60.領主の館へGO!?
レーネさんについて行き宿の入り口を出たら、宿屋の前に豪華なと言うより、恥ずかしいほどに派手な馬車が止まっていた。
いや・・・まさか、この馬車で迎えに来たのか?
眉をヒクヒクさせながらそう思った。
うん、いや、たぶん違うはずだ・・・だって、良く見ると隣に普通の馬車がいるからそっちだろう。
そう安心しながら宿屋から出て、普通の馬車の方に足を向け歩いているとレーネさんから声を掛けられた。
「ユウマ様?そちらの馬車ではありませんよ。こちらの馬車になります。非常に残ねんですけど」
何が非常に残念だかは凄く共感が持てるが、その説明をしているレーネさんまでもが嫌な顔をしてるのが凄く不思議でたまらなった。
しかしユウマは、普通の馬車の前まで来た時点で、逃げる体勢を整えレーネさんに振り返って答えた。
「ほっ、本気で俺にその馬車に乗れと言うんですか?」
ゲンナリした顔でレーネさんの方を見て、逃げようと考えてながら後ずさりしていた。
それに気が付きレーネは、視線をユウマから外しある場所に向けたので、そのスキに逃げ出そうとした。
「レーネさん、俺、急に用事が出来たんで・・・それじゃぁ」
片手を上げて振り返って逃げようとしたら、いつの間にかここまで一緒に来ていた女性騎士達が目の前に立ち塞がり、逃がさないようにしていたのだった。
「ユウマ様、逃げようとしても無駄ですよ」
ニコッと笑顔を向け2人の女性騎士レイナとセリカが、ユウマの腕を両側より掴んで逃げ出さないようされてしまった。
そして、そのまま逃げられない様に、レーネの元に連れて行かれ、先程の痛いほど派手で豪華な馬車に乗せられる事になった。
「なんで、よりにもよって、こんな痛々しい派手な馬車で迎えに来るんですか?来るなら普通の馬車で来ればいいでしょ」
「いえ、私達もそうしたかったんですが?なにぶん領主様の甥であるリスティ様が、ユウマ様を迎えに行くなら、失礼の無い様にとこの馬車を出され、使いなさいと仰いまして、その断りきれませんでした。すいません」
レーネさんは苦笑いとホントに申し訳ないように反してくれた。そう内心レーネ自身もこの馬車を使いたく無かったし、乗りたいとも思っていなかったが言葉には出さなかった。
それでもリスティが無理やり、強引に押し付けてきたので仕方なくこれで来たのだった。
幸いなのは朝が早く通りには、人が疎らで好奇な目で見られる事が少なくて済むと言う事だけが、不幸中の幸いだった。
しかしこの痛々しい派手な馬車は、かなり目立ち豪華なのだが、乗り心地も最悪でシルフィー達が使っていた馬車の方が数段良かったと思うユウマであった。
ちなみに、何故この馬車で来たのかユウマはレーネに聞いてみた。
「ホントは、私だってこんな馬鹿みたいな馬車は使いたくなかったですよ。でも領主の甥であるリスティ様が、強引にしかも自分の偉大さを見せ付ける為に持ち出してきたみたいなんです。それを断ったのですが全然聞き入れてくれなくて、はぁ」
そう溜息を吐き説明してくれた。
それから馬車である程度行った所で、馬車が急に停止した。
ユウマが不思議に思っていた。何故なら進んで間もない内に、止まってしまったのでレーネさんに視線を向けてみた。
「ユウマ様、実はもう付きました。降りましょう・・・」
「はいーっ?」
「・・・・・はぁっ」
レーネが何とも言えない顔をして、溜息を吐いた。
この時ユウマは、この距離なら馬車で来る必要が無かったのではと思いながら、レーネに視線を向けたら、何故か目を合わせてくれなかったのである。
何せ宿屋を出て直ぐに角を曲がり、大通りを真っ直ぐ進んだ先に、目的地の領主の館があったからだ。
レーネに聞こうと思ったが視線を合わせてくれないので、女性騎士レイナとセリカの2人に問い詰めた。
すると場所はすぐ近くなので、ユウマを呼びに行くのなら朝の散歩がてら、今回滞在している宿屋に向おと考え、レーネは女性騎士達共に領主の館の門を出ようとしたらしい。
そこで何故か例の領主の甥であるリスティが朝早く門の前に立ち塞がり、この痛々しい派手な馬車を用意して執事と待っていたそうだ。
そして、この馬車を使うと良いと言って強引に馬車を貸そうとしていたが、レーネさんが一旦は直ぐそこの宿なので徒歩で問題ないので断ろうとしたのだ。
だがその断ろうとした相手は罷りなりにも貴族なので無碍に出来ず話しを聞き、正論を言い強引に馬車に乗せられて連れてこられたとの事だ。
それから領主の館の入り口、大扉の前まで馬車で来て、そこで降ろされた。
その正面の扉を見上げていると執事のような人が声を掛けてきた。
「当主人の館にようこそお出で下さいました。ユウマ様、私はこの館の執事をしておりますセバリオと申します。当家の主に代わりまして挨拶をさせていただきます・・・」
執事のセバリオがユウマに挨拶をして来たので、返答をして失礼の無いように挨拶を返した。
「あっ、どうも。冒険者をやっていますユウマです。よろしくお願いします」
そう挨拶をして屋敷内に案内されていった。まず最初に当たり前であるが、そのままここの主である領主の執務室に連れて行かれた。