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悪がいるからダメなんだ  作者: 神共 歩(しんとも あゆむ)
【一章(天国①)】 天国の案内 (完了済)
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1-4

「体は大丈夫そうです」

 どこにも不調は感じられない。

「では、次は飛んでみよう」

「飛ぶ?!」

「そうだ。この建物は、空に浮かぶ雲の上にある。

 天国の社会は、地上から空まで使っているから、移動するのに、飛ぶ必要があるんだ。

 飛ぶ力は、神様が天使に授けて下さった。【神力】だ。

 天使は、天使となった時から、飛ぶ能力を持っている。

 では、見本を見せる」

 テスはそう言うと、その場にフワリと、30㎝程浮かんだ。

「飛ぼうと思うと飛べる。感覚的なものなんだ。歩くのと同じようなもの。

 意識すると、上手く歩けなくなるだろう? 飛ぶのも同じだ。

 さぁ、やってみよう。

 飛ぼうと思って、軽くジャンプしてみてくれ」

 飛ぶ…。俺は飛ぼうなんて思ったことが無いけど…。

 でも、天国での生活に必要なら飛ぶしか無いだろう。

 俺は軽くジャンプして、飛ぼうとしてみた。

 あっ?!

 すぐに地面に着地したが、何だか体が軽くなったような、初めての感覚のジャンプだった。

 今までの、地球上でジャンプをするような、足に力が入る感じではない。

 俺は、何度かジャンプと着地を繰り返した後、浮くことに成功した。

 テスが喜んで言う。

「上手いな。天使の中でも、早く飛べるようになった方だ。

 そのまま、前に進んでみてくれ」

 俺は言われるままに、前へ進もうとしたが、全然進まない。

 腕だけを、平泳ぎのように動かしてみると、反動を使って、少し前へ進んだ。

「上手い! もう少し!」

 テスが褒めてくれる。

 俺は、どんどん前に進むコツが分かり、腕を動かさずに進めるようになった。

 そして、前に進めるようになると、前後左右、上下に動くことは簡単だった。

 テスが俺の浮いている足元を見ながら言った。

「大丈夫そうだな。

 上手く飛べずに、ここで数日間の練習が必要だった天使も居るんだが、君はもう、空も飛べそうだ」

「もう空ですか?! 俺、高い所は苦手なんですけど」

 まだ一時間も練習していないのに、いきなり空は高すぎる。落ちたらと考えると…。

「地上のみで生活する事もできるけど、多分、そのうち飛ぶことに慣れるだろう。

 君の家は、空に用意してある。

 俺と手を繋いで飛ぶなら安全だし、今から君の家に向かおう」

 俺の家が用意されているようだ。それなら、早く行きたい。

 …補助してくれるなら、安全かなぁ…。

「それと、君の名前、正幸迎(マサシゲ)と呼んでいいか?」

「えぇ…。それで大丈夫です」

 俺の名前、知っていたんだな。

「俺のことは、テスって呼んでくれ。敬称はいらない」

「はい。ありがとうございます」

 テスは、俺の親より年上に見えるけど、見た目に愛嬌があって、話しやすい。

 彼とは仲良くしたいし、遠慮なく、テスと呼ばせてもらおう。

 テスが、さっさと木の扉へ歩いて行き、扉を押し開いた。

 その瞬間、さわやかな風が光と共に部屋へ入って来た。

 白い光は眩しく、俺の全身に光があたる。

 春のような風が、髪を躍らせて、服を通って全身の肌を撫でていく。

 扉いっぱいの青空には、白い雲が流れている。

 扉を出れば、新しい世界が始まる。

 まったくの未知の世界。

 扉から入ってくる、気持ちの良い風が、外の世界への期待を湧き上がらせる。

 方向性が分かっているなら、心を綺麗に保って、前進あるのみ。

 やるしかないっ。なんとかなるさっ!


(更新日 2024年07月31日-No.01)

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