表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪がいるからダメなんだ  作者: 神共 歩(しんとも あゆむ)
【一章(天国①)】 天国の案内 (完了済)
9/64

1-8

 都会では見れない程の星の数だ。月もある。

 今日は半月だ…。地球より少し大きい気がするが、あれは多分、月だと思う。

 二人の頭上にある、天使の輪の明かりで、お互いの姿は見えている。これはかなり便利だな。

 月と星の明かりだけでも、森や建物の輪郭は見える。

 二、三軒の平屋の建物を過ぎて、しばらく飛んでいると、前方の雲の上に、また、平屋の建物が見えた。

「あそこが正幸迎の家だ」

「あの建物が俺の家ですか? 見るのが楽しみです」

 やっと到着か。ずいぶん距離があった。

 そう思うと、急に体の疲労を感じ始めた。

「今日中に着けて良かった」

 テスがほっとして言いながら、俺の家の玄関前の、雲の地面に着地する。

 俺はずっと手を繋いで貰っていたが、やっとテスの手を離した。

 俺の家も、やはり黄土色の石を積んで造られている。平屋のピラミッドという感じだ。

 玄関の扉は木製で、扉の前には、10段ぐらいの石の階段がある。

 窓には両開きの、木の扉が閉じられている。雨戸だろう。

 玄関の階段の右隣には、自立した郵便受けが立っている。

 さらに、その右隣には、車ぐらいの大きさがある巨大な石が置かれ、何か文字が彫ってある。

 何かと思っていたら、テスが教えてくれた。

「それには『正幸迎』と書いてあるんだ」

 表札だ…。

 道がない空では、遠くを飛んでいても見えるように、表札が巨大なんだ…。

 カルチャーショックを受けたが、少し面白い。

「あそこに建物が見えるか?」

 テスが指さす先、少し離れた雲の上に、建物が見える。

「えぇ、見えます」

「あそこに女性が住んでいる。中国から来た人だ。

 言葉はまだ通じないが、何かあったら、すぐに訪ねてくれ。

 彼女は正幸迎が、今日、天国に来たことを、もう知っている。

 だから、彼女がすぐ、俺の所へ知らせに来るだろう。

 正幸迎は、今日から一人で、この家に住むことになる。

 鍵を渡しておくが、泥棒はいない。

 鍵をかけない天使が多いが、一応、鍵はあるんだ」

 テスがくれた鍵は、黒っぽい金属で作られ、現代の日本の鍵より、少し大きく厚みもある。照合に使われる凹凸部に、複雑さは無い。昔の、西洋を舞台にした映画に、出てきそうな鍵だ。

「鍵は開いているよ」

 テスが階段を登り、そのまま扉を開けて、建物の中へ入って行ったので、俺も後から階段を登っていく。

 玄関先に10段の階段とは、何の為に必要な高さなんだろう。

 手すりが無いのは、飛ぶから転ぶことが無く、邪魔だからだろう。

 玄関の扉をくぐると、テスがロウソクに火を付けている。

 部屋中のロウソクに、次々と火が灯されていくと、部屋の全体が見えてきた。

 50畳ぐらいのワンフロアだ。

 広い…。こんなに広い部屋は、日本の一般家庭には無いな。

 家具は全て、木で作られている。

 ベッドには、清潔そうな白いシーツと枕が、ホテルのように美しく置かれている。

 タンスは2棹。引き出し型と、ハンガー型のタンスだ。

 棚は大きくて、5台もあるが、少しの本と小物が置いてあるだけで、ほとんど何も置かれず、空いている。

 窓辺には、横長の四角い机と、椅子が1脚置かれ、机の上には、本が山と積まれている。勉強机のようだ。

 暖炉の前には、大きな丸いテーブルがあり、4脚の椅子が囲んでいる。ダイニングテーブルと、来客用のテーブルを兼ねているのだろう。

 暖炉の火は消えているが、薪の上に鍋をかける部分がある。料理を温めることが出来そうだ。

 石の床には何枚かの敷物があり、石の硬さと冷たさを隠している。


(更新日 2024年07月31日-No.01)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★この小説の目次ページへ↓★ 
【悪がいるからダメなんだ】

★作者:神共 歩(しんとも あゆむ)のブログ(外部ページ)↓★
【神共歩の公式ブログ】  
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ