45．少女達に説明を？
ドンドンとグラントの気が洗練され増していくのを感じながら、ユウマは声を漏らした。
「このおっさん・・・いや、グラントさんの気が、さっきと全然違う気質に、てか、気配が変わった？・・・なんだこの何とも言えない感じは？」
そう声を出し考えてから、いつもの様に相手の状態を確認してみると、グラントの現在の状態はとんでも無い事になっていた。
そのグラントの状況は、格闘王のスキル発動、そして超元気・超健康体、現在確認できる。そのうえ超気合錬成と身体強化を発動中と表示してあった。
しかも納得いかなかったのが、ユウマとの力・戦闘力の差はが同格となっていたのである。
その表示を見たユウマは『うっそだぁ、絶対格上のはずだって！おかしいよこの表示』と悩みながら思っていた。
何故なら先ほどの衝撃波を受けた時点で、この人グラントさんは以前戦ったサイクロプス以上に強い相手で、絶対に格上の超強い戦士だと考えていたからである。しかも今現在気合を込めて、さらのパワーアップしたから間違いないく強いと思っていた。
でも、実際にいつもの表示を確認して見たら同格と表示したからである。
ユウマはこの時点で、いやいや絶対にこれは表示がおかしいはずだと思って、意識を表示部分向けていたのが、あだになりまたグラントの先制攻撃を喰らってしまった。
まず一気に間合いを詰められ、先程と同じチャージアタックを、今度はまともに受けてしまった。
しかも今度はユウマを吹き飛ばすだけじゃなく、アタックと同時に吹き飛ばされそうになったユウマの足を掴んで引き寄せてから、拳で攻撃してこようとしてきた。
だがユウマもこのときは、グラントのチャージアタックを両手をクロスして、防ぎつつ後方に飛ぼうとしたが、足を掴まれ後方に逃げられないと解り、身体をひねり掴まれてない足を自由にするついでに、グラントの自身に蹴りを入れようとしていた。
このとき2人の攻撃が、同時に決まりユウマは防御できず地面に叩きつけら、グラントは脇腹付近に攻撃が辺り、体勢を崩し片足をついていた。
その時一瞬ユウマから視線を外し、すぐにユウマの方に視線を向けたのだが、その時には地面に叩きつけたはずの、ユウマがいない事に気が付き周囲を見渡していた。
このときユウマは地面に叩きつけら、ダメージを受けたがすぐに跳ね起き、一瞬のうちにグラントの背後へ回りこみ、その側面に蹴りを入れた。
だがしかしグラントの腕で防御されたので、すぐに後方に飛び退き間合いを取った。
「グラントさん、なんですか？その反応スピードとパワーは？」
「いやいや、あんちゃんこそ何で立ってる？俺の渾身の一撃だったんだぞ、さっきの一撃は、それをくらって反撃とか俺は今までそんな風にされた事ないぞ」
かまえた状態で、お互いそれぞれの健闘を称えあっていた。
その時、観客席にいた少女達は、信じられない光景を見てそれぞれ声を上げた。
「なに？今のユウ兄達の動き！・・・早すぎて見えなかったんだけど」
「なんか、ユウ兄がむかしのユウ兄に戻ってる。凄く楽しそう」
「えっ、ミナちゃん何を言ってるんです。今ユウ兄様は危機的状態じゃ？」
「ううん、今のユウ兄は凄く楽しんでるよ」
未菜の言葉を聞き、メイリが質問すると、未菜がもう一度ユウマが楽しんでるといったので、ユウマの方を見たら確かに顔がニヤケテいる事が確認できた。
「ホントだ。ユウ兄様笑ってる？でもなんで？」
「うん、多分ユウ兄は、格闘魂に火がついちゃったと思うよ」
「何、それミナちゃん？」
「見てたら解るよ。おそらく」
その未菜の言葉のあとに、アリアが不思議に思いたずねてきたので、また未菜が答えた。
「しかし、あんた達良く見てるわね。見えないにしても」
今まで黙って様子を伺っていた、狐人の幼女が3人に声をかけて来た。
「えっ、あれ、あなたは？」
「あっ、そうだった。私達あの後どうなったんですか？」
「えっ、アリアちゃん。この人だれ？」
メイリが狐人の幼女の存在に気が付き声をかけ、アリアに関しては目が覚めたときに言っていた事を思い出し尋ねた。未菜に関してはアリアが何か知っている様なので尋ねただけだった。
「そうね、まだ名乗ってなかったわね、私の名はフィリア・フィーリスって言うのよろしくね。アリア、メイリ、そしてミナ！」
狐人の幼女は、自分の名を教えよろしくと挨拶をした。
「それじゃ！あなた達も全員目が覚めて一息ついたみたいだから、そろそろ状況を説明しましょうか？」
フィリアが3人の目を見て、これまでの経緯と今回のテストに関しての説明を行う事にしたが、まだユウマとグラントが戦闘している最中なので簡単に説明する事にした。
最初に3人とグラントの戦いが、どう言う経緯で終了したか説明して、今現在ユウマが戦っている状況を説明した。
それから、現段階で少女達3人に、先程の戦闘テストの結果をフィリアの口から教えられた。
「それじゃまずあなた達とグラントとの戦闘での評価は、未菜あなた意外は、まあ及第点を上げれるわね。その理由はチームでの戦闘は問題なし、でも個人での戦闘はアリアとメイリはまだまだね。誰かの元で己を磨いた方がいいとおもうわ。 まっ彼なんか良いんじゃない。それと未菜、あなたは凄いわね。まあ最後は残念だったけど、1対１なら結構いいとこまでいってたんじゃないかしら。 まあ、魔力に関してはずるをしてたみたいだけど、それも戦術の一つで問題は無いわ。それで話は戻しますけど一応全員合格。 未菜！あなたはB級の冒険者ランクで問題ないわ。 ホントはA級でもいいのだけどそこはもう一度テストが必要なので今度の楽しみという事で、それとアリアとメイリあなた達はD級で問題ないわ。 通常はFからだけど先程の戦闘で問題ないのでこちらのおまけして昇格を認めます」
このフィリアの言葉を聴いてアリアとメイリは「ヤッター」と言って喜んだ。
未菜に関しては「あれ？なんで私だけB級なの？」と不思議がってフィリアにに尋ねたら、あなたはそれで問題ないのよと言われていた。
フィリアは未菜の疑問に答えて、アリアとメイリに視線を向けて『この娘達はついでにグラントがテストしてたけど、この娘達はホントに良い師に付けばおそらく化けるわね。先程の戦いではっきりじゃないにしても戦いになれて来ていたし、なんたってあの称号を持ってるから』と思って3人に視線を向けてから、またユウマとグラントの戦闘に目をやった。
フィリアが少女達に説明している間、その間にもユウマとグラントはお互い殴ったり蹴ったり、又は防御しては、避けるなどを繰り返しすごいスピードで行っていた。
