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悪がいるからダメなんだ  作者: 神共 歩(しんとも あゆむ)
【一章(天国①)】 天国の案内 (完了済)
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1-2

 どしゃぶりの雨の中、俺は犯人を追って山を登っていた。

 天気予報では、かなり大きな台風が来ていると言っていたはずだ。

 刑事になってから2年と少し、初めての大きな事件だった。

 俺は、善人が悪人から、幸せを奪われることが不快で、自分の命の使い方として、自分の一生の仕事として、刑事を選んだ。

 誰もが幸せに暮らせる世界は、可能だと思う。

 幸せな世界を創れるものが、地球には備わっていると思う。

 幸せな世界を創る動きを、悪人が邪魔している。

 全ての人間の不幸は、悪人の悪事から誘発されているんだ。

 悪人が、その人生で作り出す不幸は、因果となり、世界中へ広がり、未来までもが不幸で汚染される。

 だから、俺は一人でも多くの悪人を、駆除したいんだ。

 駆除を、トカゲの尻尾切りのように思う人もいる。

 でも、少しでも駆除していかないと、悪人の自由な行動から、今の世界の幸せは無くなっていき、未来は悪人の繁殖により、悪人だらけの、不幸しかない世界になる。

 地球には、絶滅した種も多く存在する。

 悪人を駆除することで、弱い悪人が減り、強い悪人だけが生き残ってしまい、その結果、未来の悪人が強くなると、いうのは最終結果じゃない。

 途中経過にすぎないんだ。

 未来の悪人が、強くなるだけだから、駆除しないというのは、間違っている。

 正義が、押し切らなくてはいけない。

 悪人の絶滅まで、押し切るんだ。

 その結果、世界はあるべき姿である、幸福に溢れた世界へと、変わっていく。

 俺は、やるべき事に気づくのが少し遅くて、大学2年の終わり頃だったので、刑事になったが、弁護士や、犯罪心理学者になるのも、良かったかもしれない。

 薄霧の雨の中、体温は奪われ、強い風で目も開けていられない。

 こんな状況では、少し余計な考えも浮かんでくるようだ。

 今やる事は、犯人逮捕のみ。

 犯人の逃げ込んだ山小屋は、急な斜面にあり、車で登れる場所にはない。

 犯人というのは、捕まらないように逃げるから、刑事が追いづらい場所を選ぶものだ。

 よくよく苦労をさせられる。

 犯人は銃を持っていない様なので、複数の警察官で、山小屋を囲んで捕まえるという、人海戦術に決まった。

 警察が近づいていると、犯人に気付かれないように、少しずつ山小屋への距離を詰めて行く。

 自分の待機場所まで、あと少しと、いう時に、山の上から、大きな爆発のような音がした。

 木の倒れる音。山小屋が壊れる音。

 土が水と一緒に大きな流れを作り、全てを飲み込んでいく。

 一瞬の出来事だった。

 倒れてきた木が俺のあばらを打ち、石と土が波のように、俺に襲い掛かってきた。

 雨水なのか、自分の出血なのか分からない。

 俺は、土の中、雨音も聞こえなくなっていき、すぐに意識を失った。


   *


(更新日 2024年07月31日-No.01)

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