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これだから最近の勇者は
人類と魔王の戦いが始まって以来、1000年の月日が経とうとしていた(たぶん)。
最近の勇者は、やれ残りのMPが少ないとか、やれレアアイテムだとか、そういった見てくればかりの数字や評判ばかり気にするようになった。
本気で魔王を倒そうなんて者は一人も存在しやしない。
「俺達が若い頃はな、残りのMPが0になっても冒険を続けたもんだよ」
「そうそう、そうやって自然とお金も経験値も貯まっていったものだ」
場末にある安酒場。かつて勇者と呼ばれたものの、魔王を倒すこと叶わずに余生を過ごす「元勇者」達は、そうやって最近の勇者達に対してマウンティングをとるのが唯一の楽しみである。
そしてそんなマウンティング勇者に対し、最近の勇者達の評判はすこぶる悪い。
「昔と今は違うんだよ! 」
「老害勇者マジウゼー」
そして益々、お互いの溝を深めていってしまうことを彼等は知らない。