91.冒険者クライスと正体を隠していたフィリア達・・・?
するとその行為をしたクライスは、ユウマに対して怒鳴り散らした。
「おっ、お、お前!新人の冒険者の癖に、なにベテランである俺にたてつく!すっ、すいませんフィリア様、こっ、こいつの事は後で粛清しますので、お許しを」
クライスは、何故か必死に頭を下げて許しを請いていた。
そんなクライスの状態を見て、フィリアは溜息をついてクライスに話しかけてきた。
「はぁっ、あなた誰だっけ?それにあんた!この子ユウマを甘く見ない方がいいわよ。あなたが敵う訳無いでしょ」
などと、冷たい目でクライスを見て威嚇して喋っていた。
ユウマはこの時、ちょっと言い過ぎなのではと思い、フィリアの目を見てコワッと思っていた。
何せ、ギルマスとは思えないほど可愛らしい姿で、何とも言えない雰囲気を漂わせているからだ。
女性は怒らしたら一番怖い、しかも笑顔で威嚇してきたら震え上がってしまうので、ユウマも極力女性、特に知り合いの子達は怒らせない様にしていた。
クライスは、そのフィリアの可愛らしい姿で向けてくる、冷たい視線と威嚇してくる気に当てられて、顔を青ざめてユウマとレオンの方を交互に見て顔を伏せて落ち込んで、大人しくなってしまった。
そしてフィリアが、ユウマに近づいて小声で尋ねてきた。
「何故、こいつにあんたの冒険者ランクを教えてないの」
何故なのと尋ねて来たのでとりあえず答えた。
「えっ、こう言うのって余り言いふらさない方がいいのでは、ないのですか?」
そう答えたらフィリアとヨーコが頷いて納得していた。
「なるほど、それも一理あるわね」
「確かに、そうですね。特にユウマさんの場合は・・・」
ウンウンと首を立てに振ってさらに納得していた。
この時ユウマの方は、そう答えた後のフィリア達のその言葉の意味が、良く解らず首をかしげていると、ヨーコさんが笑顔を向けて声を掛けて来た。
「気にしないで下さい。ユウマさん」
そうヨーコに言われたので、ユウマは気にしない様にした。
それで俺が考え事をしている間に、レオンにも二人が何か聞いていた様だが、それも納得して首を縦にウンウンと振っていた。
ちなみにフィリアとヨーコが、この一団内にいる事を知っているのは、レオンと一緒に馬車に乗っているアリア、メイリ、それに未菜とシルフィー達も知っていたそうだ。
何故シルフィー達が知っているのかは、シルフィー達女性陣が特別な天幕を見えない場所に張って、水と火の魔法を使い身体を清め湯浴みをしている時に、一緒に湯浴みをしていたそうだ。
その時に正体を明かして、事情を説明しているそうだ。
それからクライスは、先程顔を伏せて落ち込んでいたのだが、騎士隊長のレオンに慰められて、今は大人しく話しを聞いている。
その姿は若干気力を取り戻して、今はまだ落ち込んではいるが顔色自体は、先程より良くなっている。
それには先程レオンが、クライスを慰める時に声を掛けた言葉が原因のようである。
「自分の説明がたらなかったな。彼達は、この依頼とは別の極秘依頼をこなしている。なので彼等の正体は明かせない。心配するな、君は間違いなくベテラン冒険者だ。しかし、彼は君のさらに上を行っている。フィリア様のお気に入りなのだから気にするな」
などと、適当な事を言って納得させていた。ユウマはそれもどうなのだろうと思っていたが、気にしたら負けな様がした。
それで、その話には触れずに、先程話ていた内容に戻り、どうもトライアを出発する前になって、突然緊急探索が発令されていた。
それは、この付近の村の様子がおかしい事が判明していて、前日に調査させていたらしい。
その調査に行った冒険者の話では、村はもぬけのからになっていたと報告を受けていて、その変わりに、そこには新種の魔獣が数体いたと続けて報告を受けた。
しかし、調査に行っていた冒険者全員の様子が変だったので調べてみると、全員が操られている様な感じになっていたとの事だ。
その直後に出発したので内容的には、詳しく知らないが恐らく操られていたのは、あっている筈だ。そして詳しく解ったら連絡が来るはずなのだが、まだその連絡は来ていないのは結構その調査に難航してまだ解ってないと言う事だ。
ならやはり昨日のアンデッド系の魔獣は、それが原因みたいな感じだ。