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62.訓練場にやって来て?

 その姿を見て領主ロベルトは溜息を吐き、ユウマに語り掛けてきた。

「すまんなユウマ殿、あやつにはもう少し物事の良く見てほしいのだが、何時からかあのように変わってしまったのだよ。ホントは人々には優しく気遣いの出来る人間になって欲しいのだが、ちょっと性格が何時からか凄く残念な事になってしまったのだ。しかもシルフィーの正体も知らずに、勝手に婚約者などと言っておるし・・・・はぁ」

 などと領主であり、彼の叔父でもあるロベルトさんが頭を抱えていた。


「えっ?なら、やっぱりシルフィーさんって王族だったんですか?」

「ん?ああ、私はシルフィーの母親、王妃の兄であり、そのことは世間では内緒にしているからな。しかしユウマ殿は感ずいていたのか?」

「ええ、最初にあったときに口を滑らせていて、その後必死に隠してましたが」

「なるほどな、しかしその事は黙っていてくれ。そうしないとシルフィーも今回の件みたいに隠密で行動ができなくなる。それにここへ寄ってくれなくなるからな。はははっ」

 そう笑いながら領主のロベルトが答えて、シルフィーの方に視線を移し優しい微笑を向けた。


「えっ、それならどうして俺達には、それとなく素性を教えたんですか?」

 自分達の自己紹介の時に最初は素性を明かしていた、しかし後で必死に隠していた。それが不思議だったので、シルフィーに尋ねた。

「それは、ユウマ様だったからですよ」

 などと笑顔で答えられ話の内容としては、はぐらかされてしまったのだった。


 その話から一旦離れリスティとの決闘に対してどうするかを確認してみた。

「でも、俺はどうしたらいいのでしょうか?」


「なに、かまわん完膚なきまで叩きのめしてくれ。それでお前は井の中の蛙である事を思い知らしてやってくれ」

「そうですねユウマ様。本気でやってくださいな」

「ええ、そうですね。やっちゃってください。ユウマ様!」

 何故か全員、彼を叩きのめせと言ってきたが、ユウマは何故か彼が気の毒になってきたのであった。


 それで、この後全員で朝食を取る前に、ユウマとリスティの決闘を観戦するために訓練場に向かった。


 そして、訓練場に来ると何故か観客と言うか、領主の館にいる使用人と領主専属の騎士達がこの決闘を観戦する為に集められているのであった。


 そして、今現在中央付近には完全武装したリスティと、執事のセバリオが待機しているのである。


「やっぱり、俺はあそこに行かないといけないですかね?」

「ええ、早く終わらして朝食にしましょ♪」

「信じてますよ。ユウマ様」


「ユウマ殿、なんならあの馬鹿者の腕の一本や二本、いやいや一時の間は足腰が立たない様にしてくれてかまわん。いや、生きてさえいれば、動けない様にしてくれてもかまわん」

『あれ?ロベルトさん、なんかすごく怒ってない?』

 領主であるロベルトは現在の光景を見て、自分達だけならまだしも仕事中である使用人と、訓練中であった騎士達を、私利私欲の為に観戦させている事に怒りをあらわにしてリスティの方を睨んでいる。


 3人に見送られユウマは、リスティの元に仕方なく歩いて行くことにした。


「庶民よ、よくぞ逃げずに来たな。今から僕が貴様に戦闘とは何かを教えてやる」

 なんか凄く上から目線のリスティに、ユウマはゲンナリしていた。


「ユウマ様、武器は何を使われますか?」

「はあ、まあ素手で良いんじゃないですか?」

 執事のセバリオに武器は何を使うか尋ねられたが、ユウマ自身は本気で戦う気が全然無かったのだ。


 なぜなら、いつものスキル【真理眼】を使用してみたら、薄い青色のスクリーに普段なら格下などの表記が出るのだが、目の前のこの人リスティは非戦闘者と表記していた。

 ちなみにセバリオさんは、格下と表記されているので別に表記がおかしい訳ではなかった。


 なんのこっちゃこの表記はと思い、でもさっき彼が言っていた魔導騎士学校を上位で卒業の話はまだしも、現役騎士の戦闘に勝ったと言うのはどうも信じられなかった。恐らくその戦った騎士は手を抜いて戦闘をしたのだろうと思い、本気で戦って大丈夫かなどを考えなおしていた。


 ユウマが目をつぶって色々考えている、この行為がどうやら気に喰わなかったのか、リスティが額に青筋を立ててわめきだしたのだ。

「きっ、きっ、きさまぁ、戦闘を舐めてるのか!」


 そのリスティの言葉に対して間の抜けた声で、ユウマは答えた。

「へっ、いやぁ、別に舐めてないですけど?どうしたもんかと・・・」


「ぐっ、ぐぬぬ、すっ、素手でこの僕に勝てると思ってるのか?この庶民が何様のつもりだぁぁ」

「いやぁ、庶民、庶民って、あなたの方が何様ですか?」

「なっ、僕は貴族、子爵の息子で、ここの領主を叔父に持つリスティ様だぞ。偉いのだぞ」

 何故かリスティは自分が偉いと、勘違いをしているようなので、それは違うのではと言葉を掛けた。


「いやいや、それは貴方が偉いのでなく、貴方の親御さんと領主のロベルトさんが偉いのでしょう。貴方は何もしてないのでしょう」

 などとユウマがリスティの言葉を論破すると、言葉を詰らせていた。

「・・・・・!?」

 そして、少し考えてから言葉が見付からず。


 ついにリスティが切れて、執事のセバリオが開始の合図をする前に襲いかかってきた。

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