99.依頼された物は、凄い事になりました。
目的地に着き、今朝の事情をフィリアさん達から馬車の中で説明された未菜達が、ユウマのいる荷馬車の方にやって来て声を掛けてきた。
「ユウ兄!とんでもアイテムできた♪」
「えっ、ミナちゃん。なに?とんでもアイテムって」
「だって、メイリちゃん。ユウ兄が造るんだよ。凄い物になるって」
「えっ、そうなにミナ!」
「うんうん、間違いないよアリア!」
何気にひどい事を言うな未菜さんよ。まあ、間違っちゃいないが、なんか悔しいから、すぐには見せない、それに無視してやる。
ユウマは少女達が来る前に、この場所に到着する前に早めに練成と合成を終らし製作した物を、自分のアイテムボックス内に収納して、荷馬車の中を片付け元の状態に戻していた。
それと馬車を直ぐに降りて、身体をほぐす為に軽い体操をしていたのである。
そこへ少女達以外の事情を知るみんなが集まってきて、まずフィリアがユウマを見て声を掛けてきたのである。
「なら早速、製作した物を出して頂戴!」
その言葉に従い、ユウマが周りに視線を向けて、そのアイテムを取り出した。
「あっ、はいそれじゃぁ・・・・」
すると何人かは、好奇心を表に出し目を輝かせて、こちらを見てワクワクしている。
それとは別に俺の事を知る数名は、また絶対とんでも無い事をしでかしていると思うゆな視線をユウマに向けていた。
そういう視線は気にせずに、ユウマはまず地面に敷物を取り出して敷き、品物を出す準備をしてから、それではまず頼まれた依頼どおりの、聖銀星の水晶球を手に敷物の上に置いた。
「これが、フィリアさんに依頼された物です。確認してください」
ただし通常より遥かに性能の良い品物であるが、あえて言葉には出さない。
「あら、考えていたのよりマトモな品物? あれっ・・・ちょっとこれ、性能がおかしくない。ねえ、ヨーコ!ちょっとこれ貴方も確認して」
ごもっともな、意見です。途方も無い性能でごめんなさい。マトモな品はあれから頑張ってみましたが、出来ませんでした。
それは解っていますよ。性能が普通じゃ無いのは、自分が一番解ってますと、ユウマが考えていると、ヨーコさんも驚き声をあげた。
「なに?これ・・・おねえちゃん。これ、おかしいよ。すごすぎだよ。だって通常の2倍ううん、下手すると3倍以上ある能力だよ・・・絶対おかしいよ。これ」
「さっすが、ユウ兄だね。期待を裏切らないね」
「ははっ、まあ、さすがユウマ様、と言うところですね。シルフィー!」
ヨーコさんの驚きに続き、未菜が期待どおりと言葉を掛け、そしてレーネさんは違う意味で溜息を吐き感心していた。
まあ、まだここまでは、みんな想定していた様で『やっぱりね!』みたいな感じを出して、首を縦にウンウンと振って納得していた。
しかし、ここからである。みんなの顔が驚きから、何ともいえない表情に変貌するのは・・・。
「それじゃ、次に、これはどうでしょう。それから、これ・・・」
そう言葉を駆け面白半分で次々と製作した。途方も無い水晶を出していった。
まず、聖霊銀の水晶球を出して、みんなの反応を確認してその反応が面白かったので、次に聖光水晶と出した。
そこからは悪ふざけをして、水晶の効果をあげた品物を一個ずつ出すにつれて、みんなの顔色が悪い方向に変わっていった。
それから聖銀鈴光の水晶を出した時点で、1人を除き他の人達が青ざめていたのを感じたが、次の聖光玉を出そうとしていたら、フィリアさんが声を掛けてきた。
「ちょ、ちょっと、待ちなさい。ストップよ。ストップ。それにユウマ!こっち来なさい・・・・・」
「えっ、どうしたんですか?フィリアさん」
「いいから、こっち来なさい。早く・・・」
そう言ってフィリアが、聖光玉の品物を出そうとしていたユウマを止めて、こちらに来いと手を無理やり引っ張り、みんなから見えない馬車の裏につれていかれた。
その時、みんな驚いき青ざめた者や、唖然としいた者がいたが、フィリアの言葉で我に返り、フィリアに声を掛けたいた。
「えっ、どっ、どうなさいましたの。フィリア様?」
「おっ、お姉ちゃん。どっ、どうしたの。どこいくの?」
ユウマを馬車の裏に、連れて行くフィリアに不思議がり声を掛けていたが、その声に反応したフィリアがみんなに言い放った。
「貴方達は、そこで待ってなさい!絶対にこっちに来ちゃ駄目よ」
この時馬車の裏に連れて行かれたユウマは、フィリアに呆れられながら怒られていたのである。
「ユウマ!あなたは・・・何とんでも無いものを短時間で作っているの。しかも、代替品で数日間は時間を稼いで、本来の水晶を急いで錬金術ギルドに製作依頼をするつもりだったのに。あんた、まさか、それをたった数時間で作るなんて・・・しかも、なに?その上位の品物まで・・・。驚きを通りこして呆れるしかないわよっ。いったいなにをしてくれてんの、まったく、はぁっ・・・」
そう怒られて、最後に盛大に溜息を吐れたのである。
「でも、仕方無いじゃないですか・・・初めてだったし。ちなみにマトモな物が出来なかったんですし。それでも次々と性能のいい物が出来て錬金術が楽しかったんですよ。それでいつの間にか夢中になって・・・つい、悪乗りで創っちゃいました」
「それでも、あんた、限度ってものがあるでしょう。まったく」
「それはそうですけど。色々試したがるのが普通でしょう。それに、いい物の方がいいでしょう」
ユウマは、錬金術で何処まですごいのが出来るかを、試していたら面白くなりすぎ辞められなくなったと、言い訳をしたのである。
「それはご苦労様。それで、何回ぐらい失敗したのかしら?恐らくかなり失敗したんでしょ」
「えっ・・・・全部、一発成功ですけど・・・なにか問題ありますか?」
このとき、視線をそらしながら答えた。
「・・・・・・はあっ。ホントに?嘘言ってないの?失敗しなかったの?こんな物創っといて」
ユウマはその質問に、首を縦に《ウン》と振って肯定したのである。
するとフィリアが、また驚いて呆れ顔になり、何故か変なモノでも見る様な視線を向けられたのであった。
それから、まだ何か言いたそうだったが、溜息をついて話を戻したのである。
「でっ、さっき何か、とんでもない物を出そうとしていたわよね。あれは何?聞きたくないけど一応・・・」
「えっと・・・・、これ、なんですけど・・・」
聖光玉をアイテムボックスより取り出し、そっとフィリアに手渡したのであった。