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店内は広くて、置いてある品物はかなり多い。
左右の壁には背の高い棚が並び、その棚の中央には、胸より少し低いぐらいの高さの棚が並んでいる。店内が見渡せるように配慮されているようだ。
入口付近には、お茶の葉などの消耗品があり。その少し奥には、石鹸などの消耗品がある。
店の奥には、キッチン用品や、かごなどの生活用品が置かれ、家具や寝具なども置いてある。
俺とテスは、店内を全て見てまわり、とても多くの品を選び出した。
大型の物は、後で配達してもらえるように、ヘロンさんが手配してくれるようだ。
選んだ品の小物類は、全て布団のシーツに包んで、俺とテスが持って運べるように、両端を紐で縛った。
「二人でこれを持ちながら飛んで帰るが、重力は存在しているから、落とさないように気を付けて行くぞ。
高い所から落ちてきた物が、下にいる天使や動物に当たらないようにするんだ。
だから、荷物を持っている場合は、なるべく低い位置を飛んでいく。
飛ぶときは、バッグに入っているペンの1本でも、下に落とさないようにすることが、天国のマナーだよ」
荷物の端と端を、それぞれ俺とテスで持ち、木の少し上の辺りの、低い位置を飛んで帰る。
初めて天国の地面を見たが、雑草が背が高く生い茂っていて、道が無い。天使が歩かずに飛ぶから、道が出来ないのかな。
「テス、天国には、車や、馬車のようなものは無いんですか?」
「車は地球よりも機能が進化していないものが、ごく僅かに有る。馬車は、馬よりも速度の遅い動物が引いているものが有る。それも数は少ない。
だが、あまり使わないし、ほとんど決まった道でしか使わないな。
その道には石が敷いてあることもあるんだが、すぐに雑草で道が埋まるから、あまり便利なものではない。
天国では、空を飛ぶ乗り物が主流だよ。いずれ、それにも乗ることになる。
ところで、森の木は、腐って倒れてくることがあるって知っているか?
森の世話や管理を行っている天使もいるんだが、その管理は生き届いていない。
天国の仕事は、どこも人手不足のような状態なんだ。
この近くの森は、天使がよくいる場所だから、倒れそうな木は、印をつけて危険を知らせるか、切り倒してあることが多い。
だが、あまり天使が行くことの無い場所は、何も処置をしていないから、木が突然倒れてくることもある。気を付けておいてくれ」
「はい。それは大丈夫ですが…。天国は、人手不足の状態なんですか?」
「うむ。人手不足であるとも、人手不足でないとも言える状態だ。
まぁ、神様の作成された状態であるから、自分が人手不足であると感じてはいても、実際には人手不足ではないのだろう…」
テスは、それから話さない。まだ疑問は残るが、この話を、これ以上詳しく聞くことは、今は辞めた方がよさそうだ。
二人で飛び続けると、自分の家の建物が見えてきた。
玄関扉を開けて部屋に入ると、まだ自分の部屋になってから、1日も経過していないのに、少しほっとした。
「ありがとうございました。重たいのに手伝って頂いて」
俺は、部屋に持って来た品物を置くと、荷物を一緒に運んでくれたテスに感謝を述べた。
テスが、少し腰を伸ばしながら言う。
「いや、気にしなくていい。部屋に小物を配置したら、食堂に行こう。
もう昼飯時だよ」
俺とテスは、簡易に生活用品を配置して、食堂へ向かう為に、また空へと飛び立った。
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(更新日 2024年07月31日-No.01)




