77.夜間に気になる光・・・?
そして、ある程度時間が過ぎた頃、本を読んでいたはずのメイリが何かに気が付きこちらに相談してきた。
「ユウ兄様!向こう方で光が見えましたけど、何でしょうか?」
それはかなり離れた辺り、そう明日越える予定の山、その山道の丘の付近で光が輝くのを見たとメイリが見つけ教えてくれた。
それでそちらの方を警戒して見ていると、確かに丘の上付近に光がチカチカと輝くのが見えた。
それで、気になりレオンさんに相談してみる事にした。
「レオンさん、向こう側で何度か光が放たれるのが見えたのですが、なんだか解りますか?」
「ふむ、なるほど、あの丘の上に光がですか? 夜盗と言う訳ではなさそうですね。夜盗なら明かりや光など一切使わないはずですからね。もしかしたら戦闘の光かもしれませんね。ほら魔法とかです。ただ、知能の高い魔獣がそれを囮にこちらを呼び寄せてるかもしれませんな。少し厳重に警戒していた方が良いかもしれません」
「なんでしたら、俺が見て来ましょうか?」
ユウマが、レオンに相談して魔獣かも知れないと言われたので、偵察がてら確認に行ってみようかと考えて、レオンに話し掛けてみた。
すると一緒に見張り番をしていた冒険者のメンバーがこちらの話を聞いていたのか口を出してきた。
「おいおい、奴さんよ素人があんまり厄介ごとを持ち込まんでくれよ。こちとらいつも、この辺でクエストやら調査をして、戦闘までこなして何度も野営してるんだよ。それにこの辺りは安全だって確認もしてんだよ。馬鹿が」
「ええ、そうよこの辺は安全で知能の高い魔獣なんて気いた事ないしいませんよ」
「そうですよ。この辺りは比較的安全なのですから?もし、魔獣がいても夜行性のアンデッドくらいだ」
冒険者の3人が、馬鹿らしいと言いながら、こちらに意見してきた。
すると、未菜とアリアも先程の光が見えた丘の辺りを見ながら、様子がおかしい事に気が付いた。
「ユウ兄っ!やっぱり何かおかしいよ?」
「うん、確かにたまに、光が見えるけど、何だろうあの光は・・・魔法のようにも見えるよ」
「何か、合図を送っているような感じで、チカチカ光ってる」
「なんか、モールス信号みたいな感じだよユウ兄?」
アリアの言葉に続き、未菜とメルリが疑問に思い声を出し、最終的に未菜がモールス信号という言葉に、アリアとメイリが何それ?と首を傾げていた。
モールス信号の言葉に、みんなが不思議に思いレオンがこちらに確認してきた。
「モールス信号とは何ですかな?ユウマ殿・・・」
レオンさんに尋ねられたので『のろしの一種です』と答えたら、普通に納得してくれた。
もし納得してくれなくても、今はそれどころではないので、説明はしなかった。けど納得してくれたので、思考をきりかえた。
「レオンさん!俺ちょっとあの場所を、丘の部分を確認してきます。なので一時の間、ここをお願いします」
「うっ!うむ、解ったがユウマ殿、決して無理はするなよ!」
「あっ!おいなに勝手にっ・・えっ?」
「ユウ兄!私もいくよ」
「いや、未菜もここにいてくれ。俺一人で十分だ」
何故、未菜も断ったかと言うと、もし、戦闘になったら昼間の鬱憤晴らしに全力で戦おうと考えていたからであった。
ユウマは野営場所を出て直ぐに【超加速】のスキルを使い、その上【能力向上】の魔法を唱え自分の最大のスピードで先程の場所へ向った。
そしてつい最近、女神フィーナ様より追加で貰った【認識阻害・隠密】のスキルと、どう言う条件で取得できるのか解らないが、先程手に入った【梟の目】のスキルを使い皆の前より瞬時に消えた。と言うより物凄い速さで丘の方に駆けていった。
ちなみに【梟の目】のスキルは、昨日【真理眼】と【魔眼開眼】が統合され【遠目】のスキルが取得でき、そしてその場で【遠目】スキルを使用してみたら夜だったので【夜目】のスキルを獲得できた。それから昼間に、また【遠目】スキルを使用して遠くを観察していて動く物を視線で追いかけていたら、今度は【鷹の目】が取得できたのだった。
そして先程、【夜目】と【鷹の目】の両方のスキルを使用したら【梟の目】のスキルが取得できたという事だ。
その後【鷹の目】と【梟の目】そして【魔眼開眼】のスキルが統合されて【千里眼】のスキルが取得できていた。
まあ、最近どう言う訳か、スキルが簡単に取得できている気がしていたが、ユウマは余り考えないようにしていた。
何故なら考えるだけ無駄と思っているからだ。どうもこの感覚は【真理眼】のスキルが関係しているのだろうと思う。
そして先程の説明に戻るが、ユウマが消えた様に見えたかもしれないが、ユウマとしては、ただ単に高速で移動したに過ぎなかった。だが常人には消えたように見えたのだ。ただ騎士隊長であるレオンとアリア達には、勢い良く走って丘の方に移動したユウマの姿が見えたのである。もちろん未菜には一部始終見えていたのであった。
だが、先程何かと言いがかりをつけていた冒険者の3人は、ユウマが瞬時に消えてしまった様に見えていたのであった。