内容を聞いておく方がいいだろうか。思考を巡らせ、取るべき選択肢を考える。


「よし」


気づかれていなかった場合、まずい状況にはなる。だが苦しい言い訳には変わりないが、補修を受けに鷹城を訪ねたとごまかせばいい。何よりまずいのは、気づかれていて後から何も手が打てなくなる場合だ。

ならばここでリスクを冒してでも、真理亜に近づく意味がある。


覚悟を固めて廊下に出る。聞こえてくる音を一つも逃さないように耳に集中しながら、ゆっくりと歩いていく。

鷹城に気づかれるのは確実だが、教室に近づく前に私と気づかれては、得られる情報が減ってしまう可能性がある。他の生徒の足音に聞こえるように、そして不自然でないような歩調を保ちながらもできるだけゆっくりと歩くよう注意する。


「でもどうしてあいつが、無事なまま学園に来てるのかしら?配置した3チーム全てから連絡がありませんし…。考えたくないけど、やはりあいつが邪魔者と考えた方が良さそうね」


「ええ。一橋がそこまで協力だとすると、あちらも強い手駒を持っていると考えるべきですわね」


やはりこちらに気付いている。口裏を合わせ終わって雑談に入っている感じか。

完全に出遅れた。これではもう交渉どころか簡単な情報を引き出すことすら難しいな。


しかし3チームとは一体どういうことだろう。わたしが目撃したのは校門の前にいた奴らと、わたしが匿っている奴らの2チームだけ。真理亜が手駒にするということは、何かしらの利害関係で結ばれているはずだから裏切られたということはないはず。とすると、わたし以外に真理亜の手駒を倒した奴もしくは奴らがいるという事だろうか。


ここは少し作戦を切り替えた方が良さそうだな。交渉は難しく、知らない情報が多い。

ならばここは鷹城に気づかれて、教室によらず補習に行ったほうが上策だろう。ここで聞けるだけ情報を聞いて、引くとしよう。


改めてより一層耳に集中し、残り十数メートルを教室に向かって歩いていく。


「兎に角、このままこれ以上関わるのは危険ね。悔しいけど、この辺りで一旦手を引いた方が良さそうだわ。どうにかして今つぶしたかったけど、今はまだ様子を見ましょうか」


声色から、相当イラついているのがわかる。

やはり私の周りをうろついていた奴らは真理亜が手配してたのか。教室まで残り10メートル弱。この距離なら聞こえたと言って、教室にかちこむのもなしではないが、会話から察するに、幸運な勘違いで私からは手を引いてくれそうだ。

親同士が政敵というのもあり、子供の頃から顔を合わせては嫌味を言われてきた。まぁ私は昔からずっとシカトしてきたわけだが。

ここで私がいることに気づかれれば、真理亜の性格上せっかく諦めてくれそうな流れが変わってしまうのではないだろうか。


このまま鷹城に気づかれるより、うまくこの場を逃れる方が上策だったかもしれない。

鷹城のヤツもまだ私に気づいてなさそうだし、適当に横の教室に入ってやり過ごすという選択もやってやれないこともなさそうだ。

しかしここで変な選択をした場合、うまくいかなかった時のリスクがあまりにも高すぎる。出たとこ勝負でここまで来て、交渉の余地なしと判断したんだから、ここは腹をくくった方が良さそうだ。


これ以上に引き出せそうな情報もなさそうだ。歩調に気を使うのも疲れてきたし、鷹城に気付いた体で歩調をあげてとっとと声をかけるとしよう。


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