79.ゾンビと少女と子狼?
初めて見たがゾンビは、はっきり言って気持ち悪かった。何せ腐っていますよ。それに実際怖いです。
「何あれ・・・うげぇぇぇ。やっぱり1人で来るんじゃなかった。でも未菜連れてきたら発狂して辺り一面焦土にしかねないな・・・やっぱり1人できてよかった。とりあえず我慢して様子を伺って、さっさと倒そう」
1人で相手をするのは『いや』とは言ってはいられないので、さっさと倒そうと考えていたら、この場所にいるアンデッド達とは別の何かの気配を感じて、そちらの方に付かずいてみた。
「えっ、何・・この娘達?何でこんな所にいるんだ?」
そこには怪我をしている子犬・・・いや、狼の子供みたいな獣と少女が倒れて気絶して倒れていた。
その周りをよく見ると、魔石と何かの残骸が沢山あった。
「まさか、この娘達が・・・もしかして、この周りのゾンビを倒したのか?」
しかしここと自分の来た方角を一直線に確認してみると、ちょうど野営をしているところの焚き火の明かりが見える。
・・・と、言う事は野営の場所から見た光は・・・。
「ああ、なるほど、あの光は合図でなく、光属性か聖属性の魔法で周りのゾンビ共を浄化していたのか」
ユウマが納得していると、周りにいたゾンビ達がこちらに気が付きノロノロと近づいてきた。
「まあ、動きが遅いからそんなに脅威では無いのだけど、でもやっぱり怖いです。しかも結構、臭いますよ。やっぱ嫌だな・・・」
やっぱり1人で来るんじゃなかったと再度思っていたけど、まずはこの子達を助けないと思って、まずゾンビ達の情報を仕入れる為に、目を凝らしてゾンビ達を確認した。するとゾンビの頭上に半透明の吹き出しができたので確認した。
ゾンビに記載されていた内容はアンデッド系の魔獣で、弱点は聖属性、光属性、そして火属性だという事が解った。まあ、常識で考えれば辺り前であるが、最後に人型のゾンビの殆どは頭を切り離すと動けなくなるとも記載されていた。
それにゾンビの動きは鈍く、そして物音に反応する。だが俊敏に動けないので大抵は、避けれるとの事も表示されていたのある。
「なるほどそういう事か、ゾンビ達が襲って来なかったのは。それでこの子達は気絶して動けなくなり、物音がしなくなったからゾンビ達はその辺をさ迷っていたのか」
それとは別に、ゾンビに与えられた傷に付いて記載されていた。そのゾンビに傷を付けられた者は数日後に、ゾンビになってしまう呪詛もしくは腐食毒に侵されてしまうそうだ。
「なるほど、とりあえず完全にゾンビにならなければ、いくらでも治す方法はあるのか、ただ、ゾンビとなってしまっては倒すほか無いみたいだな。でも例外もあるみたいだが・・・今の俺にはそれは殆ど無理で不可能に近いな」
まあ、その部分の表記は、殆どか確認出来ないで、すべて疑問符で見えない状態になっている。まあ、恐らく何らかの条件が揃わないとその部分は確認できないようである。
「こちあえずこの娘達の状態を確認しないと、たぶんまだゾンビにはなってないはずだ」
それから今度は少女達の情報を確認する為に、目を凝らしその少女達の頭上にでた半透明の吹き出しの方も確認した。
それで気絶している子達を確認してみると、やはりゾンビに傷を負わされて怪我している様である。
「このままじゃ大変な事になる、回復魔法か解呪魔法を使って治してやらないと」
この周りにいるゾンビ達を、とりあえず如何にかしてから考える事にした。
「そういえば・・・こいつら聖属性と光属性の魔法が駄目なんだよな。なら俺のスキルにある【聖光気】はどうなんだろう・・・一応試してみるか」
それからユウマは自分のスキル内に【聖光気】があったのを思い出したので、もしかしたら何らかの影響があるかも知れないと思い、そのスキルを使用してみる事にした。
すると【聖光気】のスキルを使用しだすと、身体が淡く光だし周りにいたゾンビ達が動かなく、いや動けなくなっていた。
「おっ、【聖光気】スゲーな・・・!?」
突然、自分の背中に実装していた剣が光輝きだし、何故かまた声が頭の中に響いてきた。
『主様!今一度私に・・・力を、聖なる力と魔力を・・・』
それから剣を抜いてみると以前見たように、柄の部分が変化していて神々しい輝きを放ち出した。
「おっ、おいおい、マジかよ!もしかしてこの剣とんでもない代物じゃないのか・・・よし、以前と同じ様に力を借りるぞ」
以前と同じ様に力を込めた。しかも今度は全力で剣へと【聖光気】のスキルの力と気力、そして魔力を最大限まで込めてみた。
すると周囲がまばゆいまでの光に包まれ、周囲の空気が一瞬で澄んで行き、先程まで周りにいたはずのアンデッド系のゾンビがすべて姿を消していたのだ。
しかし、良く見ると周囲のゾンビは姿を消したのでなく、消滅していた様なのだ。何故なら先程までゾンビがいたであろう場所には、物凄い数の魔石と何かの品物が落ちているのが確認できたのである。