76.トライアを出て2日目の見張り番?
見張りを交代して直ぐに、荷馬車のうしろに作った寝床で寝て、朝日が昇りだした頃にユウマは自然と目を覚ました。
目を覚まし身体を起こそうとすると、何故かまたフレイがお腹の上で丸まって寝ていたので不思議に思い考えた。
『ん?確か・・・見張りが終ってここに戻って来た時は、どこかに行っていなかったよな?』
確かに見張りが終わって、戻って来た時にはフレイの姿は無く、その時は気にせずそのまま就寝した。
しかし、目を覚ますとまた気持ち良く俺のお腹の上で、丸くなって寝ている。何でまたここに戻って来たのか考えたが、とりあえずフレイを起こさない様に、そっと起き出して馬車の前で簡単な体操をおこなっていた。
すると、シルフィー達が目長まし、馬車より出てきたので挨拶を交わした。
「おはよう御座います。シルフィーさん」
「あっ、ユウマ様。おはよう御座います。お早いのですね」
「ええ、まあ、自然と目が覚めましたから。あっ、レーネさんもおはよう御座います」
「あっ、はい、おはよう御座います」
「あっ、そうそう、あのシルフィーさん。以前から思ってたんですけど、何でフレイは俺のところに来てれるんですか?何故か解りますか」
以前からもフレイが俺のところで寝るのを不思議に思っていたので、今回はちょうどいい機会なのでシルフィーに尋ねてみた。
すると、シルフィーがフレイの行動について簡単に教えてくれた。
「どうやらですね。ユウマ様の周りに漂う魔力と言うか、気質に安らぎを感じて。何故かふらふらとユウマ様の元に行っているみたいです。それでそこで寝てしまうと思うのですよ。それでユウマ様がいなくなったら今度は私の元に戻ってくるのですよ。不思議と・・・」
どうやら普段は契約者の魔力を糧に姿を見せるが、ここ最近は俺が近くにいると良く姿を見せている事も教えてくた。それに、寝ている間にはその人が気が付かないうちに、体内にあるとても純粋な魔力が、かすかに漏れ出しているそうなのである。
それから色々と皆が起きてくる、一時の間シルフィーさん達と会話をして朝食を食べたあと、準備をして出発した。
移動中、何度かこの辺りで生息している獣の群れと魔獣に襲われたが、護衛騎士団と今回同行している冒険者達で難なく撃退していた。
もちろん、アリアとメイリの2人も活躍していたし、未菜も後方から支援していた。
しかし、その一方でユウマはアリア達の戦闘を、離れて危険が無いかを見ているだけだった。
なので殆どと言って良いほど活躍はしていないのであった。
何故この様な状態になっているかと言うと、今回の戦闘の前に、騎士隊長であるレオンさんから伝言を預かっているいう事でそれを教えて貰った。
するとその内容は、出発前に冒険者ギルドのギルマスであるグラントさんからアリア達と周囲が余程危険な状態にならない限り、決して手を出さず見守るようにと言う事らしい。
このときユウマは、自分が戦闘できないうえに人の戦闘を見ているだけだった為、若干欲求不満の状態になっていた。それは余りにも動き回れないのでイライラしていたのだった。
ある程度進んで、2日目である今回の野営目的地までたどり着き、まだ早く明るいが野営を開始する事になった。
この時も夜間の見張りを新たに決める事になった。それは何故かと言うと基本的に前回とは、違う人員で行なうのが普通だそうで、同じ時間帯ばかりしたらいざと言う時に、体力が持たなくなるからだという事らしい。
しかし、それでも俺とレオンさんは、同じ中番の見張りをする事を申し出た。すると前回と同じ様に未菜に続き、アリアとメイリまで参加する事になった。
ただ、レオンさんは部下に掛かる負担を減らす為に、何も無いときは中番の見張りを行うと説明してくれた。
それで前回同様、他の3人は前回の人員と違う人でくじ引き、それで決める事になった。それで今回は残り3人は、冒険者のメンバーだった。
そのまま最初の見張りでは、何も無くユウマ達の見張りの番になり、昨日と同じように、まず【エリア探知】のスキルを使用して周辺を確認してみた。
今回はここの周辺には、赤い光点は無かったのでスキルによる確認をやめて、【気配察知】のスキルのみ使用して、アリア達と話をして時間をつぶす事にした。