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「…そういえば、俺、日記を付け始めたんです」
「ほう」
「日記といっても、その日に学んだことを書き留めておく程度のものです。
色々教えて頂いたことも、忘れないように記録しておこうかと思いまして。
考えの整理にも使えますから」
「なるほど。正幸迎は覚えが早くて、すぐ理解してくれるから、教えるペースが早すぎるかと危惧していた。
正幸迎の方で、対応してくれているなら安心だ。
【真理】は、一片だけ知っても、全体の出す答えが分からないことがある。
沢山ある一片は、全て繋がり、1つになる。
多くを知れば知るほど、全体の出す答えが分かるようになるのだ。
なぜ、そのようになるのか分からない結果があるならば、知らない一片が、まだあるということ。
手に入れていない一片が、まだ沢山あるかもしれない。
きっと正幸迎は、他の天使達が出した答えに、不満を持つことがあるだろう。
でもそれは、他の天使達よりも、【真理】の一片を持っていないということ。
他の天使達と同じぐらい、【真理】の一片を持てば、全て理解し、同意できる答えのはず。
なぜなら、正幸迎は、正しい機能を持つ、善だと確定している、天使だから。
欠陥品である、悪ではないから。
だから、全ての説明の終わっていない、今の正幸迎の状態では、答えが理解できないことも、不満をもつことも、あるかもしれないが、それは仕方のないことだ。
これから紹介する【映写要約所】も、【真理】が分からないならば、不快で、不要なものに思えるかもしれない。
でも、なぜ行うのかを知ることは、【真理】を知る為にもなるものだ。
正幸迎に、【真理】の説明をするには、とても長い時間が必要になる。
説明しても分からないということは無い、天使だから。
だが、とても長い時間をかけて、沢山の説明をする。
途中で休んでも構わないが、くじけないことだ。
くじけそうなのは、まだ説明の途中だからだよ。
休みは凄く大事だから、数年、十数年かかっても構わない。
心と体を大事にして、のんびりと学びを進めていけばいいんだ。
『結果を得る為の、最適な時間が必要である』ことも、【真理】の一片にあることだ」
テスが俺を気遣ってくれている。
「ありがとうございます。学ぶことを辞めることなく続けていきます」
俺は、テスの気遣いや、俺の為に行ってくれる全てのことに感謝した。
初めからずっと、テスは優しい。
俺とテスは、生きている時間の長さが違う。2千年以上の差だ。
俺の知らないこと、分からないことは、かなり沢山あるだろう。
でも、【真理】が、神の優しさを現わしていることは解っている。
だから、【真理】を知ることは、最終的に神の優しさをもっと知ることになるだろう。
【真理】が本当の幸福への導きだということも解っている。
だから、【真理】を知る為の道は、幸福へ続く道だ。
【真理】を知ることは、俺の望んでいることでもある。
…まぁ、だから、そうそう諦めない自信はあるが、厳しい修行で悟ろうとしている坊さんも居ることだし、ここから先に困難でもあるのだろうか?
なんだか、テスの励ましてくるような言い方が少し気になった。
(更新日 2024年08月04日-No.01)




