2
まさか、私も思わなかったのだ。
あれが、トラック転生だったなんて。
目を開けたら優しそうな黒髪の女性と金髪の男性が私を見下ろしていて可笑しいなとは思ったのだ。
視界に入る自分の手足がどう考えても小さすぎる。
しかも、周りを見渡してもどう見ても病院には見えない景色と日本語には聞こえない言葉。
見たことのない文字と自分の最期を思い出して何となく悟った。
ここが異世界で、私は転生したのだろうと。
まあ、なってしまったことは仕方ない。
そう、大学の単位も取れて就職活動も終わり、部活やバイトも順調だったのにその場のノリでうっかり死んでしまったのも仕方がないのだ。
例え、将来的な年収1000万への道が断たれたとしてもである。
もう、こうなったら努力して前世以上の結果を叩き出すしかこの恨みを晴らす道はないのだ。
幸いにも私はまた女として転生出来たようだし、何より窓ガラス越しではあるが写った私は可愛かった。
イケメンな父とふんわり系女子な母の遺伝子がいい感じに仕事してくれたらしい。
今の私はちょっとぽちゃった平凡な容姿とおさらばして、将来はおっとり系美女に成長しそうな美幼女になったのである。
今世こそ親不孝しないように注意しながら、人生イージーモードで行きたい。
そう考えていたが、現実はそう簡単じゃなかった。
もしかしたら、転生したばかりでテンションが上がっていたため罰が当たったのかもしれない。
そう、あれは前世の記憶が戻ったばかりでめちゃくちゃはしゃいでいた3歳の秋。
母の心配をよそに夏の遊びを謳歌していた私は見事に風邪を引いた。
高熱を出し倒れた私を父と母はとても心配して看病してくれた。
結果、熱は引いた。
苦しい時間は去り、また元気に遊べるとこの時までは思っていたのだ。
しかし、愛娘が高熱に倒れた両親はちょっと引くくらい過保護になった。
そして私にしばらく安静にするように言い聞かせて渡された薬がとんでもないものだった。
なんと砂糖だったのだ。
それも上白糖である。