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悪がいるからダメなんだ  作者: 神共 歩(しんとも あゆむ)
【一章(天国①)】 天国の案内 (完了済)
19/64

1-18

 夕日の中、俺は、テスと2人で、帰り道をのんびり飛んでいた。もちろん、念の為に低い位置を飛んでいる。

 テスが、俺を振り返りながら言う。

「俺の家は、食堂と善八の家の間にあるんだ。夕飯を食べに食堂に行く前に、正幸迎に、俺の家の場所を教える為に寄って行こう。

 何かあったら、遠慮なく、すぐに俺の家に来てくれ。遊びに来るだけでも歓迎だよ。

俺の部屋は、善八の部屋のように綺麗ではないがな」

 それからすぐにテスの家に到着したが、もう月が登り始めて薄暗くなってきていたので、部屋の中へは入らず、テスの家の玄関の前で、場所の紹介を受けただけで、食堂へと急いだ。

「食堂に着く頃には、他の天使達は夕飯を食べ終わっている頃だな。

 天国に来たばかりの正幸迎には、暖かいご飯を食べて欲しかったが、まぁ、仕方ない。これから毎日食べれるものだしな」

 食堂で、2人で会話を楽しみながら簡易に夕飯を終えると、テスがこれから風呂に連れていくと言い出した。

 風呂も食堂の近所にあるようだ。この食堂の周りに、生活に必要な建物が揃っているという配置だ。

 夜の闇の中、月と星の明かりだけで風呂の建物まで簡単に辿り着くことが出来た。    

「夜だから見えづらいかもしれないが、風呂の建物の隣に川が流れているんだ。その川から水車で水を組み上げ、熱してお湯にしたものが、天井のパイプに流れている。そのパイプから、シャワーの水が出る仕組みになっているんだ」

 風呂の建物の中に入り、服を脱いで、煙が出てきている扉を開けて中に進んでいくと、中央に、大勢が入れる大きな湯船があり、その湯船を囲むように、壁にシャワーが付いている。

 シャワーはそれぞれが個室で、付属のカーテンを閉めると、個室の中は見えないようになっている。

「自宅にも小さな湯船を置くことは出来るが、掃除が面倒だろう? だから、ここで入った方が楽なんだよ。担当の天使が、掃除と、湯を沸かしている。

 ここも24時間開いているが、夕方から22時ぐらいまでだけ、シャワーと、中央の湯船にお湯がある状態だ。

 その他の時間は、自分でお湯を沸かして、一人用のバスタブにお湯を入れて入浴するんだ。

 その為の、薪と、一人用のバスタブは、この建物を出てすぐの所にある。

 それと、ここの排水は川に流れるから、ここから下流の水を、飲み水にしないようにな。上流なら飲んでも大丈夫だ。 

 ここの隣の川にも、洗濯場がある。その下流の水も、飲み水にしないように気を付けてくれ」 

 テスと俺は、それぞれシャワーで体の汚れを落としてから、湯船で合流し、ゆっくり体を温めてから風呂場を出た。

「着替えは、そこに置いてあるから、自分でサイズを選んで着てくれ」

 俺は、白い服が何着も重ねて置いてある棚から、自分のサイズを選んで、また白い服を着た。

「テス、天使は全員で同じ服を共有しているんですか?

 なんで天使は、みんな白い服を着ているんです? 他の色とかは無いんですか?」

「服を気にしている天使はあまりいないからな、洗濯も、担当者がまとめて行っているし、サイズが同じ天使とは、服を共有している状態だな。

 気になるなら、自分だけの専用の服を着てもいいぞ。

 だか、洗濯を担当の者に頼むと、他の天使の服と混ざってしまって、自分の所に戻って来ないかもしれないから、自分で洗濯したほうがいい。

 天国では、病気がうつることも無いから、共有でも気にすることはないよ。

 風呂にあまり入らない天使はいるがな。

 衛生に気を付け始めたのは、地球の最近からだろう? 古い時代の天使が多いんだよ。

 正幸迎は、下着だけでも、自分で洗濯するか? 自由にしていいぞ。

 あと、色は、染粉を作るのが面倒なので、白になった。

 雲に紛れて、保護色だし、みんな気に入っているよ。

 布は染めた方が長持ちするそうだが、一応、長持ちさせる為の液体には漬けてある。

 天国にも、染粉は色々な色が存在するんだが、今は、あまり作っていないだけだ。 

 女性は、カラフルな色や柄の服を着ていることもあるよ。女性は、服よりも、部屋の床に敷く布などをカラフルにしたいようだ。

 今は、みんな、優先度が高い他の仕事に忙しいから、些末なことに労力を消費していないんだ」

「なるほど。…俺も共有で大丈夫です」

 風呂にあまり入らない天使が、どのぐらいの汚れか気になるが、自分で洗濯することは面倒臭いし、ここは、まわりに合わせておいた方がいいだろう。

「風呂の帰りには、正幸迎の家の、隣に住んでいる天使に、挨拶に行くぞ。

 多分、まだ起きているはずだ」

 そういえば、隣の天使に引っ越してきた挨拶をまだしてないな。女の人が住んでいるそうだから、男の手助けが必要なときもあるだろう。

 テスと、目的地まで飛んでいると、遠くに飛んでいる天使の、天使の輪が光っているのが見える。

「テス、天使の輪が、蛍のようですね」

「あぁ、言うのを忘れていた。すまん、すまん。

 天使の輪は、帽子などで光を隠すことが出来るんだ。

 昨夜は、寝るときに眩しくなかったか? ベットの頭の部分の木に、頭を近づけて寝ると、光が木で隠れるから、眠りやすいぞ。

 それと、天国が安全な状態だから、天使の輪の光を、隠して移動しなくてもいいんだ。平和の証拠だよ」

「平和の証拠…。綺麗で良いですね」

 夜風の中、いくつもの天使の光が飛んでいるのは、とても幻想的に見える。


   * 


(更新日 2024年07月31日-No.01)

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