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悪がいるからダメなんだ  作者: 神共 歩(しんとも あゆむ)
【一章(天国①)】 天国の案内 (完了済)
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1-16

 テスは皿に10種類以上の料理を持って来たようだ。俺ももっと色々な料理を皿に盛るべきだったかな。

 天国の料理は、本当にどれも美味しい。

 俺が持って来た料理の肉のタレは、野菜をすりおろしたものを、香辛料と一緒に煮込んだような味だった。この肉は何の肉だろう、始めて食べる味だが、臭みが少なくて柔らかい。

 レタスは、他の野菜と一緒にドレッシングであえてある。甘みと果実のような香りがある。

 クロワッサンは、日本のものより美味しいと思う。本場の味だろうか。

 料理の種類も豊富だったし、これだけ美味しいならば、毎日食べても飽きないだろう。

 自分でキッチンで料理したものを食べることも出来そうだから、日本食もなんとか食べることが出来るかもしれない。

 テスと二人で食事をしながらも会話は続いた。

「ここから、海は少し遠いが、川は近くに何本も流れているから、川魚が料理に出ることが多いんだ。川魚は、焼いて塩をかけただけのものが、最高なんだ。俺の好物だよ。

 ここでは、自分で食べるものを、自分で選んで食べることになるから、栄養についても学んでおくといい。

 天使は死なないけど、体調不良にはなるからな。自分で健康を管理するんだぞ」

「はい。栄養学の本などがあるんですか?」

「さっきの店にも少しだけ本が置いてあったが、あれよりも、図書館があるので、そっちで借りて読むといい。かなりの冊数がある。千年は本に困らないだろう。

 地球で書かれた本を複製した本と、天使が天国で書いた本が置いてあるよ。

 天国の新聞に連載している天使の作家もいて、その本は、店の方に置いてある。

 まぁ、本の文字を読めるようになるのは、まだ先のことだろうが」

「地球で書かれた本もあるなら、本の娯楽には困らないですね」

「そうだな。娯楽は、地球の映画なども見ることが出来るし、チェスなどのボードゲームもあるよ。

 TVゲームなんかは、最近の地球に登場したものだから、欲しがる天使が少なくて、天国では作ってない。作ることは可能だけど、あまり需要は無いかもしれないな。

 天使は、若い姿をしている者もいるが、中身は数百年以上生きている者だから、のんびりした娯楽が人気だ。お茶を飲みながらの日向ぼっことか」

 食堂には若い天使が多いのに、その中身は老人と聞いて、俺はあらためてまわりを見回した。

「テス、食堂に居る天使の多くが、凄く美しすぎる外見じゃないですか?

 こんなに美人や美男子が存在するなんて、地球の食堂では凄く珍しいことですよ。  

 これも天国だからですか? 俺も美しくなっていくんでしょうかか?」

「あぁ、それは、天使は、王様とか、お姫様が多いからだよ。

 優秀な者は、美しい者と子孫を残しやすいんだ。

 だから、天国は、優秀な者が多いことから、美しい者が多いんだよ。

 天使は、それ以外にも、学者とかも多いから、美しい者ばかりというわけでもないがね。

 それと、正幸迎は、美しくなっていかない。そのままの姿だ」

「…なるほど」

 天国の良い食べ物と、良い環境で、俺も美しくなっていくのかと思った。でも、変わらないんだな。まぁ、いいけど。

「食事が終わったら、正幸迎と同じ日本人の天使に会いに行こう。彼は、数百年前に、天国に来た天使だ。世代は違うが、同じ国から来た天使だから、きっと仲良くなれるだろう」

「日本からの天使が俺の他にもいるんですか?! 天国は西洋人ばかりだから、いないのかと思っていました」

「彼は、正幸迎が天国に来ると分かってから、正幸迎の為に、日本の米を作り始めたんだ。

 彼は、米の為の田んぼを作り、その近くに自分の家を移動させた。

 だから、ここから少し離れた場所に住んでいるんだ。でも、正幸迎と交流できるように、日帰り可能な距離だよ」

「俺の為に?! それは、凄く嬉しいです。どんな天使なんですか?」

「彼は、江戸時代に生きていた天使で、呉服屋の三男坊だ。

 だから、米作りにかなり苦労していたが、独学で色々調べて頑張っているようだ。  

 今では、少しの量だが、食堂の料理に日本の米が並んでいることもあるぐらいだ。

 …さて、食べ終わったようだし、さっそく彼に会いに行こう。彼も喜ぶだろう」

 俺とテスは、カウンターに皿を返却してから、その彼の所へ飛び立った。


(更新日 2024年07月31日-No.01)

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