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その5 村の様子は地獄絵図だった


 集まって皆で作戦を練る。


 まずできるだけ村に近づいて村内の様子を偵察。

 村人の安否確認を最優先にする事にした。


 ボクたち六人はこっそりと村に近づく、相手は二百だ、見つかったら六人で対抗はできない。


 屈んで進むボクの目の前には、マンクのビキニのお尻があった。

 ああ、ヒットポイントを削られてもいいから女の子のお尻がよかった。


 村の端に到着して様子を窺うと、村の中は静かである。ゴブリンが数匹歩いているのが見えるので部隊の移動はしていない。


 カレンが先行して侵入し、村人の居場所を確かめる事になった。


「みんなもかなり警戒した方がいいと思うよ、村の中がゴブリンの気配で圧倒されてどこに潜んでいるのかよくわからない」


 カレンの言葉に冒険者集団らしく皆が引き締まる、水着姿の馬鹿集団というのはこの際横に置いておこうか。


「周りが臭すぎると鼻が馬鹿になって利かなくなる感じよね」

「ボットントイレみたいなもんだもん、一回落ちた事あって最悪だったよ」


 引き締まってない人たちがいた。力が抜けるからミーシアとタンポポは黙ってるように。

 タンポポは何でそんな所に落ちてんですか。


 と、とにかくいよいよ作戦開始である。


 カレンが村の中に入った途端、物陰からゴブリンたちが一斉に出てきてカレンを囲んだ!


「カレン!」


 助けようと立ち上がったボクたちも、あっという間にゴブリンの部隊に囲まれていた。

 ゴブリン兵がボクたちを一瞬で取り囲んだのだ。


 それはどうしようもない数だった。




****




 無数の剣や槍を突きつけられたボクたちパーティ一行は、降伏して武装解除後に連行されている。


 武装解除で木の棒を渡そうとしたら断わられた。

 心外である、これだってボクのスーパーウエポンなんですからね!


 さすがに軍隊だけあって無駄の無い見事な動きだった。


 ゴブリンの大きさはボクやカレンとあまり変わらない。

 村奪還で冒険者たちが乗り込んでも勝てる相手じゃ無さそうだ。


 彼らはボクたちをしげしげと眺めていた。何で涎を拭いたんですか、女好きだから? そ、それとも食べる気じゃないでしょうね?


 ボクがガタガタ震えていると、一匹のゴブリンがマンクのお尻を触った。

 ああ、やっぱりそっちか。


「何しやがんだてめえ! 俺様の尻を触るんじゃねえ!」


 元気なメスは大好きだと言わんばかりに、ゴブリンたちが何匹もマンクのお尻を揉み始めた。


「うひゃ、やめろ! あはん」


 お、思い知ったかマンク、お尻を揉まれる側の気持ちがこれでわかっただろう。

 ボクは真っ青になってその様子を眺めている。


 あんな大量の手でお尻を揉まれるとか、ボクには無理だ。お尻が無くなってしまう。

 持って来たポーチの中の回復薬の確認を始めた。


 ゴブリンたちはサムライにも群がった。


「うむ悪くは無い」


 お尻を揉まれてもサムライは動じない、堂々と立っている。さすがと言うかなんと言うか、この件にはもうあまり触れたくない。


 タンポポも大人気だった。

 オジサン(タンポポ)のお尻に顔を埋める者までいた。


「やめて欲しいかな ちょっと待って! これはキツイんだもん」


 さすがにタンポポは可哀想だが、なす術がない。

 あれが次にカレンとミーシアとボクの三人に襲い掛かってくるのだ。


 恐怖でボクたち三人は、顔を真っ青にして立ち尽くしてその時を待った。処刑を待つのだ。

 だが執拗にお尻を揉まれるマンクたちに対して、ボクたちの方には一匹も来ない。


 その様子に二人は胸を撫で下ろしたが、残る一人はそうはいかないみたいである。

 男の人たちが大人気でミーシアが涙目で震えているのだ。


 ボクはミーシアをそっと励ました。


「大丈夫、ミーシア泣かないで」

「な、泣いてなんかないわよ」


 あーこりゃ悔し泣きだ。


「ゴブリンはオスしかいないの?」


「ここにいるのは軍隊なのよ、メスはゴブゴブの里でのんびり暮らしているわ」

「へ、へえ」


 続いてカレンも説明してくれた。


「メスゴブリンは結構凶暴な性格でね、普段尻に敷かれているオスゴブリンたちは可愛い女の子に飢えているみたいだよ。こうやって外に出張した時に、可愛いお姉ちゃんたちとハメを外したいんだね」


 どこのサラリーマンのオッサンだよ。


 その肝心の可愛いお姉ちゃんたちがあいつらでいいのか。

 お尻を揉まれている連中を眺める。


「ゴブリンたち、人間の性別の区別がつかないからね。でもお陰で助かっちゃったね!」


 カレンが命拾いしたと笑った。


「町から来てくれた冒険者の方たちですかな?」


 突然真後ろから声をかけられ『ひい』と振り向くと、一人のゴツイが紳士的な人間の老人がしゃがんでいる。

 なんでボクのお尻に声をかけたんですか。


「わしがこの村の村長ですじゃ。ゴードンガイガーと言いますじゃ」


 立ち上がった強そうな名前のゴツイ村長さんも当然ビキニ姿だ、チューリップ柄の水着だった。

 だめだ、ボクの脳が名前とその姿が一致しなくて拒否反応を起こしかけてる。


 その時一匹のゴブリンが村長さんのお尻を触る。


「あはん」


 チューリップ水着の老人が頬を赤らめた。



「ささ、こちらへ」


 ボクたち六人パーティが案内されたのは村の集会所だ、村の大きな建物はゴブリンたちに占拠されているようだが、この建物もなかなか大きい。


 建物の中に入ってムっとした熱気に立ちくらみがした。

 ミーシアなんか涙目で入るのを嫌がっている。ミーシアがこんなにだだをこねるのを見るのは初めてだ。


 そこは正に地獄――


 村の男の人たちがビキニ姿で集まっているのだ。

 外に置いておいたらミーシアが何をされるかわからないので、何とか説得して中に入れた。


 真ん中が空いていたのでそこに座る、ミーシアはボクの横でちょこんと正座した、かわいい。カレンはミーシアをなだめている。


 ビキニ姿の男の人たちに囲まれる少女の図は壮観である。多分何かの宗教だと思うだろう。


 とりあえず、ビキニ姿で胡坐をかくのはやめてもらえませんかね。

 トレーニングもやめてもらえませんか、空気が薄くなるでしょう。


「はっはっは、なんとここは居心地のよいところだ! この世の天国とは正にこの事!」


 ここは地獄ですよサムライ。

 なんだかキラキラしてますね、あなた。


「ホントに酷い目にあったんだよ、お尻が無くなると思ったんだもん」


 自分のお尻がちゃんと付いているか確認しながら愚痴をこぼすのはタンポポオジサンだ。


「ゴブリンたちは尻が大好きでの、尻しか触らんのですじゃ、わしはもう1201回は触られましたかの、ふふん」


「とにかくお尻だけという言葉にちょっと安心しました、二百もの軍にあちこち触られたらボクなんか間違いなく死ねます。まあお尻でもボクは余裕で死ねますけどね、ふふん」


 なんだか村長が自慢を始めたっぽいので、ボクも負けじと対抗してやった、どうだふふん。


「ははは村長はその程度か、ワシなんか1202回触られたからのお」


「なにおー! 村長のわしが貴様に負けるわけが無いわ! おっといけない、わしとした事がさっき触られた分を忘れておったわ。わしも1202回じゃ! ふふん五分五分じゃ!」


「さすが村の長老たちだな尊敬するぜ、俺なんかまだ829回だぜ! まだまだだな」


「俺は920回だ」

「くっそ! トメキチに負けた!」


 何を競い合っているんですかこの人たちは……


「はいはい皆さん凄いですね、ところで女性の方たちはどちらにいますか?」


 喧嘩を始めた村の男衆がめんどくさくなって、ぶん投げ始めたミーシアが尋ねる。


 この地獄から一刻も早く脱出したいのだろう。


 ボクも賛成。


 女の人ばかりが集められた場所はボクにとっては超危険な所だろうけど、ここにいるとその前にボクの精神が耐えられません、トラウマの宝庫ですよここ。


 さっさと行きましょう。


 次回 「村の様子は天国だった」


 もう一つの集会所には爽やかな風が吹いていた

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