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悪がいるからダメなんだ  作者: 神共 歩(しんとも あゆむ)
【一章(天国①)】 天国の案内 (完了済)
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1-13

「こちらが新しい天使の正幸迎だ」

 俺がテスの紹介を受けると、カウンターの中の天使が、笑顔で迎えてくれた。

 20代ぐらいの、美しい西洋っぽい顔の男性だ。

 背が高く、細身だが、しっかりとした丈夫そうな骨格をしている。

 黒髪は顎の近くまで真っすぐ伸びていて、ヒゲは剃ってある。

 さわやかな青年という感じだ。

「はじめまして。俺の名前はティオンだ。

 【星の入口】で伝令指揮官をしている。

 何か星中に伝えたい事や、掲示物に不明な点などがあったら、すぐに教えに来てくれ」

 テスが通訳をしてくれている。

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 ティオンさんの活力みなぎる話し方に影響され、俺も元気に答えた。

「4号星の地図を貰った」

 テスが、小さく折られた手の平サイズの紙を俺に渡してくれた。

「店はここのすぐ隣にあるんだ。ティオンまたな」

 テスがそう言い、入って来た4号星の扉へ歩いてく。

 地図を見る時間は無さそうだ。

「では、失礼します」

 ティオンさんにお辞儀をし、俺も4号星の扉を出ると、テスが浮かんでいる空へ、俺も続いた。

 扉を背に、すぐ左に、黄土色の石を積んで造られた、平屋の広大な建物がある。

「ここが店の入口だ。4号星の店は、まだここだけにしか無いんだ」

 【星の入口】の扉から、店の入口の扉まで、たった数分だった。

 店の入口の扉は木製の両開きだが、大きさは平凡で、人が歩いて通るのに丁度よい。

 扉の上の屋根に、旗がバタバタと風になびいている。

 緑地の真ん中に、黄色の稲穂のマークのある旗だ。

 店の入口を入ってすぐの所に、木枠に布が張られたカゴが重なって置かれていた。買い物カゴだと思う。

 テスが自分で1つカゴを持ち、俺にも1つカゴを渡してくれた。

 数歩進んだ所に店のカウンターがあり、カウンターには白髪と白い髭の西洋人が椅子に座っている。何か紙に書き物をしているところだ。

「ヘロン。こちらが新しく来たマサシゲだ」

 ヘロンと呼ばれた男がテスの声に反応し、こちらを見ると、立ち上がって笑顔で挨拶をくれた。

「ヘロンだ。よろしく」

 中肉中背の、のんびりとした老人だ。

 目が優しい感じで、髭を20㎝程伸ばしている。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 ヘロンさんの後ろには棚があり、大量のガラクタが詰められている。

「新しい天使は久しぶりだ。新しい要素が増え、まだまだ天国も発展していく。全ては成長の途中だな」

 ヘロンさんの言っている事は良く分からないが、俺を歓迎し、喜んでくれているようだ。

 テスが、カウンターの横に置いてある、紙とペンを持って来て説明をくれた。

「店から持っていく物は、この紙に記入してくれ。

 記入するのは、品物に付いている番号と、個数だけだ。

 ヘロンが棚卸しをして、発注をする。

 ヘロンは研究が好きで、店に居ない事も多いが、品物は紙に書き込むだけで、勝手に持って行っていい。

 店は24時間年中無休で開店している。扉に鍵がかかる事は無い。夜は、店内のロウソクが消えていることが多いから、自宅からランプなどを持ってきてくれ。

 品物が無い時はヘロンへ言ってくれれば良いが、ヘロンが考え事をしている時は、話しかけても反応しないこともある。

 ヘロンが対応できない時は俺に言ってくれ、俺が直接、生産元へ発注しに行くから」

「ははっ。テスは働き者で、店長の俺より店のことに詳しいんだよ」

 笑ったヘロンさんの目尻にはシワが現れる。

「ヘロンの後ろの棚にあるのは、修理品だ。天国では壊れたものは修理して使っている。

 壊れたものは、あの棚に置いておくだけで大丈夫だ。後は、新しいものを店から持って行けばいい。

 じゃあ、店内を見てくるよ」

 テスがヘロンさんへそう告げて、カウンターを離れて歩き出した。


(更新日 2024年07月31日-No.01)

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【悪がいるからダメなんだ】

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