68.リスティにちょっと同情・・・??
そのリスティの状態を見て、ユウマは考えていた。
こっ、これは、打ち付けたのが分かるくらいに、見事に大きな・・・たんこぶが出来てる?この世界はこんな状態にもなるのか?』
そうそこには、見事としかいいようのないたんこぶが出来ていたのである。
『しっかし、ホント、ギャグマンガみたいに、デッカイたんこぶだなぁ』
その大きなたんこぶを見て関心しながら、倒れているリスティのそばで中腰の姿勢で見ていると、後ろの方で「クスクス」と声を殺して笑っている者が数人いた。
その聞こえた方をそっと振り返って見ると、そこには領主のロベルトも口を押さえ笑いを堪えていた。
この光景を見てユウマは「はぁ」とため息を吐き、リスティの状態を確認する為に【真理眼】のスキルを利用してみた。
すると現在のリスティの状態は、中度の火傷と頭を強打、そして記憶障害の可能性ありと表記が出たので、少し青ざめてロベルト達に現在の彼の状況を説明した。
「ロベルトさん、彼の状態なんですけど、火傷のほうはどうにかなると思いますが、どうやら頭を強く撃っているようで、このままじゃ大変な事になりそうですよ」
その様に伝えると、先程の笑いを堪えていた姿から一変して、みんなが慌ただしく動き出しリスティを訓練場の医務室へ運び出したのだった。
そして、医務室に運び込むと同時くらいに、先程の使用人に呼びに行かせていた治療師がやってきた。
だがその治療師はリスティを見るなりこう告げた。
「私の技術では軽傷の火傷ならどうにかなりますが、この頭の治療は無理ですな。自然に治るのを待つしか無いです。はっきり言って生きてるのが不思議なくらいですな」
その様に言いと匙をなげたのであった。
そのあと先程言っていたように、軽度の火傷なら治療できるようだが、ここまで酷いと状態回復薬の丸薬か火傷薬の冷却双葉草で作った塗り薬が現状無いと治療ができない悔しがっていた。
それにひとつひとつ回復させるには、患者の体力が持たないので、時間をかけて自然の治癒力と回復薬か回復魔法を使って回復させるしか他はないと説明してくれた。
すべての状態を直ぐに回復させるには、せめて上級回復薬があればある程度回復でき、エリクサーがあれば全ての状態異常を回復、治療ができるのにと嘆いていた。
その言葉にユウマは不思議に思い、シルフィーに小声で聞いてみる事にした。
「あのう、他の薬もそうなのですけど、エリクサーってそんなに無いものなのですか?この間も思ったのですが?」
「ええ、以前も説明しましたけど。回復薬などは非常に基調で高価なのですよ」
「はい、そうですね。材料などの素材も貴重ですから」
「それに材料があっても調薬できるかどうか?」
その言葉を聞いて、何かを忘れているような気がした。
「ユウマ様に作って頂いた治療薬ならまだ残ってますが・・・」
レーネさんのその言葉で思い出し声を上げた。
「「あっ!?」」
ユウマとシルフィーはその言葉を聞き思い出したように声を上げた。
その声に驚いたレーネさんが驚いて声を掛けてきた。
「どうしたのですか、2人とも?」
そうこの時ユウマとシルフィーは、以前作った治療薬の事を思い出した。
負傷したみんなを治療を行なう為に、ユウマが作った治療薬は確か上級回復薬だった事である。
「ユウマ様、あの時確か・・・」
「ええ、確か上級回復薬は、まだ残っていたと思いますが・・・」
「あっ、それならば確かここにあります」
レーネさんが自身の荷物から以前使い、少し残っていた上級回復薬の入った薬液の小瓶を、取り出してシルフィーに渡した。
「シルフィーさん、早くそれをロベルトさんに渡してやってください」
そう言って上級回復薬の入った薬液の小瓶を持ってロベルトのもとに行き、事情を説明して上級回復薬を渡した。
「シルフィーよ、これは?」
「上級回復薬です。どうぞお使いください」
ロベルトは、手渡された小瓶を見て、まさかと思ったが念のため確認してみた。
そして、驚いた顔をして。
「何故高級である上級回復薬を持っているのだ?これは現在、出回っていない代物はずだぞ」
「ええ、解っていますわ。叔父さま!これはユウマ様が御造りになった物ですので問題ありませんわ」
ロベルトは、その言葉を聴き急いで、リスティを看ている治療師の元に行ったのだった。