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午前の優しい光が窓から入り、部屋が白い光で満たされている。風が薄地のカーテンを揺らして、読んでいる本のページを持ち上げる。
店から届いた一人掛けのソファーに、ゆったりと座り、くつろぎながら天国語の教科書を読んでいると、玄関の扉をノックする音がした。
「はい」
俺はノックに返事を返して立ち上がり、扉を開けると、テスが一人掛けのソファーを持って立っていた。
「おはよう。天国語を教えに来たが、今からいいかね?
君が店で買っているのを見て、俺も買うことにしたんだ。楽ちんそうだからな」
テスがソファーを少し持ち上げて、自分用のソファーを持参してきたことを示す。
「はい、大丈夫です、お願いします。…ソファー重くなかったですか? 大丈夫ですか?」
「配達してもらうより自分で運んだ方が早いから、自分で店から持って来たんだ。
ちょうど食堂に向かう天使がいて、運ぶことを途中まで手伝ってくれたから、それほど大変ではなかったよ」
俺はテスを部屋の中へ招き入れると、テスは暖炉の前の机を挟んで、俺のソファーの前に、自分のソファーを置いた。
「お互いに話したいことが多くて、会話が長くなると思ってね」
テスはそう言いながら、2人分のお茶の用意を始めた。
俺はテスのいない数日を、自宅でのんびりと過ごしていたが、ゆっくりと考える時間が出来たことで、次々と疑問が浮かんでくるようになっていた。
天国へ来たのは突然の出来事だったが、とりあえず、対処するしかないので、していた。
だが、天国のことや、神のこと…。分からないことが多すぎて、どう生きていけばいいのかも分からない状態だ。
だから、テスに聞きたいことが沢山あって、来てくれたことがとても嬉しかった。
「ありがとうございます。その通りです。俺には、まだまだ知りたいことが沢山あります」
俺は、いつでもメモが書けるように、机にノートを開いて置いた。
「天国語の勉強は進んでいるか?」
「はい。まだ教科書の少しのページしか読んでいないのですが、挿絵が多いので分かりやすいと感じました。発音が少し難しいだけで、後は問題なく学べそうです」
「それは良かった。今の俺の最優先の仕事は、正幸迎に天国について教えることだから、天国語も含めて色々と教える為に、毎日でも、ここへ通ってこれる。
時間を気にせず、のんびりと学んでいこう。
それと、正幸迎は、哲学や、神の作った世界がどのようなものか、などにも興味を持っているようだ。それについても、俺に答えられることなら何でも答えるから、遠慮なく聞いてほしい。
正幸迎の質問に答えることは、俺にとっては楽しいことでね、正幸迎の、世界の基本的なことへの質問は、初々しくて、自分の若い頃を思い出す。
そして、正幸迎の、世界の奥深いことへの質問は、俺の心や思考に、新しい発見と成長をくれるものだ」
テスが、湯気の立つティーポットとコップを机に置き、自分用のソファーに座る。
「それで、まずは、何から知りたい?」
テスは楽しそうに、こちらを見ている。
俺は、自分のソファーに座って、ペンを手に持った。
俺が、人として生きていたときから、ずっと知りたかったことを、今も知らずにはいられないことを、ゆっくりと質問していく。
「世界の真実の全てを……。
神とは何なのか。人とは何なのかを教えて下さい」
そして、テスの教えが始まった。
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(更新日 2024年08月02日-No.01)




