82 魔石の回収と・・・?
それからこの周辺に散らばった魔石を、どうしようと悩んで・・・結局、放置しようと思い、ファルに話し掛けた。
「集めるのが面倒だから、このまま放置して引き上げよう。この娘達を安全なとこの連れて行きたいから」
『えっ、でもマスター。このまま放置してたら危ないよ。色々と・・・』
するとファルから、そのまま放置しておくと魔石に魔獣がよって来て、魔石を吸収して強力な上位魔獣に進化する可能性があるから、集めた方が良いと教えられた。
「おいおい、それなら、それを持っている俺達も危ないんじゃないのか?」
不安になったのでファルに訊ねた。
『それは大丈夫だよ。マスターある程度の魔力がある者か、それなりの道具袋に入れれてば魔獣はよって来ないよ。それに何故か人族は比較的に、魔石の能力を無効化出来るの』
どうやら魔力か専用の道具袋があれば言いようだし、人族には魔石の能力を無効か出来る耐性を持っているそうだ。
「しかし、こう魔石の散らばってる範囲が広いと・・・それに数も多いしなぁ。なんか嫌になってくる」
周りを見て若干項垂れて、そうファルに答えた。
するとそんな俺を見たファルが提案してくれた。
『それなら、マスターの魔力を使っていいのなら、私が集めたげるよ』
「へっ、そんな事できるのか?」
『うん、マスターの魔力と聖霊力か聖なる力があれば、私の糧になるし色々できるよ。それに自前の魔力では、そんなに強力な魔法は殆ど使えないの。おかしいよね、七属性もってるのに下級の弱い魔法は使えても、中級以上の魔法は自分自身の魔力では使えないなんてね』
などと、笑いながらファルが言っていた。
それなら今現在、ユウマと契約を結んでいるという事は、殆どの魔法が無尽蔵に打てる可能性があるのではと思ったが、その事は黙っていた。
それからファルが、どの様に魔石を集めるのかを見ていると、まず初めに風魔法でこの辺一帯に【竜巻】を唱えた。
竜巻を発生させたあと、その威力を弱めにして魔石と何かの残骸を一ヵ所に集めてだした。
その竜巻の威力をファルは、器用にも魔力操作で少しずつ弱めていくと、重たい物から先に下に落下してくる。
これで一旦、竜巻による分別を終わらせる。
次に魔石とそうでない物を分けるために、無属性魔法の【分別陣】と言う魔法を唱え魔石とそうで無い物に分けた。
なんとも便利な魔法だと思いながら、魔石の方を見てみた。
想像していたよりも物凄い数というより、物凄い量であった。
何せ積み上がった量は恐らく、今自分の寝床で間借りしている、荷馬車一台分以上はあるのではと思う位だ。
それは姫様の荷馬車は、他の馬車より若干長く大きいので一番荷が乗せられるからだ。
何故こんなにアンデッド系と言うより、ゾンビがいたのかが解らん、後でレオンさんにでも聞いてみよう。とりあえずどうやって運搬しようか考えておこう。
そうだ何か入れ物があればアイテムボックス内に入れられると思い、早速【創生魔法】のスキルを使用して魔法を作るようにした。
ユウマが考えてから【創生魔法】のスキルを発動、【空間収納箱】の魔法を創生。そして、頭の中でまずコンテナみたいな入れ物の空間を作り出す様に考え、一定の見えない障壁を想像。そしてそれを固定できるように思い浮かべた。
するといつもの様に頭の中で音声がなり響いた。
『【創生魔法】起動、【空間収納箱】の魔法を創生完了。ただし空間容量は収納する物の大きさで変わってくる。それにあまり大きいとその分の魔力を使用する事になる。一旦作った物は解除するまで、そのまま維持できる』
まあ、いつもの様に使用上の注意まで教えてくれた。
「よし、できたそれでは早速!【空間収納箱】」
そう唱えて先程の魔石の山を一定の空間に固定して・・・その周りを見えない障壁で固めた。
これで後は、アイテムボックスに入るかなと思いつつ念じてみると、なんとも呆気なく収納できた。
このときファルは、その光景を見てはしゃいでいた。
『おお、凄い凄い、さすがマスターだぁ』
そう喜んでいたが、いつの間にか俺の頭の上に寝そべって喜んでいたのだった。
さてとそろそろ戻ろうかと思いつつ、もう一つの山の方を見てみると、何か鉱石の様な物があるので【鑑定眼】のスキルを使用して確認してみた。するとこれまた凄い物を発見なんと金塊にミスリル鉱石、アダマンタイト鉱石、クレリア鉱石、ブラック鉱石、そして魔導星石という魔石の上位鉱石が、もう一つの山の中に混ざって落ちていたのだ。
しかし、何故この魔導星石は、魔石の方に分別できなかったのかファルに尋ねてみた。
『それね。たぶん、【分別陣】の魔法使った時に、普通の魔石とイメージしたから、たぶんそれでだと思うよ』
結局は先程の【分別陣】を使用した時に、あくまで魔石だけを識別したので類似品は除外されたのだろうと言う事だ。
とりあえず、この鉱石と石関係も【空間収納箱】を唱えアイテムボックスに収納した。
すべての作業を終らせて、少女達を連れて帰ろうとして近づいた時、少女が一旦目を覚まし、うっすらと目を開けてこちらを見て弱弱しく声を掛けてきた。
「だれ?お願い。ランを助けて、おねがい・・・」
まぶたが閉じそうになりながら、必死にこちらに声を掛けてきた。
「えっ!ランとは、この子の事かい?」
そう言って子狼を少女のそばに寝かせた。
すると、安心しきった笑顔を見せてからお礼を言ってきた。
「ありがと・・・お兄ちゃん・・・スウスウ・・」
そう言って、また目を閉じて寝てしまった。
それから少女と子供の狼のランを抱き上げ見張りの場所へ戻る事にした。