94.錬金術と今後について?
ただ、好奇心はくすぐられるが、ホントに考えている様な事が出来るのか悩んでいた。
「どうしたの。何を悩んでいる様だけど?もしかして何か解らない事でもあるの?無いのなら、早く錬成と合成をして頂戴。急いでその村に向かいたいのだけど」
「えっ、はい、ただちょっと考えたんですけど。このミスリル鉱石を使うのじゃなくて、使用する鉱石を上位の鉱石に変えてみたらどうなるのかな?と思って。たとえばクレリア鉱石とか」
自分が思った事を口に出し、悩んでいた事を説明した。
その話を聞いたフィリアは何気なく答えてくれた。
「そりゃ、魔力伝達と純度の高い銀色に輝く鉱石、それも破魔の効力が高いクレリアを使用すれば魔力効率は上がり破邪の能力は比較的に上がるだろうけど?でもクレリア鉱石はミスリル鉱石なんかより・・・・まっ、まさか!持っているの?」
「えっと・・・、さっきの鉱石の中に何個か・・・」
フィリアさんは今日、何回目になるか解らないがまた溜息を吐いてあきれ返っていた。
「はぁっ、でも、それだと合成する難易度が上がるわよ。錬金術をそんなに使用した事あるの?」
フィリアさん曰く、鉱石の上位種に変えて錬成して合成する場合、その合成にかかるリスクなどを考えると高難度の工程になるので、お勧めはしないそうだ。
「えっと、実は錬金術自体はそんなに・・・。それに、そこまで難易度が上がるんですか?」
不思議に思い再度その事に付いて尋ねてみた。
すると、フィリアさんは呆れながら答えてくれた。
「そりゃ上がるわよ。上級の錬金術師でも1人では、そう簡単にできる物でもないわよ。それに物凄く時間がかかるのよ。それに、そこまで時間を掛けてまで練成や合成をしていたら間に合わないわよ。私はすぐ欲しいのよ」
「お姉ちゃん直ぐにって言っても、どんな優れた上級の錬金術師でも1日はかかるわよ。それにですね、ユウマさん。普通は複数の人で数日間かけて、良質な純度の高いミスリル鉱石を選別してのから練成を行ないますから、クレリアはもっと時間がかかると思いますよ。そして、それを合成する為に、ゆっくりと魔力操作を行い魔力を注がないと合成に失敗して爆発と言うか真っ黒になりますし、非常に臭くなりますよ」
フィリアさんの時間をかけられないと言う言葉につづき、ヨーコさんが失敗したら真っ黒になり臭くなる事を話た。
「そっ、だからそんなに危険をおかしてまで練成しないのよ。それに練成するにしても超上級者を頭に、上級のベテラン者数名で交代しながら行なうのが普通なのよ。だからもし無理なら急いで他の錬金術師に頼むわ。まあ、一応連絡を入れて併用して作らせるけど、まあ、それでも半日・・・いえ、材料などを考えたら夕方がいいところね」
それを聞いたユウマは、ある事したらどうなのかと思い尋ねる事にした。
「なら、このクレリア鉱石を純粋な物にすればどうでしょうか」
そう思いフィリアさんとヨーコさんに、尋ねてみたら二人が答えてくれた。
「それなら、成功率が上がるし時間短縮できるかもしれないけど。そんな道具も設備も無いでしょ。まあその様な道具なんて見た事無いけどね」
「そうですよね。せめて練成釜があればある程度は、不純物が取れると思いますけど、ここにはそんなものはありませんし、でも、仮になる水晶球ならそこまで純粋な物で無いでも問題ないと思いますよ」
などと、言われたがユウマとしては、どうにか出来そうな気がして、それを既に考え付いていたので頼んでみる事にした。
「なら、ちょっと時間を下さい。試したい事がありますから、それが上手くいかなかったらすみませんけど、その先程フィリアさんが言っていた案でお願いします」
この時フィリアさんは、またとんでも無い事をしでかすのではと、思いつつユウマの頼みごとを了承したのであった。
「ただし、失敗して爆発させるのは、やめて頂戴ね。異変を感じたら直ぐに破棄しなさいよ。周りが臭くなるし、魔物がよってくるかもしれないから」
「解ってますよ。俺だってその爆発の被害者になりたくないし・・・えっ、その臭いで魔物が寄って来るんですか?」
「ええ、寄ってきますね。まあ、下級の魔獣が殆どですけど、まれに強力な魔獣が凄い勢いで向ってくる事がありますが、まあ、このキャラバンには向かって来ないと思いますよ。たぶん」
ヨーコさんがそう説明してくれて、何故かフィリアさんの方に視線を向けていた。
そんなヨーコさんの視線を無視して、フィリアさんが先程俺が頼んだ事に答えてくれた。
「まあ、それなら解ったわ。でも、なるべく急いで頂戴。この付近で大厄災を起こす訳にはいかないから」
今、なんかとんでもない単語が出てきた様な。
「えっ!・・・大厄災とは?どういう事ですか」
何故か、聞いてはいけない様な言葉を聞いた様な気がしたが・・・つい聞き返してしまった。
「あら、知らないの?大厄災とはね、一部を挙げれば低位から中位の魔獣が大量発生したり、上位種魔獣が出現して、そこから大量のクラスチェンジ・・・進化等があるわね。基本的にはそんなにが発生する前に、神託が下りるのだけど、最近は変な事が良く起きるのよ。もしかしたら予兆なのかも知れないけど、でも魔素の多い場所では、そうともいえないのよね」
ああ、やっぱり聞き返さない方が良かったとユウマが思っていると、他の人物がそれに対して確認していた。
「しかし、魔素が多いだけじゃ下位の魔獣が、発生するだけなのでは無いのですか?」
先程までフィリアに威嚇され落ち込んで、そしてユウマの出したアイテムで腰を抜かしていたクライスが立ち直りそう尋ねた。それにレオンもそれを聞き同じ様に尋ねた。
「ええ、クライス殿が言うように、ただの魔素だけではそんなに強力な魔獣生まれるなど余り聞きませんが?」
「そうですね。普通はそうなのですが。でも無尽蔵に魔素が発生した時に邪気を含んでいると、それ何処じゃすまないのですよ。しかも今回の場所は元々戦場だった場所ですので恐らく可能性は高いと思いますよ。それに、もし先程の話のとおりなら魔素の発生を抑えきれないし、この辺に魔素は邪気を含んでますので恐らくは・・・それにこの辺は浄化がまだ完全にできて無い箇所ですから」
今回の聖碑が破壊されたであろうところは、元々魔素が濃く非常に危険な場所である事をヨーコが詳しく教えてくれた。しかもこの辺りから出ている魔素には邪気が含まれているのでその可能性も否定できないそうなのである。
それに魔素が発生するところは、下級の魔獣が発生しやすくなる事も教えてくれた。
それでとりあえず今から向かう目的地に行くまでの途中で、その村に行き聖碑を修復しようと案が出だが、流石に他の者を、特に商会の荷馬車と貴族の老夫婦、そして乗り合い馬車に乗っている普通の人達を危険にさらす訳にはいかない。
それなら、どうしようかとフィリアが考えていたが、結局は移動している間に考える事にしたようだ。