78.偵察と雑談・・?そして。
冒険者達は、レオン達に向けて尋ねていた。
「おっ、俺達は、ランクCの冒険者だぞ。それが見えないなんてありえない?」
「そっ、そうだ。俺達は凄腕の冒険者で有名なんだぞ。・・・ああ、恐らくなんらかの方法で移動したんだ」
「そうですね。恐らく彼は魔術師か何かであって、姿を消して移動したのでしょう。たっ、たぶん・・・そう、だと思います」
その言葉を言った冒険者達に、レオンが語り掛けた。
「はぁっ、あのなお前達は、サイクロプスと戦闘をした事はあるか?」
はあぁ?なに言ってんだ、この人はと言う顔をして声をあげた。
「はぁ、あんた、何言ってやがる。サイクロプスぐらい戦ったことあるぜ」
「そうですよ。あんなのレイドパーティを組んでたら簡単に倒せますよ。まあ、あくまで一体のサイクロプス相手に二つ以上のパーティですけどね」
「はははっ、おっさん!あんた達騎士団でも倒せるだろうそれくらい」
「ああ、そうだな。確かに8人以上でサイクロプス一体の相手なら倒せるだろうな。しかし、そのサイクロプスをお前達は1人で倒せるか?」
「はぁ、何言ってやがる。そんなの倒せるわけねぇよ。サイクロプスは最低でもランクCの上位からランクAクラスじゃないと倒せないんだぞ。それを1人なんで絶対無理だ」
「ああ、そうだ!1人なんて無理だな。Aクラスの奴が3人でやっと倒せるかどうかの魔獣だぞ」
「ええっ、はっきり言って無理ね。ランクSクラスなら話しは別ですけどね。ましてや新人なら特に無理だと思うわよ」
「ああ、普通ならそうだろうな。ましてやランクC級クラスなら特にな」
レオンが説明する様に、ランクC級では流石に無理だろうとここにいる冒険者達は思っていた。それにさすがのレオンでも無理だと答えていた。
それから先程ユウマが向った方に、視線を向けながら冒険者達にレオン自身が見てきたことを語った。
「あのお方、ユウマ殿は1人で倒してしまったぞ。しかもオークとゴブリンを倒した後にだ」
冒険者達の目を見て、ありのまま伝えた。それから続けて、その時の状態も教えた。
「しかもその時は、そいつと戦う前にかなりの戦闘を行ない。サイクロプスと戦い倒した後も無傷だった。それから平然と他の襲撃者を捕まえた実績もある」
冒険者達は、その言葉を聞き信じられないと驚いた顔をして声をあげた。
「う、嘘だ!でっちあげだ。無理に決まっている」
「倒せるわけ無い。しかも他の戦闘後なんて」
「ゴブリンやオークならまだしも・・・。そうよ、彼は冒険者になったばかりなんでしょ?それを無傷なんて・・・絶対に無理よ」
色々と口にしていたが、最終的にレオンが『ホントだ』と肯定した後、何故か大人しくなっていた。それからユウマが向かったであろう方角に視線を向けていた。
その事を聞いて横で聞いていたアリアとメイリが驚いて、未菜に確認した。
「ミナ、今の話ホントなの?サイクロプスを1人でって」
「ユウ兄様は・・・そこまで強いのミナちゃん」
「・・・ふぇっ?ふわぁぁん?何が?」
話しが余りにも退屈であり、みんなの話しを殆ど聞いていなかった未菜が、欠伸をして何の事か解らず聞き返していた。
「いや、だからね。ミナ、ユウ兄がサイクロプスを1人で倒したって言う話だよ」
「ああ、あれね。うん、確かに1人で倒したよ。だってユウ兄だよ。当たり前じゃん簡単に倒せるよ。えっへん」
自分の事の様に自慢する未菜であった。
しかし、そんな未菜と違い、アリアとメイリはますますユウマに好意を寄せていたのである。それは自分達をゴロツキ共から救い出してくれた時と、冒険者ギルドであった試験の事を思い出していたのであった。
その様な話しが野営の場所で行なわれている頃、ユウマ自身は既に丘のある場所まで駆けて行き、先程の光がチカチカと見えた付近までたどり付いていた。
それでその場所にたどり付き、少し高い位置にあった木の上に登り、下の様子を確認していた。
すると光が見えた付近の暗闇の中で、何かが沢山うごめいているのが解り、その場所をよく目を凝らして確認した。
「うげぇ、なんだよ・・・あれ、スプラッタ・・・いや、あれは、例のやつか」
それは昨日冒険者が言っていたアンデッドの類だろうと思う。目を凝らすと人の姿をした魔獣で色々と出たらいけない物が出ていた。
それに何か腐った死体の様な・・・いや、あれは恐らくゾンビなのだろう。