42.少女達のテスト?
3人が構えたと同時に戦闘が始まった。
まずアリアは長剣を両手に持ち構え、メイリが杖のようなメイスを持って支援魔法を唱えた。
未菜に関しては、メイリと同じ様なメイスを選び、いきなり【火炎爆裂弾】を数発放ち相手を牽制した。
アリアが剣を持った状態で色んな動きをして何とか、筋肉隆々男に一撃を与えようと必死に動き回り、メイリは支援魔法でアリアを強化して、未菜に関してはその2人を援護する様に空中から攻撃を喰らわしつつ、強化魔法と防御魔法を2人に掛けながら連携を取っている。
未菜の奴、いつの間にアリアとメイリと仲良くなったのか、3人共よく息が合っている。
それでもやはり相手が格上なのか、未菜とアリアの攻撃をすべて紙一重でかわされている。でも3人の攻撃は悪くない、なぜならあきらめていないからだ。
ユウマは3人の動きと相手の動きを目で追いながら色々と考えていた。
アリアは剣だけではなく、魔法もうまく使いながら如何にか形勢を変えようとしている。
でもあれなら何故ゴロツキどもに、襲われていたのか考えていた。しかもメイリも支援魔法だけでなく、時折拘束魔法なども使っていたので、余計に不思議に思った。
何故こんなに能力が上がったかと言うと、冒険者登録を行った時に一部の能力が解放されたのであった。
しかもギルドの能力開示確認した時に、2人の称号にアリアには勇者と魔法騎士の称号が、そしてメイリには聖女と賢者の称号が有ったのだ。
それが関係して登録したと同時に能力が解放され、現在その能力で強くなっているのであった。
それにしても、現在の状況的に未菜とメイリの魔法の使用量は異常といえる。
『あれ、いま未菜とメイリは結構魔法を使っているけど? MPは大丈夫なんだろうか?』
そうユウマが思っていると、メイリの胸元に一際輝くネックレスがあり、そして未菜方の能力表示を見てみると、魔力を使った端から回復していた。
『はて?なんでだ。前回の戦闘時では、ある程度あの魔法を使ったらかなり減ってたと思ったけど、今はMPの回復量が半端では無いよな』
ユウマはメイリの輝くネックレスと未菜のMP回復量を見て、不思議に思っていた。
実はこのとき未菜のMPに関しては、ユウマのMPを【魔力吸収】を使用して吸取っており、その吸取ったMPを自分のMPにして回復していた。
それに関しては、ユウマは自分のMPを吸われているとは、まったく気付いていなかった。
そして、メイリのネックレスに関しては、特殊な物で周囲の魔素をMPにして自分のMPを変換回復する代物だった。
だが、それに対して相手の筋肉隆々の男性は、余裕なのか武器は持たず拳のみで戦っていた。
しかし、戦いが進むにつれて余裕が無くなってきたのか、ついに腰にかけていたトンファーみたいな武器で応戦をしだした。
そして、ユウマが夢中で戦闘を見学していると、いつの間にか近付いていた幼女が声をかけて来た。
「ねえ、あなた・・・えっと、ユウマって言ったかしら」
「はいっ? そうですけど、なにか?」
「で!あなたはあの子達の何?保護者それとも教育係、かなり懐かれてるみたいだけど?」
先程ギルマスの部屋にいたもう1人の狐人の幼女が、ユウマに少女達との関係を尋ねられた。 まあ、未菜に関しては身内なので解るのだが、残りの2人に関してはここに来るまでの内容と経緯を、3人の戦いみながら幼女に説明した。
「ねえ、そう言えばユウマ。あなた、私が近付いたのをいつから気が付いてたの?」
「えっ!何ですかその質問は?」
「えっ、なんでって・・・? あの、私が話しかけた時に驚かなかったじゃない。それに平然と受け答えてたから」
「はい?何故です。先程こちらに近付いて来てたじゃないですか、向こうから」
ユウマとしては、狐人の幼女がいったい何を言っているのか、さっぱり解らなかった。
なぜなら戦闘が始まる前に、ユウマは筋肉隆々の男性に言われたとおりに端に歩いていったが、観客席の方が見やすいと思いその場所に移動した。
席に着く前に格闘技場の全体を見渡し、それから自分がいる反対側の観客席にいつの間にかいた彼女、狐人の幼女がいる事を確認していた。
それから戦闘が始まって直ぐにユウマが観戦に夢中になっているその間に、彼女は隠密の能力を使いユウマの近く、その背後まで気配を立てないように近付いて来ていたのだ。